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社労士(社会保険労務士)

人にやさしい職場環境をつくるために、高い専門知識と優れたスキルを活かし、労務管理をはじめ、複雑な社会保険や年金のアドバイス、コンサルティングを行う社労士。強力なパートナーとして企業からのオファーも多く、活躍の場が広がっています。

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社労士の仕事内容とは 社労士になるにはどうすれば良い? 気になる社労士の年収・給料は? 社労士としての働き方は大きく分けて2つある 社労士のキャリアパス これからの時代に求められる社労士像とは おすすめの勉強法と学習費用 まとめ

社労士とはどんな仕事?気になる年収やキャリアパスを解説!

社労士とは、社会保険と労務に関する法律の専門家です。社労士が活躍できるフィールドは社労士事務所や企業がありますが、社労士の資格さえあれば、経験を積んで独立開業することもできます。

また、今後は"団塊の世代"が後期高齢者(75歳)の年齢に達するいわゆる2025年問題で親の介護のため離職する人が増加することも懸念されていますが、社労士であれば、一度離職してもライフスタイルに合わせて働くことも可能です。

そんな魅力ある社労士とは、具体的にどのような仕事をするのでしょうか。気になる年収やキャリアパス、将来性まで踏み込んで解説します

社労士の仕事内容とは

社労士の仕事内容にはどんなものがあるのでしょうか?魅力とやりがいも併せて紹介します。

社労士の仕事内容

社労士の仕事は大きく3つの分野に分かれますが、このうち1号業務と2号業務は社労士の独占業務であり、社労士の資格を持たない者が行なうと違法となります。

労働社会保険の諸手続きの代行(1号業務)

複雑かつ多岐にわたる労働社会保険の諸手続きの代行をします。労働社会保険諸法令に基づき、算定基礎届などの届出書や申請書、報告書などさまざまな書類を作成し、行政機関に提出する役割を担っています。

帳簿書類の作成(2号業務)

労働者名簿や賃金台帳、出勤簿など、労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類を作成します。これらの書類は作成が義務づけられており、労務管理にはなくてはならないものです。

コンサルティング業務(3号業務)

個人からの年金や労働に関する相談業務や、企業が法律をもとに雇用を管理できるように支援する人事労務管理のコンサルティングを行ないます。

社労士と同じような法律の専門家に弁護士がいますが、弁護士はどちらかというと、トラブルが起こったときに解決するのがおもな役割です。一方、社労士は社内体制を整備することでトラブルを予防する役割を担っているといえるでしょう。

社労士の魅力・やりがい

社会保険や労働法規に詳しい社労士は、企業の雇用環境の改善や健全化の一助を担える職業です。また、労働者側・経営者側の両面からサポートできるのも社労士の魅力です。

労働者側へのサポート

日本にはさまざまな種類の社会保険や年金があり、それらは労働者の生活にも関わる非常に大切な制度ですが、よくわからないまま「なんとなく」加入している人も多いのが実情です。そうした人々に対して、社会保険制度や年金制度をわかりやすく説明するのも社労士の役割です。また、未払い賃金や不当解雇、ハラスメントなどで困っている労働者の相談に応じて、休職・復職のサポートを行なうこともできます。

経営者側へのサポート

企業の社会保険の加入手続きや雇用管理についてアドバイスするほか、労働者が企業から不当な扱いをされたとき、経営者に提言して状況を正す役目が社労士にはあります。そうすることで、企業が正しく健全に活動できるように導くことができるのです。

また、例えば「就業時間は〇時間と決まっているが、シフト制のため始業時刻と終業時刻が日々バラバラである。それを就業規則にどう記載すればいいか」など、法律書には書いていないようなことも経営者にアドバイスできます。

また、社労士試験は毎年、合格者のおよそ3人に1人は女性です。ライフステージの変化があっても、短時間勤務、あるいは独立して勤務時間をコントロールしながら働き続けられるところも、女性にとっては魅力的ではないでしょうか。

社労士になるにはどうすれば良い?

社労士は国家資格の一つです。そのため、社労士になるためには、国家試験である社会保険労務士試験に合格しなければなりません。

受験資格や試験科目

受験資格や試験科目は以下のとおりです。

受験資格

社労士試験を受験するには、以下のような学歴・実務経験・国家試験の合格のいずれかが必要です。

  • 大学・短期大学・専門職大学などを卒業した者
  • 全国健康保険協会、日本年金機構、社労士事務所などでの実務経験が3年以上ある者
  • 司法試験の予備試験、行政書士試験、厚生労働大臣の認める国家試験に合格した者

詳しくは社会保険労務士試験オフィシャルサイトを参照してください。

試験科目

法律 6科目、一般常識 2科目の計8科目から出題されます。

  • 労働基準法及び労働安全衛生法
  • 労働者災害補償保険法
  • 雇用保険法
  • 健康保険法
  • 厚生年金保険法
  • 国民年金法
  • 労務管理その他の労働に関する一般常識
  • 社会保険に関する一般常識

試験は選択式と択一式があり、選択式は各科目5点、択一式は各科目10点(一般常識はまとめて10点)という配点です。

法律科目については、それぞれの科目について細かい数字まで把握しなければなりません。また、一般常識科目は試験範囲が膨大なうえに出題予測が困難なため、非常に対策がたてづらいといえるでしょう。

社労士試験は、科目ごとに合格ラインとなる「合格基準点」が設定されています。そのため、1科目でも基準点を満たしていない場合は不合格となるのです。合格基準点は難易度により多少上下しますが、まんべんなく点数を取れるようにしなければなりません。

合格率は一桁の狭き門

社労士試験の合格率は毎年数%で推移しており、難易度は高いといえます。下のグラフを見れば、その合格率の低さは一目瞭然でしょう。

しかし、社労士の資格は更新などの必要はなく、一度合格すれば一生使える資格です。社労士の資格さえあれば、企業でも士業事務所でも社会保険や労働法令の専門家として活躍できるでしょう。

ただ、勤務社労士や開業社労士として仕事をする場合は、2年以上の実務経験または指定の講習を受け、各都道府県社労士会への登録が必要です。

気になる社労士の年収・給料は?

「社労士になるとどれぐらい稼げるの?」と気になる方も多いでしょう。実際、社労士の年収や給料の相場はいくらなのでしょうか。

平均は500万円前後

厚生労働省の「令和元年度賃金構造基本統計調査」によれば、社労士の平均収入月収約33.5万円、賞与約120万円で、年収にするとおよそ500万円となっています。社労士の仕事は事務手続きや相談業務がメインとなるので、体力や持久力の要求される仕事ではありません。そのため、男女で収入に大きな差がないことが特徴です。

勤務社労士か開業社労士かで収入が大きく異なることも

会社に勤める勤務社労士か、自分で社労士事務所を経営する開業社労士かで、収入が大きく異なることもあります。

勤務社労士は会社ごとにある程度年収が決まっており、がんばってもそれ以上の収入を得るのは難しいのが現状です。一方、開業社労士の場合は、何社も顧問契約を取るなどしてコンスタントに収入が入ってくるようにすれば、努力次第で年収1000万円以上を目指すことが可能です。

ただし、開業したてでまだ顧客がついていない段階では、年収が100万円~200万円になる場合もあります。開業を目指すのであれば、ある程度運転資金や生活資金をためてからチャレンジするほうが良いかもしれません。

社労士としての働き方は大きく分けて2つある

社労士に登録すると、「開業」と「勤務等」のどちらかを選んで登録することになります。それぞれの働き方について、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

開業社労士の場合

開業社労士は自分で社労士事務所を立ち上げ、自営業のスタイルで働く働き方です。給与計算や社会保険の手続き業務などを少しずつ獲得し、徐々にコンサルティング業務も行なえるようにしましょう。

メリット

開業する一番のメリットは、自分の知識を使って顧客が抱える課題を直接解決できるという達成感があることです。また、自分の裁量で仕事ができ、やればやるほど収入に結びつきやすいといえます。会社員と違って固定給があるわけではなく、収入は青天井なので、勤務社労士に比べると稼げる可能性は十分にあります。

デメリット

開業社会労務士は、開業したからといって自然に仕事が舞い込んでくるわけではないので、積極的に営業し、安定した収入を得ることができなければ勤務社労士よりも年収が低くなる可能性もあることが開業のデメリットといえるでしょう。

また、働く時間はクライアントにより左右されるので、平日夜間や土日に呼び出されて相談に乗ることも少なくないでしょう。さらに、年末調整や入退社の多い春先などは手続きが集中し、多忙になる傾向があります。

勤務社労士の場合

勤務社労士とは、企業の人事部や総務部または社労士事務所をはじめとする既存の士業事務所に所属して働く働き方です。企業の中で給与計算や社会保険の手続き、コンサルティング業務の役割を担います。

メリット

開業型とは異なり、自ら積極的に営業をせずとも勤務していれば一定の業務が与えられるので、雇用や収入が安定することが一番のメリットです。勤務先によっては、社労士資格があれば資格手当がつくこともあります。また、転職する際にも社労士の資格があることで選考上有利に働くことも少なくありません。

デメリット

社労士の資格を持っていても、雇用されている以上その勤務先のルールにしたがって働くことになります。そのため、「今以上に収入をアップさせたい」「ライフスタイルに合わせて自分の裁量で仕事がしたい」と思っても、難しい点がデメリットです。

会社の業務時間に合わせて働くので、労働時間はほかの社員とあまり変わりませんが、年末調整などの時期は多忙になり、休日出勤をすることもあります。

社労士の一日

社労士になると、どのような一日を過ごすことになるのか、あまりイメージがわかない方も多いでしょう。ここでは、社労士事務所に勤務している社労士の一日のスケジュールを紹介します。

なお、業務の繁閑によって一日の過ごし方には差が出てきますので、勤務社労士になることを検討されている方は、面接などで実際に勤務社労士をしている方のお話を聞いてみると良いでしょう。

社労士のキャリアパス

社労士が働くフィールドはおもに士業事務所、企業の人事部・総務部、コンサルティングファームの3つに分かれます。

社労士事務所・法律事務所などの士業事務所

社労士の資格を取って社労士事務所もしくは法律事務所などで働くことは、最もオーソドックスなキャリアパスといえるでしょう。士業事務所での業務内容は、企業の労務管理サポートから労働相談、社会保険の手続き代行などです。

会社を起業される方からの依頼で就業規則を作る、あるいは既存の顧客からの依頼で就業規則の見直し・アドバイスなどをすることもあります。

最初の2~5年は給与計算や社会保険の手続きなど基本業務をこなして実務経験を積み、そのあとはコンサルティング業務へとステップアップするパターンが多いでしょう。なかには、社労士事務所で経験を積んで独立する方もいます。

企業の人事部・総務部

女性に特に多いのが、企業の人事部や総務部で働く方です。社労士の知識を活かして、社会保険事務や給与計算、人材開発に携わるほか、福利厚生の制度作りにも従事します。

企業側にとっても社労士を雇い入れることで外部の社労士に業務を委託しなくてもすむメリットがあるので、積極的に社労士を採用する企業もあります。

入社後、3~5年程で主任や課長となり、その後5~10年で部長クラスになるのが企業で働く勤務社労士の一般的なキャリアパスです。主任や課長クラスになると、労務関連の専門知識を活かしてスタッフの育成・指導など部門マネジメントに関わることもあります。

また、部長クラスになると人事・採用計画に携わるほか、大手企業であれば子会社の人事管理や人事マネジメントなども任されることもあるでしょう。

コンサルティングファーム

社労士事務所でしばらく実務経験を積んだあと、コンサルティングファームに入って活躍する方も少なくありません。

社労士として人事・労務に関するコンサルティングをしたり、顧客の労務管理上の問題点についてアドバイスをしたり、問題解決をサポートしたりします。

企業はさまざまな労務管理上の問題を抱えているため、幅広い事例を経験することで自分の専門性をさらに高めることもできます。

コンサルティングファームで5~10年ほど経験を積めば、独立やパートナーといったキャリアパスも視野に入れられるでしょう。

これからの時代に求められる社労士像とは

社会で働くうえで、社会保険や労働関連法令の知識は必要不可欠です。そのため、社労士の資格を持っていればどのような働き方をしていても役立ちますし、労働問題などで困っている人を助けることもできます。

しかし、これからの時代は社労士をはじめとする士業にはさまざまな壁が立ちはだかるかもしれません。その壁を乗り越えるにはどうすれば良いのでしょうか。

社労士の仕事はなくなる?

近年はクラウド・AI技術の発達により、あまり知識のない人でもパソコンのソフトにデータを打ち込めば給与計算や書類作成ができるようになりました。そのため、社労士だけでなく、士業全体の業務が減りつつあるといわれています。今まで社労士に委託されていた給与計算・手続き代行のニーズも減少していることも事実です。

複雑化する業務への対応スキル・コンサルティング能力が要に

ただ、昨今は働き方改革や副業・複業解禁により雇用形態も多様化し、業務が複雑化しています。また、ブラック企業問題、各種ハラスメントなど労働問題も依然として多いのが実情です。これから求められるのは、そういった複雑な業務や「ヒト」の問題に対応できるスキルや顧客の悩みを解決できるコンサルティング能力でしょう。そのため、ある意味社労士にとって追い風が吹いているともいえます。

社労士事務所や企業での実務経験と社労士の資格があれば、それを武器にキャリアアップをねらうことも可能です。また、独立を目指すのであれば、中小企業診断士、年金アドバイザー、行政書士などの資格も取得し、ダブルライセンスで仕事の幅を広げるのも良いでしょう。

おすすめの勉強法と学習費用

   

社労士試験という難関試験に合格するには、どのような勉強方法が良いのでしょうか。学習費用と併せて見ていきましょう。

社労士資格の特徴

試験範囲が8科目と広いうえに、1日でまとめて試験が行なわれます。最も難しいのは労働管理と社会保険を扱う「一般常識」とも言われており、独学での対策が難しい試験です。

おすすめの学習プランは資格スクールでの勉強

社労士の勉強の仕方には次の3つがあります。

独学

最も費用がかからない方法ですが、参考書や問題集選びなど学習方法を探すことから始めることが必要です。また、わからないことがあっても質問ができない点や、法改正のキャッチアップができない点もデメリットです。資格スクールを利用すれば、講師にわからないことがその場で聞けるうえに法改正のポイントも教えてもらえますが、独学の場合は自分で情報を取りに行かなければなりません。

通信教育

eラーニングやDVDなどで受講できるため、いつでもどこでも好きなタイミングで自分のペースで勉強できる点や苦手分野を重点的に勉強できる点がメリットです。同じ試験に向けて勉強する仲間や講師がいないため、モチベーションを保つことが難しく、挫折しやすいこともあります。

資格スクール

合格点を取るためのポイントを押さえた講座やテキストが用意されており、わからないことがあってもすぐに講師に聞ける点が資格スクールのメリットです。また、決まったカリキュラムにそって授業が進むので、それをペースメーカーに勉強がしやすい点がメリットです。教室には同じ目標を持った仲間もいるので、モチベーションが保ちやすいともいえます。

大原には、欠席フォローや振替出席制度、Web講義の標準装備など、忙しいなかでも勉強が続けられるようなサポート体制が充実しています。

学習にかかる費用

それぞれの学習方法にかかる費用は以下のとおりです。

  • 独学:約1万円(テキスト代のみ)
  • 通信教育:約7~20万円(動画講義・質問サポートなどの有無により金額は異なる)
  • 資格スクール:約17~20万円

大原では、本試験の受験経験者に対して対象コースの受講料を20%オフ、50歳以上の受講者を対象に受講料を10%オフにするなど、各種割引制度が豊富に用意されています。ご自身がどの割引の対象となるかわからない場合は、お近くの大原までお問い合わせください。

まとめ

社労士は難関試験の一つではありますが、働くうえで必要な知識が得られるうえに合格すればキャリアアップも見込める資格です。働き方改革や雇用形態の複雑化が追い風となり、今後社労士の知識が求められることが増えてくることが予想されます。

社労士試験にチャレンジする際は、資格の大原で学んでみてはいかがでしょうか。
大原には以下のような強みがあります。

  • 2011年~2019年社会保険労務士試験 大原生の合格実績3,319名
  • 受験指導のプロである講師陣が徹底指導
  • 合格ノウハウを結集させた新作のオリジナル教材
  • 理解力・解答力を向上させる合格のためのカリキュラム

忙しくても勉強を続けられるようなサポート制度や各種割引制度も整っていますので、一度大原の相談会や個別受講制度で相談されることをおすすめします。

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