建設業界における会計のスペシャリスト

建設業経理士

建設業界における会計のスペシャリスト「建設業経理士」という仕事を知っていますか?どの企業にも経理は重要かつ欠かせない仕事ですが、建設業界では独自の会計業務やルールが存在します。それら独自ルールに対処できる経理のスペシャリストが、「建設業経理士」なのです。実際に建設業経理士になるとどんなことができるのか、活躍のフィールドや働き方、また建設業経理士になるための方法についてご紹介します。

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建設業経理士とは 建設業経理士が活躍できるフィールド ワーク・ライフ・バランス 社会的需要 魅力・やりがい 建設業経理士になるためには オススメの学習プラン

建設業経理士になると・・・

□建設業界で経理のスペシャリストとして活躍できる
□建設業界への就職・転職が有利になる
□女性も活躍できる

「建設業経理士」は、建設業界独自の会計処理を適切に理解し、処理することができる、‟建設業界における経理のスペシャリスト“です。建設業は、社会のインフラ整備や維持にはじまる、わたしたちが生活を営むうえでなくてはならない仕事。東日本大震災以降、被災地の復興や東京五輪開催におけるインフラ整備など、その需要はより高まっています。そんな建設業界で必要となる会計知識を持った「建設業経理士」は、建設業界を支える経理のスペシャリストとして重宝されています。

また、「建設業経理士検定」1級・2級合格者(建設業経理士と呼ばれます)は、公共工事の入札可否の判断の資料となる経営事項審査の評価対象のひとつとなっているため、建設業界では奨励資格になっており、資格取得者は就職・転職時にも有利に働きます。

建設業経理士は、基本的にオフィスワークとなります。建設業界に興味がありながら、「建設=男性社会」のイメージがあり、なかなか挑戦できなかった方でも、建設業経理士として活躍することができます。

【建設業経理士とは】

建設業界独自の会計知識を持つ「会計のスペシャリスト」

「建設業経理士」とは、建設業関連の会計知識と会計処理能力を有する、建設業界の会計スペシャリストのことです。建設業界では、会計処理に独自のルールがあるため、これらに精通する専門家として活躍します。「建設業経理士」になるためには、まず「建設業経理検定」の1級もしくは2級を取得する必要があり、それらの試験に合格すると建設業経理士として働くことができます。1級2級それぞれの内容は下記のとおりです。

(1級)
内容:建設業原価計算、財務諸表、及び財務分析
程度:上記の建設業簿記、建設業原価計算及び会計学を修得し、会社法その他会計に関する法規を理解しており、建設業の財務諸表の作成及びそれに基づく経営分析が行えること。

(2級)
内容:建設業の簿記、原価計算及び会社会計
程度:実践的な建設業簿記、基礎的な建設業原価計算を修得し、決算等に関する実務を行えること。
出典引用 一般財団法人建設業振興基金ホームページより抜粋

【建設業経理士が活躍できるフィールド】

所属企業で「建設業経理士」として活躍する人が多数

●働く場所-ほとんどの建設業経理士は、所属する企業で経理士として勤務。建設業関連の会社は全国にあるため、全国が働く場所となり得る。

●活躍の場-建設会社、工務店などの建設業に関連する会社の経理が中心。個人経営の小規模な企業から大企業まで、さまざまな規模の企業での活躍が期待できます。

<働く場所>
ほとんどの建設業経理士が企業に属し、企業の経理を担当しています。国内の建設業許可業者数はおよそ46万業者と、その数はとても多く、建設業経理士の需要も高くなっています。建設関連企業は、都心部から地方まで全国にあるため、全国どこでも勤務できる可能性があります。

<活躍の場>
国内の建設業許可業者数はおよそ46万業者で、その会社規模も大小さまざまです。個人経営の小さな会社から、社員数数十名~百名ほどの中小企業、数千人規模の大企業まで、建設業に関連する会社の経理を中心として活躍できます。また、一般企業や会計事務所の経理等で活躍することも可能です。

【ワーク・ライフ・バランス】

専門知識を身につけ、建設業界でキャリアアップ!
継続した働き方ができ、安定した生活が望める

建設会社の多くは、8:30~17:30ごろの勤務となり、実働7時間半から8時間ほどとなります。ただし、内勤・外勤によって勤務時間は異なることが多く、建設業経理士の場合は内勤として、企業の就業時間にそっての勤務となります。

【仕事の継続性】
企業の経理面を支える「建設業経理士」は、企業内での需要が高いため、仕事の継続性も高いといえます。専門知識を有する人材であり、会社の景気に左右されにくいポジションであるといえるでしょう。とくに、1級・2級の建設業経理士の数は、公共事業の入札に参加しようとする際に必ず受ける「経営事項審査」の加点対象となっているため、企業にとって重要な存在です。また、企業内のニーズがあることから、結婚後や出産後の受け入れなどに最大限の配慮がされる企業も多いでしょう。

【転職・スキルアップ・キャリアアップ】
「建設業経理士」は、建設業界に特化した経理士としてとくに専門性が高く、建設業界での就職・転職にはとても強力なアピールポイントとなります。そのため、すでに建設業界で働く人が、新たなスキルアップのために取得を目指す人も少なくありません。性別や年齢、学歴等に関係なく誰もが受けられる資格であり、日商簿記と学ぶ範囲が重なる部分もあるため、学びやすい資格ともいえます。

また、一度取得すれば一生ものの資格として生涯役立つ資格となるため、建設業界を目指す人はぜひ取得を目指したい資格のひとつです。一般の企業に就職・転職する際にも、建設業経理士として培った経理に関する知識はたしかなアピールポイントとなり、採用で有利になることがあります。

【社会的需要】

建設業界の奨励資格として業界内の需要が高い
公共事業入札時の「経営事項審査」の加点対象に含まれ、企業側にメリットも

建設業界における‟経理のスペシャリスト„である建設業経理士は、その専門性から建設業界内での需要がとても高い資格です。一般的な企業でも会計知識を有することは非常に重要ですが、実務で役立つ面とは別に、建設業経理士の資格所有者数が企業にとって重要な意味を持っていることも建設業界で評価される理由のひとつです。

企業が公共事業の入札に参加する際、売上高・経営利益、営業年数など、経営状況に関わる多くの審査を受けます。その際の審査を「経営事項審査」といい、この審査項目に1級・2級建設業経理士の在籍数が含まれ、加点対象となっているのです。つまり、企業に在籍する建設業経理士が多ければ多いほど、企業にとっては受注の可能性が広がるというメリットがあるわけです。そのため、企業にとって建設業経理士の資格保有者は採用したい人材といえるのです。

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【知っておきたい制度の変遷】

1994年、経営事項審査のW(社会性等)に「建設業経理事務士等数」が設定され、企業内の建設業経理事務士の数が評価されるようになりました(1級~3級、3級は10年間の時限措置)。

2006年、登録経理試験(1級、2級)の名称を「建設業経理士検定試験」、資格名を「建設業経理士」としたうえで、検定試験を年2 回(9月および3月)実施することになりました。(3級、4級は従来の制度を維持)

出典引用 一般財団法人建設業振興基金「建設業経理検定 制度の変遷」より一部抜粋

【魅力・やりがい】

建設業界における「会計のスペシャリスト」として
専門知識を身につければ就職・転職も有利

●専門知識をもとに建設業界で活躍できる
建設業界にはほかの業界とは異なる独自の会計処理法があるため、他業界で経理経験があっても即戦力としてすぐに活躍することが難しい場合があります。その点、建設業経理士は、建設業界における会計のスペシャリストとして認知されており、資格取得を通じて得た知識と経験をもとに建設業界で活躍することができます。また、会計の視点から仕事の流れを把握できることで、建設業界全体の仕組みや仕事の流れも学ぶことができます。

●建設業界での就職・転職および社内キャリアップや収入アップに有効
1級・2級の建設業経理検定合格者である「建設業経理士」は、在籍しているだけで会社のメリットとなり得る存在です。就職・転職に有利なのはもちろんのこと、「建設業経理士」の有資格者に手当などを支給している企業も多く、社内のキャリアアップや収入アップにも有効な資格です。

●安定した仕事に就ける
社会のインフラを支える建設業界の仕事は、いつの時代も変わらず必要とされる仕事のひとつ。そのため求人数も多く、正社員募集の求人も少なくありません。安定して働きたい人にはぴったりな業界といえます。また、産休後の復帰が心配な方にとっても、「建設業経理士」を取得しておくことは、心強い味方となるでしょう。

【建設業経理士になるためには】

「建設業経理検定」1級または2級に合格する必要がある
合格率は2級が40%前後、1級は30%前後で難易度はそこまで高くない

「建設業経理士」になるためには、「建設業経理検定試験」に合格する必要があります。「建設業経理検定試験」とは、登録経理試験の実施機関として国土交通大臣の登録を受けた、財団法人建設業振興基金が実施する民間の試験です。内容により1級から4級までに分かれており、1級については、原価計算、財務諸表、財務分析の3科目からなる科目合格制をとっています。1級の科目合格は5年の有効期間があり、期間内に残りすべての科目を取得できれば「1級建設業経理士」となることができます。また、1級または2級に合格すると、「建設業経理士」を名乗ることができます。3級・4級合格者は「建設業経理事務士」と称されます。

試験は、年齢、性別、学歴等を問わずに誰でも受験することができます。また、どの級からでも受けることが可能なため、建設業界を目指す人にはぜひ2級以上を目指してほしいところ。日商簿記2級と内容が重なる部分もあるため、比較的学びやすく、きちんとした対策をすれば誰もが合格を狙える資格でもあります。

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【オススメの学習プラン】

基本論点をしっかりと押さえ、試験傾向をつかむことが重要
日商簿記の知識も活かせる

合格率はそれぞれ、1級は30%前後、2級は40%前後の建設業経理検定試験。試験問題は1級2級ともに基本論点が中心に出題されます。そのため、しっかりと基礎を理解し、試験傾向に合わせた対策を行うことで合格が叶います。とくに2級は、日商簿記の内容と重なる部分も多く、日商簿記を勉強したことがある人なら、建設業経理検定試験の特徴的な部分を対策すれば十分合格が狙えます。

通信教育など資格スクールでの学習なら、重要論点を中心に身に付けることができ、よく出題される問題の把握など試験傾向に合わせた学習が効率的に行えます。「あまり勉強に時間がとれない!」という人は、資格スクールの利用がオススメです。

<初学で2級を目指す場合>
3級の基本を学習し、その後2級を基本から学習・・・・約半年間

<日商簿記2級学習経験があり、2級を目指す場合>
2級試験対策のみ学習・・・・約2週間~1ヵ月

<1級3科目を目指す場合>
1級の基本から学習・・・・約半年間

<1級1科目(2科目)受験後に残りの2科目(1科目)を目指す場合>
1級の基本から学習・・・・約1年間

※独学は、合格までに何年もかかる場合もあり、余計な時間・お金がかかる可能性が高まります。

【学費はどのくらいかかるの?】

独学-約1,500円(テキスト1冊分)
通信教育-約4万円(平均)
資格スクール-約4~8万円(平均)

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