グローバル市場で活躍できる財務・会計のプロ

USCPA(米国公認会計士)

グローバル展開を図る企業や外資系企業などで、IFRS(国際財務報告基準)導入が加速しています。そんな状況下でますます注目されているのが、いち早くIFRSに関する問題を試験に取り入れたUSCPAの資格です。資格取得者は、国内はもとより海外を拠点とする企業や監査法人、コンサルティング会社などでの活躍が期待されています。

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USCPAとは USCPAが活躍できるフィールド ワーク・ライフ・バランス 社会的需要 魅力・やりがい USCPAになるためには おすすめの学習プラン

USCPAになると・・・

□幅広い分野で会計・財務のプロとして扱われます
□英語力を磨けば海外市場でさらにチャンスが!
□会計事務所のパートナーや企業のCFOを目指せば、高収入の道も

USCPAの資格を持っていれば、監査法人やグローバル展開している企業、外資系企業など幅広い分野で、会計・財務のプロとして活躍できます。専門職であることから職務内容や仕事のゴールが明確であり、出産や育児に関してしっかりとした制度が整っているところが増えているので、家庭との両立がしやすい職業であるといっていいでしょう。

さらに、USCPA資格取得者ならではの、英語力と国際的な会計基準の知識(スキル)を磨いていけば、キャリアアップに伴う高収入の道も約束されます。会計事務所のパートナーや企業のCFOなら、1,500万~数千万円という年収も夢ではありません。一方で、コンサルティング会社に勤務し、生まれたてのベンチャー企業を支援することにやりがいを見出す人もいます。USCPAは、その人のマインドや価値観次第で、いかようにも活かすことができる資格といえるでしょう。

【USCPAとは】

会計分野でグローバルな専門知識を有する証明に
企業に対して、監査のほか財務や会計などの助言を行う

USCPAは「U.S. Certified Public Accountant」の略。アメリカ各州が認定する公認会計士の資格で、州ごとで取得・登録されるものです。アメリカ本国では、マネジメントレベルのビジネスパーソンが当然修得すべき資格として認識されており、資格取得者は会計事務所だけでなく多種多様なフィールドで活躍しています。

ビジネスのグローバル化に伴い、世界中の国々が自国の会計基準を「IFRS」にする動きが加速しています。USCPAの試験では、2011年以降、いち早くIFRSに関する出題が行われており、学習を通じてその知識を得られたかが問われます。このことからも、USCPAは、アメリカにとどまらず国際ビジネス市場において、もっとも高い評価を得ている会計分野の資格のひとつとして扱われています。

USCPAのおもな業務とは……
① 財務や会計について、グローバルな視点から知識を提供・助言
日本国内においても、グローバルに展開する日本企業や外資系企業では、グローバルな知識を有する財務・会計のプロを求めています。その意味で、英語に堪能(USCPA試験は英語で出題)かつ、国際的に通用する財務・会計の専門知識を持ったUSCPA資格取得者は、それらの企業にとって魅力的な存在となっています。
② 会計監査
米国および米国公認会計士協会(AICPA)が相互承認協定を結んでいるカナダ、香港、オーストラリア、メキシコなどの国々では、一定の条件を満たすことでCPAの独占業務である監査業務を行うことができます。一方、日本の公認会計士制度にはこのような相互承認協定はありません。しかし、日本の公認会計士でなくても監査報告書に署名押印すること以外――例えばマネージャーやスタッフとして監査業務を行うことはできますので、監査法人に所属して国内企業の監査を行っているUSCPAも少なくありません。グローバルな観点からは、互換性のあるUSCPAのほうが付加価値のある資格と考えることもできます。

2011年以降、日本の会場でも受験可能になったことで、社会の需要と相まって日本人のUSCPA受験者は増加傾向にあります。

【USCPAが活躍できるフィールド】

かつては監査法人がおもな就職先だったが、
現在はグローバル企業などでも貴重な戦力に!

●働く場所−ビッグ4系などの監査法人、税理士法人などがおもな働く場所になりますが、一般企業<医薬品・自動車・小売・ITなど>や外資系企業、経営コンサルティング会社や金融機関で働く人も。

●活躍の場-グローバル化が進むなか、その活躍の場は今後もどんどん広がっていくといえます。

横にスクロールしてご覧ください。

<働く場所>
・監査法人、税理士法人

監査とは、企業が作成する財務諸表が会計及び開示等に関するルールに従って適正に作成されているかどうかを、企業から独立している第三者である監査人が調査し、その結果を監査報告書によって株主等の利害関係者に報告する業務です。この財務諸表監査という業務は、公認会計士または監査法人の独占業務。多くの企業は日本の会計基準に従って財務諸表を作成しますが、日本では米国会計基準、あるいはIFRSに従って財務諸表を作成することも認められています。さらに、多くの外資系企業が海外でビジネスを行っており、日本の企業も子会社や工場を通じて、海外でビジネスを展開しています。これらを背景に、日本の監査法人でも米国会計基準やIFRSに基づく英語の財務諸表を監査する機会が増えています。また、グローバルな経済活動によって、国際的な税務サービスに関するニーズも急速に高まっています。そのため、日本の公認会計士の活躍の場としてもっともメジャーな「ビッグ4」と呼ばれる世界4大会計事務所と提携する4大監査法人・税理士法人をはじめ、中小規模の監査法人などでもUSCPA資格取得者を採用し、監査チームの一員に加えることが増えています。もちろん、日本の公認会計士がスキルアップを目的に、USCPA資格を取得するケースもあります。
・一般企業、外資系企業
外資系企業はもとより、米国市場に上場するなどグローバルな事業展開を図る日本企業でも、米国会計基準を採用しています。そこでは英語での経理・財務関連業務を行っており、その数は増加傾向にあります。そのため、米国会計基準や米国の法務、税務などの専門的な知識を有するUSCPA試験合格者には、企業から熱い視線が注がれ、雇用につながっています。
・コンサルティング会社、金融機関
国際間での企業の合併や買収(クロスボーダーM&A)などに関して、企業に助言や支援を行うコンサルティング会社や金融機関なども、USCPA合格者の活躍の場のひとつです。コンサルティング業務には、高度な専門知識と分析能力といったスキルが必要であるため、会計事務所(監査法人)でしっかりと実務経験を積んだうえでチャレンジするとよいでしょう。

【ワーク・ライフ・バランス】

監査法人勤務の場合、時期によって業務量が大きく変動
閑散期の8月、12月は長い休暇でリフレッシュ!

【ワークスタイル】
<一般企業・外資系企業・金融機関など>
企業の経理部などに勤務する場合は、その企業の勤務体系に沿ったかたちとなります。当然、ある程度の残業はあるでしょうし、決算期は土日出勤をすることも。勤める会社によりますが、常識的な範囲内でのワークスタイルになります。
<監査法人>
おもな業務がクライアント(契約している企業)の監査である監査法人や税務業務を行う税理士法人に勤務する場合は、2009年3月期から始まった四半期報告制度により平準化されたものの、いまだに時期によって業務量に波があるワークスタイルとなります。第1~3四半期の翌月(3月決算の会社なら7・10・1月)と年度監査に入る前の3月が忙しく、4月~5月上旬は一番の繁忙期に。4月~5月上旬の間のみ、土日出勤もめずらしくなく、ゴールデンウィークについても何日かは出勤することに。逆に、8月と12月は閑散期にあたり、スタッフは長い休暇をとって海外旅行へ行ったり、有給休暇の消化にあてたりしているようです。

また監査に入ると、朝からクライアントの会議室へ出勤し、クライアントと決めた時間まで、財務諸表のチェックや経理担当、営業担当へのヒアリングが繰り返されることに。その作業が終わってからも、事務所などで調書作成を行います。慣れない場所の閉鎖空間での長時間業務になるので、ランチや休憩時間にしっかりリフレッシュしないと体調を崩すことにもなりかねません。監査はチームプレイなので、人間関係をしっかり築くことも重要です。

【仕事の持続性】
USCPAの資格を持っていれば、基本的に、働き方に男女差はまったくありません。とくに外資系企業では、USCPAライセンス取得者は欧米人が多いマネジメント層から財務や会計のプロフェッショナルとして、信頼をもって迎えられます。そのぶん、期待に沿うだけの仕事をしなければならないのは言わずもがなです。

主婦になってから一念発起してUSCPAを取得し、日本の会計事務所で活躍する人もいます。また資格を取得していたので、産休後に容易に復帰できたという女性もいます。結婚している女性の場合、キャリアを優先するか、出産や育児を優先するかで、働き方は変わっていきます。かつては出産や育児を優先した場合、監査法人で正社員のまま働くのは難しい面がありましたが、産休・育児休暇などの制度が整っている職場が増えてきています。仕事と家庭のバランスを保ちながら勤務できる「フレキシブルワークプログラム」を導入したり、子どもが小学校を卒業するまで時間外勤務や休日出勤を免除したりする職場も。さらに、子育て期間中だけは、非常勤会計士として監査法人の繁忙期のみ勤務したり、また外資系企業などの経理担当として週2~3日勤務する選択肢もあります。

近年は、監査法人も会計業界も人材不足。そのため、出産や育児などで資格取得者が離職しないようにすることや、主婦をはじめ勤務時間に制約がある人材でも採用したいと考える採用側の意図が、女性の働き方に大きく影響しているようです。

【転職・スキルアップ・キャリアアップ】
日本のUSCPA取得者のキャリアパスは、外資系企業や日本のグローバル企業に入社する、あるいは監査法人に入所し、ある程度経験を積んだ後、事業会社やコンサルティング会社、投資銀行や投資ファンドに転職する、また、そのまま監査法人に残りマネージャー(監査チームのリーダー)を目指す選択肢もあります。
キャリアアップのためには、英語力に磨きをかけることも大事な要素です。海外に子会社を持つ日本企業や外資系企業などの「リファードワーク(親会社監査人の指示に基づき監査を行うこと)」では英語が必須なので、活躍するチャンスが広がります。メジャーリーグ、ヨーロッパのサッカー界で活躍する日本人の多くは、その国の言語の学習能力が高いという特徴があるのと同じことなのかもしれません。
また、日本の企業や外資系企業の日本拠点で仕事をする場合、日本の会計基準や税法等の知識が必要となる場合もあります。会計専門職としての能力を十分に発揮するためにも、日商簿記検定や税理士試験の簿記論及び財務諸表論、各種税法の学習を通して必要な知識を身に付けることをお勧めします。

一般企業に勤務する場合は、キャリアアップを図る意味で海外勤務を視野に入れるのもいいかもしれません。米国や日本はもちろん、世界中でUSCPA資格を十分活かせるはずです。また海外での経験は、帰国後に転職する際にも大きな武器にもなるでしょう。いずれにせよ、資格取得後も国内外にアンテナを張り、学習を続けることがキャリアアップの王道であることはまちがいありません。

【社会的需要】

いまは空前の売り手市場
活躍の裾野の広がりが需要をさらに拡大

以前は「会計士=監査」という意識が強く、監査法人への就職を前提に資格受験が行われていました。また、かつては公認会計士試験に合格したにもかかわらず、就職できなかったり、監査法人がリストラを敢行したりした時代もあります。しかし、現在は空前の売り手市場(人材不足)。これは今後しばらく続くという予測もされています。

USCPA資格取得者もその例に漏れず、国内外の企業のグローバル化が加速するなか、監査法人だけでなく、企業自体からのオファーも増加の一途をたどっています。米国では監査業務に就くのはUSCPA資格取得者の約4割で、残りは一般企業の経理部門やコンサルティング会社で活躍しています。この傾向は日本でも見られ、公認会計士、とくにUSCPAの資格は多彩な業種・業態で活かすことができるという認識が、受験者や企業側にも広がってきています。

さらに、監査、経理、財務管理以外の業務――企業がM&A(合併・買収)、事業の再構築、新規株式公開などを行う場合に、的確なアドバイスやソリューションを提供するトランザクションサービスの急速な拡大は、国際的な会計基準に基づく専門知識や英語力を持つUSCPA資格取得者の新たな需要を生み出しました。これら社会的環境の変化が、USCPA資格取得者の活躍の裾野を広げ、引く手あまたの需要を生み出しているといっても過言ではありません。

【魅力・やりがい】

USCPA取得で高収入の道も開かれるが
やりがいは働く人のマインド・価値観次第

USCPAの魅力を大まかにいえば、「国際的に通用する資格なので海外でも活躍できる」「今後のキャリアパスで大きくプラスに働く」ということになります。一方で、「USCPAを取得して監査法人に就職したが、監査業務は毎年同じ業務の繰り返し」と感じる人もいるようです。しっかりとした自分のキャリアパスを描かずに、監査法人の高年収に惹かれ転職をした人によく見られるケースのようです。

監査法人の組織は階層に分かれています。経験ゼロで入った場合は、スタッフという職階からはじまりますが、年収500万円くらいからスタートして、数年の経験で1,000万円に届くこともあります。また、大手コンサルティング会社や外資系企業に勤務する場合も、監査法人と同程度の年収が期待でき、さらに経営者ともなれば1億円近い年収を得る人もいます。一般企業でも出世ができる要素が多く、努力次第ではそれ相応の年収を得られる可能性があります。高年収を期待できることが、USCPA資格の大きな魅力のひとつとなっているのは、当たり前のことともいえます。

ただ、USCPA資格取得者のなかには、年収を度外視して、IPO(新規株式公開)などの業務を通してベンチャー企業を支援することにやりがいを見出す人もいます。その人たちは、企業の成長を目の当たりにすることで、自分の成長を実感しているのです。USCPAの魅力・やりがいは、その人のマインド・価値観次第ともいえるでしょう。

【USCPAになるためには】

平均合格率は約60%だが全4科目の合格が必要
ライセンス申請にはさらに1ステップが加わる

まず、州によって受験要件が異なったり、日本での受験に参加していなかったりするので、どの州に出願するかを検討しましょう。試験会場は、米国国内に約300か所、日本の受験会場は東京・大阪の2か所。1年を3か月ごとの4つの期に分け(Windowと呼ぶ)、各Windowとも2ヵ月プラス10日(1/1~3/10、4/1~6/10、7/1~9/10、10/1~12/10)に試験を実施。受験票(NTS)を入手すれば、実施期間中の好きな日時に、会場となるプロメトリックテストセンターの座席を予約し、受験することが可能です。

試験科目は、FAR(財務会計)、BEC(企業経営環境・経営概念)、REG(諸法規)、AUD(監査及び諸手続き)の4科目で、出題形式は大きく分けて4択問題とシミュレーション問題Written Communication(記述式問題)の3種類。Written Communication問題はBECのみで出題されます。受験者ごとに異なる問題が出され、コンピュータ上の各種機能を用いて解答を行うシステムになっています。受験生の人数に関係なく、各科目とも75点以上が合格となる絶対評価。4科目の各合格率は、50%前後(日本人に限ると若干低くなる)となっています。

また、試験は1科目ずつの受験が可能で、科目合格の有効期限は18か月。有効期限内に4科目の合格が揃えば、「全科目合格者」になり、履歴書などにも記載することができます(18か月以内に全科目合格できない場合は、18か月経過した科目の合格が失効します)。さらに、ライセンス(営業免許)取得にはライセンス取得のための教育要件(取得単位等)を満たすことと実務経験が必要となり、その要件も州によってさまざま。実務経験が該当しないなど、全科目合格した州でのライセンス取得が難しい場合は、合格実績を他の州に移してライセンスを取得する場合もあります。

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<おすすめの受験&ライセンス取得法>
受験の要件や出願のしやすさを考慮してアラスカ州で受験。4科目合格後に、単位を追加取得するなどしてワシントン州のライセンス要件を満たし、合格実績をワシントン州にトランスファーしたうえで、ワシントン州のライセンスを取得するのが、効率的です。 また、ライセンス取得に必要な実務を得ることが難しい場合は、実務経験なしで名刺に記載可能なInactive License取得を目標に、グアムに出願する方法もおすすめのひとつです。

【おすすめの学習プラン】

学習時間は1,000時間、準備期間は1年~1年半が目途
独学も可能だが、最新情報を得られる資格スクールが現実的

BEC(企業経営環境・経営概念)のみ記述式問題がありますが、USCPA試験の4科目の大半は選択式の問題です。シミュレーション問題という文章題も出ますが、数値などを求める選択問題の応用編のようなもの。論文がある日本の公認会計士試験に比べれば、比較的受験準備は少なくて済みます。受験のチャンスも、1科目ごとに年に4回チャンスがあります。また、USCPAの試験問題は基本的にはシンプルなので、講義をひと通り受けた後(資格スクールがおすすめ)は、過去問などの問題集に取り組むのが合格への近道といわれています。
<学習時間>
英語の学力(TOEIC®で650点以上、英検2級程度)や、会計学、簿記などの知識の有無によっても変わりますが、全科目合格までの一般的な学習時間は1,000時間です。平日(月~金)に1.5時間/日、土日に3時間/日 を学習にあてたとすると、週13.5時間、1年半の学習で全科目合格の目安となります。
<独学か資格スクールか?>
独学を考える人もいますが、USCPAを効率よく勉強するには資格スクールを利用したほうが現実的。理由としては、受験に関するさまざまな情報を入手するまでが煩雑だったり、独学に向く教材が手に入りにくいという点があります。そして、もっとも重要なのは、資格スクールが持つ最新情報ほど、受験に役立つものはないからです。

【学費はどれくらいかかるの?】
独学-約5万円(テキスト代のみ)
資格スクール(Web+通学)-約45万~75万円(会計・ビジネス単位の取得数などにより大きく変化)

*受験には、1科目約7~8万円の費用(登録料、受験料、International Fee<日本会場受験の場合>、学歴審査などを含む)が発生します。

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