危険な場面から人々を救いだすエキスパート

消防士

消防士は、管轄する地域の住民を、火災や事故、災害などから守る役目を担っています。消防士が公務員だということは知られていても、実際にどんな試験を受けて選抜され、どんな働き方をしているのかはあまり知られていません。ここでは、火災現場で活躍する「消防士」の仕事内容や、魅力・やりがいについてご紹介します。

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消防士とは 消防士が活躍できるフィールド ワーク・ライフ・バランス 社会的需要 魅力・やりがい 消防士になるためには おすすめの学習プラン

消防士になると・・・

□緊急時の消防防災活動の第一線で活躍できる
□公務員としての安定した生活保証がある
□女性でも活躍できる

火災の際に消防隊として消火活動を行ったり、119番を受け傷病者に応急処置を施しながら医療機関へ搬送したり、事故現場からけが人を救出したり。消防士は、これら火災、救急、事故、災害時などの緊急時に、いち早く現場に駆けつけ救助にあたるのがおもな仕事です。地域住民を守る、身近なヒーローともいえるでしょう。危険が身近な仕事ではありますが、人の役に立てるやりがいのある仕事であることは間違いありません。

消防士は「地方公務員」であり、市町村ごとに置かれている組織のため、所属は市町村(東京都は異なり都職員)となります。給与は地方公務員と同じ市町村の給与規定に準じ、ボーナスや退職手当・退職年金なども受け取ることができます。一般企業勤務の場合、給与は景気の良し悪しに左右されますが、公務員である消防士はその心配がありません。そのため、比較的安定した生活を送ることができます。

男性の世界のイメージがある消防士ですが、消防士として活躍している女性も珍しくありません。消防士の仕事は力が必要なものばかりではなく、予防業務や119番通報を受ける通信指令室での勤務など業務の種類も多く、女性職員の数は少しずつですが増加傾向にあります。総務省消防庁では、全国の消防職員に占める女性の割合を2026年4月までに5%へ引き上げる数値目標を掲げており、今後消防士として活躍する女性はより一層増えていくことでしょう。

【消防士とは】

火災、救急、事故、災害時などの非常時に
人々の安全を守るプロフェッショナル

消防士は、各地方自治体の消防本部に所属し、火災現場の消火活動や傷病者の応急処置・搬送などを行う地域住民の安全を守る仕事です。

消防士がおもに活動する場面は、火災、救急、事故、予防、災害、の5つ。
① 火災
「消防士」と聞くと、最初に火災現場での消火活動をイメージしますが、消防士の仕事は消火活動だけではなく、逃げ遅れた人の救助や負傷者への応急処置・搬送、鎮火後の原因調査なども含まれます。出火原因、初期消火の状況、損害などを詳しく調べることが、未来の火災を防ぐ助けになるのです。

②救急
急病などで119番通報すると救急車が来てくれますが、この救急車に乗っている人も消防士です。傷病者への応急処置を行いながら、医師のもとまで搬送します。緊急救命士資格保持者は、医師の指示のもと、より高度な救急救命処置を行うことができます。緊迫した状況下の厳しい現場で働くことになりますが、やりがいのある仕事です。

③事故
交通事故や山岳事故、水難事故、化学工場などでの爆発事故など、さまざまな事故現場で要救助者を助け出すのも消防の大切な仕事です。たいてい事故現場には、まず消防隊や救急隊が先着し、状況に応じた救助を試みたうえで、救助が難しい場合は、救助に対するより専門的な知識や技術を有する「救助隊」が出動することになります。

④予防
未然に災害を防ぐための活動を行う「予防」は、防火対象物の検査や指導がおもな任務となります。スプリンクラーや火災警報器、火災報知器などが適切に設置されているかどうか、飲食店や商業施設などの立ち入り検査を行います。

⑤災害
地震や洪水、土砂災害などの大規模災害が発生したときに、迅速に対応できるよう、近隣の消防本部同士が相互応援協定を結んでいます。万一の事態にどのような連携をして対処するのか、さまざまな事態に備えた異なるアクションプランが想定されています。

【消防士が活躍できるフィールド】

所属する市町村の消防署所で勤務
火災、救急、事故、災害時など活躍する場面は多い

●働く場所-採用された市町村に所属する。

●活躍の場-火災現場での消火活動、緊急の傷病者の応急処置や搬送、事故現場での救助など、地域住民の安全を守る。

<働く場所>
消防士は市町村に属しているため、採用された市町村での勤務となります。「生まれ育った地元を守る消防士になりたい」という人は、地元の本部の採用試験を受ける必要があります。勤務地域にこだわらず、「とにかく消防士になりたい」という人なら、いくつかの消防本部に出願(併願)しておきましょう。また、なりたい職種から働く場所を選ぶケースもあります。救助隊員になりたい場合、職員数が多い消防本部は志望者も多い傾向があり、定数が限られている救助隊員は狭き門となります。小規模な消防本部なら志望者も少なく、比較的早く救助隊員になれる可能性があるため、小規模な消防本部を選んで出願する方法もあります。

<活躍の場>
消防士のおもな活動は5つ(消火、救急、救助、予防、防災)。それらの活動を支える職種はどんなものがあるのか見ていきましょう。自分が将来どんな姿で働きたいのか、目指す姿がイメージできるでしょう。

(消防隊員)
消防士と聞いて一番にイメージするのは、ポンプ車に乗り火災時の消火活動を行う消防隊員でしょう。消防学校での初任教育を終え、各消防署に配置されると、まずこの「消防隊員」になります。火災現場での消防隊員の仕事は、消火活動だけでなく人命捜索、救出活動などもあります。

(救助隊員)
消防の人気職種のひとつである「救助隊員」は、人命救助のスペシャリストであるレスキュー隊員として知られています。オレンジ色の隊服を身につけたレスキュー隊員が、人命救助にあたる姿はニュースなどでよく見られるため、救助隊員を目指す消防士はとても多く人気があります。

(救急隊員)
私たちが急病などの際、救急車の救援を呼ぶため119番通報をすることがあります。これらの要請に応じて出動するのが救急隊です。多くの救急隊は、消防隊と同じく消防署での勤務となります。救急隊は通常3名で編成され、そのうち1名以上が国家資格である「救急救命士」の資格保有者であることが多くみられます。

(予防課員)
火災を未然に防ぐための「予防」も消防士の重要な業務のひとつです。法律に基づき消防設備の設置指導や考察、一般市民の防災知識の向上を図ることも予防課員の仕事です。災害が起きた際に出動する消防隊員などと異なり、普段から一般市民や企業と関わることが多く、勤務体制も24時間制ではなく毎日勤務となります。

そのほか、指揮隊員、司令係員、消防ヘリでの消火や山岳・水難救助にあたる「航空隊員」、船舶火災や水難救助事故に備える「舟艇隊員」など、多くの職種があります。

【ワーク・ライフ・バランス】

消防職員は24時間体制
やる気次第でキャリアアップも可能

【ワークスタイル】
<消防学校での生活>
消防職員として採用が決まると、まずは消防学校で「初任科教育」を受ける必要があります。半年間は全員が入寮し、試験区分に関係なく共同生活を送ります。そこで基礎的な学びと訓練が行われ、現場で動ける即戦力を鍛えるのです。この期間は、学生でもあり消防職員でもあるため、学費は必要なく給与も支給されます。

<消防隊員としての生活>
初任科教育が修了すると、いよいよ消防署での勤務がはじまります。どんな隊、職種を希望していても、まずは消防隊としてスタートすることになります。消防隊員は24時間体制での勤務となり、翌日の朝8時半ごろの交替まで、一日中出動に備えます。もちろん、休憩や仮眠時間もありますが、司令があればすぐに出動しなければなりません。

【仕事の継続性】
消防士は公務員であるため、各種手当や補償が手厚くなっています。火事や事故現場に出動する消防士は、出動するごとに「特殊勤務手当」がプラスされ、夜間勤務に伴う加算もあります。また、多くの消防署では専用の寮が用意されており、通常にくらべて格段に安く借りることができます。既婚者のための家族寮もあり、結婚してからの住まいの心配もほとんど必要ありません。危険でハードな仕事ではありますが、そのぶん手厚い待遇を受けることができるため、継続性の高い仕事といえるでしょう。

【キャリアアップ】
ある程度キャリアを重ねたあと、消防学校で行われる「専科教育」で隊員としてキャリアアップする機会があります。ここでは、専門分野ごとの知識や技術を学びます。特別救助隊員になるには「救助科」、救急隊員になるには「救急科」を受けるなど、自分の携わりたい業務によって必要な科目は異なります。また、各本部の幹部クラスの隊員には、「消防大学校」でより高度な専門教育を行うなど、各々のレベルアップに適した環境が用意されています。

【社会的需要】

救急出動回数は年々増加傾向
消防士の社会的需要は高い

人口が減り続けるなか、救急車の出動回数は年々増加傾向にあり、一部の消防署では人員不足が問題となるなど、消防士の重要性が叫ばれています。

横にスクロールしてご覧ください。

また、ここ最近の日本は大規模災害に見舞われることも増え、消防士の救助活動が必要となる機会が多く見受けられます。それだけ社会的需要が高いといえるでしょう。

消防士は公務員であり、不景気などにも強く、必ず需要がある職業です。そのため、住民の安全を守る役割を担う「消防士・警察官」などの人員が削減されることは、あまりないと考えられます。そうした意味でも、今後も安定した需要が見込める職業のひとつです。

【知っておきたい法改正】
1994年「女性労働基準規則の一部を改正する省令」により、女性消防職員の深夜業が解禁。これにより、司令管制、救急、指揮隊などにも女性が従事できるようになりました。また、2004年には、毒劇物等に係る特殊災害への対応を除く警防業務にも女性が従事できるようになりました。

【魅力・やりがい】

自分の手で人を助けることができる
地域住民の身近なヒーロー

●人を助けることのできる仕事
何よりの魅力は、人の役に立てる仕事だということでしょう。困っている人を、自分の手で直接助けることができる。そうした仕事は意外と少ないものです。危険に身をさらすことはもちろんありますが、そのぶんやりがいも大きく感じられる仕事です。

●地域の安全を守る
消火活動だけでなく、未然に災害を防ぐための活動も行うのが消防士。建物の安全性の確認、消防設備の確認などを通して、地域の安全を守る存在となるのも、やりがいのひとつでしょう。

【消防士になるためには】

「消防士採用試験」に合格する必要がある
体力検査、面接、集団討論などの準備も必要

消防士になるには、各自治体が実施する「消防士採用試験」に合格しなければなりません。
消防士採用試験は、年齢や学歴、資格等によって受験できる試験が異なるため、まずは自分の試験区分を把握しましょう。試験区分は、「I類/Ⅱ類/Ⅲ類」「上級/中級/初級」「A種/B種」に分かれていることが多いのですが、各自治体によって詳細は異なります。まずは、志望する自治体がどのような区分となっているのか、確認することが大切です。また、通常の教養試験に専門試験が加わる「専門系」もあります。

大卒(程度)はⅠ類、短大卒(程度)はⅡ類、高卒(程度)はⅢ類を受験することが一般的ではありますが、これは学力の目安として設定されていることが多く、はっきりと「卒業」と記載がなければ、高卒の人でもⅠ類を受験することは可能です。採用試験の区分は、採用後の働き方に区分が適用され、初任給、昇進・昇給などに違いがでてくるため、慎重に選択するようにしましょう。

消防職での採用試験では、体力検査が行われます。一次試験で筆記試験とあわせて行われたり、一次試験は体力検査のみで、その後筆記や面接があったりするケースもあります。二次試験は面接や集団討論が行われます。過去にどんなテーマが出題されたのか情報を集め、事前によく準備しておきましょう。

【おすすめの学習プラン】

独学での合格も可能だが、
資格スクールや専門学校を活用すると効率的

消防士になるためには、消防士採用試験を突破する必要があります。そのためには、まず筆記試験の勉強が大切です。独学でも筆記試験の合格は不可能ではありません。現に独学で勉強し、合格して消防士として活躍している先輩方もたくさんいます。

しかし、自分での情報収集や計画立てて学習することが苦手な人は、資格スクールや専門学校を利用すると効率的に学ぶことができるでしょう。専門学校によっては、面接対策や論文添削はもちろん、救命講習などがカリキュラムに組み込まれていることもあります。自分の状況に適した学び方を探してみてください。

【学費はどれくらいかかるの?】
独学-約2,000円(テキスト1冊分)
通信教育-約5~10万円(平均)
資格スクール-約20~30万円(平均)

※試験合格までにかかる一般的な費用ケースを記載しておりますので、金額に関しては個人差が生じ、異なる場合がございます。ご了承ください。

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