税金の専門家として企業や個人の税務相談をサポート
税理士は、税理士法の定めにより企業や個人の依頼に応じて各種税務書類の作成、税務署への申告や申請の代理、税務相談を独占的に行う「税金」のスペシャリスト。これら税理士にしか許されない独占業務に加えて、税務を通じて経営やビジネスと密接に関わるのが税理士です。企業の財務や会計に関する数値を分析し、事業計画の立案や経営方針へのアドバイス、財務諸表の作成などを行うこともあります。
この記事では、税理士試験に関心を持つ方のために、試験科目や受験資格、合格までのスケジュールなどを詳しく解説しています。
多くの合格者が実践している税理士試験の勉強方法や受かるためのコツなども紹介してますので、どのような勉強をすべきか悩んでいる方も、ぜひ本記事の内容を参考にしてみてください。
税理士試験とは、税務の専門家である税理士になるための国家試験です。受験資格や試験科目などの詳細は、国税庁で決めています。
税理士試験の試験科目は、全部で11科目が用意されており、内訳は以下となります。
このうち実際に受験するのは、本人が選択した5科目です。これらの科目は、すべて自由に選べるわけではなく、以下のルールにしたがって各受験者が選択します。
必修科目(2科目)
会計科目の「簿記論」と「財務諸表論」の2つは、必ず選ぶ必要があります。
選択必修科目(1科目以上)
税法科目の「法人税法」もしくは「所得税法」のうち、どちらか1科目以上を必ず選択する必要があります。
選択科目(残りの科目)
税法科目の「相続税法」、「固定資産税」、「国税徴収法」、「消費税法または酒税法」、「住民税または事業税」の中から残りの科目数を選択する必要があります。
税理士試験の大きな特徴として、「科目合格制」であることが挙げられます。これは、科目ごとに合格の可否が判定され、一度合格した科目は、生涯有効となる制度です。また、5科目を同時に受験する必要はなく、1年に1科目づつ受験することもできます。
例えば、1年目に必修科目となる簿記論及び財務諸表論と、選択科目である相続税法を受験し、簿記論と相続税法に合格し残りの科目は不合格だったとします。すると、次年度以降は合格した2科目の有効性が保たれているので、残りの3科目の学習に集中して取り組むことができ、毎年目標を絞って少しずつ合格に近づくことができるのです
税理士試験(税法科目)では、以下のようにさまざまな分野の受験資格を定めています。
※令和5年度(第73回)税理士試験より、必須科目である簿記論および財務諸表論については受験資格が撤廃され、どなたでも受験できるようになりました。
社会科学に属する科目については、以下内容に含まれる科目であれば、専門科目ではなく一般教養科目でも受験資格に該当します。
日商簿記とは、日本商工会議所主催の簿記検定のことです。全経簿記検定上級には、昭和58年度以降の合格者に限られるという条件があります。
法人もしくは個人の会計に関する事務とは、複式簿記による仕訳や決算、財務諸表作成などの事務を指しています。職歴内の勤務先が複数にまたがっていても、通算して2年以上の従事をしていれば受験資格が与えられます。
以下のいずれかに該当した場合、国税審査会の個別認定によって、受験資格が認められることがあります。
ここまで紹介した受験資格の条件には、それぞれに証明書類などの注意事項があります。
また、国税審査会による個別認定の場合、他の要件で受験資格が認められることがあるとされています。
そのため、将来的に税理士試験を受ける可能性がある場合は、早めに国税庁のホームページなどを見て詳細を確認してください。
資格条件による受験資格の中に、日商簿記検定1級の合格者、全経簿記検定上級の合格者とありますが、簿記で学んだ内容は税理士試験で活かすことができます。
必須科目である「簿記論」と「財務諸表論」には、簿記検定で学習する内容が含まれており、「所得税法」や「法人税法」「消費税法」「事業税」といった選択科目でも、簿記の知識が前提で出題されるため、関連性は高いと言えるでしょう。
いきなり税理士試験の勉強をするのではなく、簿記で基礎知識を身に付けたあとに、税理士試験に挑戦するのも一つの手です。
税理士試験における1年間のスケジュールは、以下のとおりです。
公告の別表には、受験地ごとの申込用紙の交付や書類の郵送先なども記載されています。税理士試験の官報公告が行なわれる日程は、国税庁のホームページで確認してください。
税理士試験の受験案内および受験願書は、全国12ヵ所の国税局および沖縄国税事務所で交付されます。これらの場所に行けないときは、郵送での請求も可能です。
税理士試験の受験申し込みは、受験者ごとに郵送で行ないます。なお、以下のようなケースに該当した場合は、不受理となる可能性があるので注意が必要です。
また、税理士試験の受験手数料は、申し込み科目数によって異なります。申し込み時には、願書内の所定の場所に申し込み科目数と受験手数料を記載したうえで、以下に該当する金額の収入印紙を消印なしで貼り付けるようにしてください。
税理士試験は、以下の受験地で3日間かけて行なわれます。(受験地は年度により異なる場合がございます。)
令和5年度試験の日程(予定)は、以下のとおりです。
【8月8日】
【8月9日】
【8月10日】
税理士試験では、このように試験日前に変更が入ることもありますので、申し込み時には実施地などの内容を改めて確認しておきましょう。
合格者の発表方法は、受験者の合格科目数などの条件によって異なります。
税理士試験の合格率と難易度についても見ていきましょう。
以下は、令和4年度(第72回)税理士試験における合格率です。これを見ると、必修科目や選択必修科目のどれを選ぶかによっても合格率が変わることがわかります。
国税庁のホームページで公開されている合格率はあくまでも参考程度にとらえたほうが良いでしょう。
税理士試験の難易度は、科目によって大きな開きがあります。例えば、花形科目とされる法人税法の場合、ボリュームが多く、内容的にも難解であるうえ、簿記論と財務諸表論を合格したレベルの高い受験生が集まってくるため、合格しにくい傾向があります。
また、税理士試験は科目ごとに、得意・不得意などの相性が出やすい特徴があります。そのため、合格が難しい苦手科目がネックとなり、合格までに年数を重ねるのであれば、受験科目を変更する勇気が必要です。
税理士試験に向けて勉強を始めるときには、以下のポイントを重視して学習環境を整える必要があります。
転職エージェントのマイナビでは、日商簿記1級の合格で受験資格を得て、そこから簿記論・財務諸表論・国税徴収法の3科目で試験に受かった税理士の勉強時間を以下のように紹介しています。
これだけ多くの時間を要する税理士試験の場合、働きながら合格を目指す社会人であっても、仕事のある平日は最低でも一日3時間、休日や試験間際は最低10時間の確保をしたいところです。
税理士試験の勉強に限った話ではありませんが、ストップウォッチなどを使って勉強時間の測定をしたり、測定した勉強時間をExcelなどで集計して学習記録を「見える化」するのもおすすめです。
勉強時間を記録することによって、自身の頑張りが目に見えやすくなり、前向きな意識が働きやすくなります。
集中力やモチベーションがうまく維持できない人は、勉強場所を変えてみるのもおすすめです。例えば午前中は自宅、午後は図書館といったように時間帯で変えてみるのも良いでしょう。
また、多くのライバルが学習する専門学校の自習室などを利用すると、良い刺激になるので、検討してみても良いでしょう。
税理士試験に短期で合格するには、以下2つのコツを実践するのがおすすめです。
税理士試験に合格後、試験勉強で学んだことを実務で活かすためには、必修科目の簿記論と財務諸表論の他に、どの科目を選ぶかが非常に重要となってきます。
選び方ですが、まず、選択必修科目の法人税法と所得税法については、実務における使用頻度を考えると、法人税法を選ぶのが理想です。ただし、法人税法は、全科目の中で最も多い700時間もの勉強が必要となります。
いずれか一方しか選択できない消費税法と酒税法なども、今後のキャリアに合わせて検討が必要です。国民のすべてに関係する消費税法は、身近な税金という理由で非常に勉強しやすい科目です。
一方で、酒税法については、200時間ほどの勉強で合格につながる比較的簡単な科目であるものの、資格取得後にあまり実務で使わない側面があります。
各科目におけるこうした特徴に目を向けると、範囲の広さや難易度、勉強時間だけでなく、将来のキャリアを想定して自分に合ったものを選ぶ重要性もイメージしやすくなるかと思います。
税理士試験の受講者の3割以上の人は、合格までに10年以上の歳月をかけると言われています。これだけ長い期間に渡ってモチベーションを維持するには、独学よりも専門学校への通学や通信講座を活用するのがおすすめです。
専門学校の通学講座の場合、同じ志を持つ仲間と切磋琢磨しながら学習したり、専任講師のサポートによってモチベーション管理をしたりといったことがしやすい特徴があります。
通信講座の場合は、インターネット環境があればタブレット端末などを使って繰り返しの動画視聴や高速学習が可能です。
なお、税理士試験の軸となる税法は、毎年のように制度が改正されるという特徴があります。そのため、最新の試験に出るポイントを早く確実に収集するうえでも、専門学校の通学講座や通信講座を活用すると良いでしょう。
専門学校や通信講座の中でも資格の大原がおすすめである理由を4つ紹介します。圧倒的な実績、学習内容の充実度、環境面のサポートなど、さまざまなメリットが存在します。
資格の大原をおすすめする最大の理由は、大原生による税理士試験の官報合格占有率が第60回~第69回の10年連続で50%を上回っているということです。これだけ安定した実績を見れば、大原に業界内から注目が集まる理由も納得できると思います。
また、2019年に実施された日商簿記の3級・2級・1級においても、のべ4,170人もの大原生が合格済です。まずは簿記検定から挑戦を始めてみたい人にも、大原は非常におすすめの専門学校といえるでしょう。
資格の大原の学習カリキュラムは、高度な合格情報データベースと長年の教育ノウハウの詰まったオリジナル教材によって支えられています。また、大原では、最新の配点分布や出題傾向などを分析しながら、「最小限の努力で最大の効果」を出せる必勝テキストをつくっています。こうしたオリジナル教材を使うことで、独学よりも遥かに効率よく税理士試験の合格に近づけるのです。
長期戦となる税理士試験の勉強では、合格の敵となる不安や心配のシャットアウトにつながるサポートやフォローも重要です。大原では、以下のように非常に多彩なサポート制度や受講生特典を用意しています。
これだけ多くの制度があれば、長期間の勉強中に生じた問題も解消しやすくなると思います。また、通信生でも質問や相談が可能な資格の大原を利用すれば、教室に通学できない人でも安心して学習に集中できることでしょう。
資格の大原では、通学講座、通信講座とも多彩な学習スタイルが用意されています。
学習スタイルを選べるため、仕事などが忙しい人でも無理せず税理士試験の学習を続けられます。また、通信生や映像通学生向けに、模擬試験や講義などを教室で受けられる制度も用意しています。
資格の大原を利用すれば、仕事が忙しい普段は通信講座で学習し、試験直前の模擬試験だけ緊張感のある教室に行くといった勉強スタイルも実現可能です。
税理士試験とは、受験資格に該当した人だけが受けられる国家試験です。この試験の最大の特徴は、合格科目が生涯有効となる科目合格制をとっていることです。
一般の受験者は、必修科目の簿記論と財務諸表論の他に、ルールに従い3科目を選んで受験をしていきます。
非常に難易度の高い税理士試験では、日商簿記1級を経由した場合においても6,000時間ほどの学習が必要となります。
税理士試験の合格に向けて、これだけ多くの勉強をすることに不安がある人は、フォロー体制も充実している資格の大原にぜひ相談をしてください。