1万種類を超える法的書類を顧客に代わって作成

行政書士

法律系の資格取得を考えるときに、多くの人が最初に取得を検討するのがこの「行政書士」ではないでしょうか。「行政書士」は国家資格のひとつであり、法律関連の資格のなかでは比較的合格しやすい試験としてもとても人気のある資格です。ただ、知名度こそ高い「行政書士」ですが、その仕事内容や実際の働き方、活躍場所など実はあまり知られていません。ここでは実際の行政書士の仕事内容や、どんなフィールドで活躍できるのか、また仕事のやりがいなどについてご紹介します。

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行政書士とは 行政書士が活躍できるフィールド ワーク・ライフ・バランス 社会的需要 魅力・やりがい 行政書士になるためには おススメの学習プラン

行政書士になると・・・

□残業も少なく、ワーク・ライフ・バランスが得られる!
□実務未経験で独立開業することも可能!
□もちろん女性でも活躍できる!

行政書士は、官公署に提出する書類作成をおもな業務とするため、勤務時間は官公署の開庁時間に合わせたものとなることがほとんどです。そのため9時~17時勤務の事務所が多く、残業もそれほど多くはありません。官公署相手のため、休日も多くの行政書士事務所は土日祝休みとカレンダーどおりになり、ワーク・ライフ・バランスが整いやすい環境がであることがいえます。

また、国家資格である「行政書士」は独立開業が可能です。資格取得後、まずは行政書士事務所で経験を身につけ、その後独立開業する人が少なくありませんが、もちろん、実務未経験でも資格取得後すぐに開業することができます。独立開業後は、自身で仕事量をコントロールできるため、より自由で柔軟な働き方ができるでしょう。仕事内容も自分の強みを活かせる内容に特化したり、興味がある新たな分野を開拓したりすることもできてしまいます。もちろん、時短での勤務も可能です。子育て中の人や、プライベートを充実させたいという人も、やり方次第で自分の理想を実現できる働き方ができるといえるでしょう。また、体力や筋力を使う力仕事ではないため、女性でも存分に活躍できる仕事といえます。

【行政書士とは】

官公署に提出する法的書類を
顧客に代わって代行作成する仕事

行政書士のおもな仕事内容は、官公署に提出する書類作成です。顧客の依頼を受け、顧客の代わりに書類を作成するプロフェッショナル。その業務領域は年々広がっており、扱える書類はなんと10,000種類以上にも及びます。

行政書士のおもな業務とは……
(1)官公署に提出する書類の作成とその代理、相談業務
(2)権利義務に関する書類の作成とその代理、相談業務
(3)事実証明に関する書類の作成とその代理、相談業務

※「日本行政書士会連合会サイト」より抜粋
※官公署とは各省庁、都道府県庁、市・区役所、町・村役場、警察署等

(1)の官公署に提出する書類とは、何かの営業を行う際に各役所(省庁、都道府県庁、市役所・区役所などの)の許可・認可が必要となるときの申請書等のこと。

(2)権利義務に関する書類とは、権利の発生、存続、変更、消滅の効果を生じさせることを目的とする意思表示を内容とする書類のこと。おもなものとして、遺産分割協議書、各種契約書、念書、示談書、内容証明、告訴状などがあります。

(3)事実証明に関する書類とは、社会的に証明を要する事項を証明するにたる文書のこと。実地調査に基づく各種図面類、株式会社や一般社団法人などの各種議事録、会計帳簿などがあります。

【行政書士が活躍できるフィールド】

開業し、行政書士として活躍する人が多数
法的書類作成のため、活躍の場は多岐にわたる

●働く場所- 多くの行政書士が開業の道(独立開業または共同事務所)を進むが、行政書士事務所や法律事務所などで雇用される行政書士もいる。資格取得後の経験を積む場として一時的に所属する人も。

●活躍の場- 暮らしに関わる相談から、ビジネスに関わる相談まで、その業務内容は幅広く、活躍できる場も多岐にわたる

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行政書士の働き方としてはおもに下記の3種類となります。

< 働く場所>

①独立開業
行政書士は独立開業しやすい資格といわれています。そして、実際に多くの人が独立開業という形をとっています。独立開業する場合、まずは自宅で開業し、ある程度軌道に乗ってから事務所を借りることもできます。

②共同事務所で開業
行政書士や司法書士などの仲間数名と開業する形です。個人での開業とは異なり、事務所家賃や光熱費等のコストを分担することができ、案件の相談協力もできます。ひとりでの開業に不安がある人はこうした形での開業も検討しましょう。

③行政書士事務所または法律事務所での勤務
資格取得後、行政書士事務所で経験を積み開業(①または②)という道を進む人が多いが、事務所での勤務という形をとる人もいます。

資格取得後は、行政書士事務所で経験を積んで開業したいと考えるのが一般的ではありますが、行政書士はほかの士業に比べて求人数が少ないという現実もあります。そのため、やむなく資格取得後すぐに「開業」という形をとる人も多いようです。

< 活躍の場>

具体的に行政書士が活躍するケースの一部をみてみましょう。

(暮らしに関わる相談)
・遺言・相続:遺言書作成の支援、遺産分割協議書等の作成、相続財産の調査、相続人の確定調査など
・契約書:交通事故に関する手続、土地、建物等の賃貸借や金銭の消費貸借等の契約書類の作成など
・自動車登録関連:自動車のナンバー変更・名義変更等の自動車登録申請
・日本国籍取得:日本国籍取得を希望する人の帰化申請手続き、外国人登録、在留資格の取得など
・土地活用:農地を売りたい、自分の畑に家を建てたいなどの土地に関する各種申請手続き

(ビジネスに関わる相談)
・法人関連手続き:株式会社やNPO法人、医療法人、学校法人等、法人の設立手続とその代理及び事業運営の支援(定款・議事録の作成、会計記帳、公的融資手続)など。またコンサルタントとして設立後のサポートなども
・外国人雇用関係:外国人を雇用する際の出入国在留管理庁の申請手続きなど
・中小企業支援:中小企業の経営を支援する外部専門家として、知的資産経営導入と知的資産経営報告書の作成・サポートなど
・許認可申請:建設業や運送業、産業廃棄物処理業、旅行業、飲食店、化粧品の製造・輸入販売業等の許可申請手続など、さまざまな業種での許認可申請
・知的財産権の保護:著作権の登録申請など

ここにあげただけでも、業務の幅の広さがよくわかると思います。さらに、これらの書類作成や代理、相談業務だけでなく、企業の役員に対し解決策を提示して発展を助けるコンサルティングの業務を得意とする行政書士も増えつつあります。

【ワーク・ライフ・バランス】

基本的には平日勤務かつ残業も少ない
経営知識&ダブルライセンスで安定性は高まる

【ワークスタイル】
< 独立開業した行政書士>
独立すると、働き方はおのずと自由度が高くなります。開業すれば自分が経営者でもあるため、ライフスタイルにあわせた働き方が可能となります。休みの日も、就業時間も自分で決められます。月によって仕事のボリュームを抑えて、プライベートを充実させるなんてこともできます。別の仕事と兼業で行政書士をする人、子どもが小さいので時短で働くママさん行政書士など、その働き方は多種多様です。

しかし、単に自由で気楽なわけではありません。自営業経験のある人ならわかると思いますが、開業すれば基本的にひとりで営業、経理、総務などすべてをこなさなければなりません。顧客にあわせて土日に打ち合わせがあったり、急な案件の対応が必要になったり。自由度が高いぶん、責任を負うことも多くなります。これは自営業すべてにあてはまることでしょう。

< 事務所勤務の行政書士>
事務所勤務の“行政書士”として働く場合は、その事務所の就業規則に従う形になるため、一般的な会社員と同じ働き方になります。正社員として働く人もいますが、行政書士事務所は個人経営の少人数事務所が多いため、アルバイト・パートなどの形で働く人も少なくありません。それらの非正規雇用者たちも、経験や人脈をつくり、のちに独立していく人がほとんどです。

【仕事の継続性】
行政書士は働き方の自由度が高いため、その継続性も高いといえるでしょう。平日は会社員、週末だけ行政書士として働くケースもあり自分の生活環境にあわせることができます。また、出産や子育てなどで仕事から離れても、業務自体が大きく変わるわけではないため復帰する人も多くいます。
ある意味どこでも仕事ができるので、顧客を得るための営業力は必要となりますが、たとえば結婚して引っ越したとしても活躍できる場は見つかるでしょう。

【転職・スキルアップ・キャリアアップ】
20代~60代以上まで、幅広い年齢の人が行政書士として活躍しています。2019年度の行政書士試験では50代以上受験者数は12,000人以上いて、そのうち合格者は約1,200人。年齢層が高い人からも人気の資格であることがうかがえます。

行政書士資格があっても、一般企業に転職する際に有利になるとはいえないでしょう。もちろん、行政書士事務所や弁護士事務所、会計事務所等での就職では考慮されますが、企業の法務部では、行政書士資格よりも法科大学院卒の方が有利といえます。

キャリアアップを目指すには、経営知識を深め、行政書士資格とともに複数の資格を取得して業務の幅を広げるという方法が考えられます。たとえば、司法書士、社会保険労務士、中小企業診断士など。なかでも司法書士試験は、行政書士試験と重複する法律も少なくないため、まずは行政書士試験を受けてから司法書士試験に挑戦する人もいるほどです。
ダブルライセンスや経営知識を持つことで、業務領域が広がるのはもちろん、顧客に提案できる内容も広がり、より安定した生活が見込めるようになります。

【社会的需要】

扱う分野が広がり、人気の高まりから行政書士事務所は増えている
ただし書類の簡素化・電子化により仕事は減少傾向の面も

行政書士の従事者数は年々増加しています。これまで紹介してきたとおり、行政書士の扱う分野は広く、取り扱える書類も9,000種類を超えています。2002年の行政書士法の改正で行政書士の代理権限が認められたことにより、その業務はより主体性をもったものとなりました。また、法律の改正に伴い、新たな仕事が生まれることも少なくありません。
一方で、インターネットの発達により、申請書類の簡素化は行政書士の世界でも進んでいます。また、AIの台頭によって、これまで行政書士が担当していた業務が代替されるということもあり得るでしょう。

とはいえ、これらの問題はどの業界でも向き合うべきものです。専門性を高めたり、特定の業界の知識を武器にコンサルタント的業務を行ったりするなど、やり方次第で道は大きく切り開かれていくことでしょう。

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【知っておきたい法改正】

2002年7月1日、行政書士法の改正により、行政書士の業務に代理権限が付与されることとなりました。これにより、それまでは作成した書類の訂正が必要となった場合も行政書士の権限では訂正できなかったものが、代理として修正可能となりました。また、依頼人の委任状があれば、代理人として契約の協議、締結も可能となったのです。この法改正によって行政書士の地位は飛躍的に上がったといえるでしょう。

【魅力・やりがい】

行政書士は「街の法律家」
社会に貢献しながら、個人で事業も開拓できる仕事

●行政手続きの専門家
行政書士は国から資格を与えられた行政手続きの専門家であり、独占業務も持っています。そのため責任がともなう仕事ですが、そのぶんやりがいもあります。新しいビジネスをはじめる際に許認可書類を作成し、新たなはじまりの場面に立ち会ったり、遺言書作成などで人生の節目に立ち会ったりすることも珍しくありません。そんな重要な場面で、依頼者から報酬をもらい、なおかつ「ありがとう」と感謝してもらえるとてもやりがいのある仕事です。

●誰もが開業して勝負できる
行政書士試験は年齢、性別、学歴を問わず誰でも受験することができ、試験に合格すれば誰もが開業できます。主婦でも学生でも、合格すればみな同じ土俵での勝負となります。自分の得意分野を活かしたり、営業手法を工夫して顧客を開拓したり、自分のアイデアと動き方次第で誰もが活躍できる可能性があります。

●多くの人と関われる仕事
行政書士は幅広い業種、職業の人たちと出会う機会があります。それまでまったく知らなかった業界の話を聞けたり、大きな夢を抱く起業家と出会ったり。たくさんの刺激をもらうことで視野が広がり、自分自身も新たな夢を見つけることがあるかもしれません。仕事をとおして多くの人と出会える、これも行政書士の仕事の大きな魅力のひとつといえるでしょう。

【行政書士になるためには】

行政書士試験に合格する必要がある
合格率は10%前後。

行政書士になるためには、行政書士試験に合格したうえで、各都道府県の行政書士会を経由し、日本行政書士会連合会の登録を受けることが必要です。この試験は、年齢、性別、学歴等を問わずに誰でも受験することができます。

また、行政書士試験に合格する以外にも、弁護士、弁理士、公認会計士、税理士などの資格を有する人は行政書士となる資格を有することができます。しかし、ほかの資格はどれも行政書士資格よりも難易度が高いため、行政書士を目指す方の最短ルートは「行政書士試験に合格する」ことになるでしょう。

法律系資格のなかでは比較的簡単だと思われている行政書士試験ですが、その合格率は右図の通り10%前後と高くはありません。しかし、合格者すべてが法学部出身かといえばもちろん違いますし、資格取得のためにはじめて法律を学ぶ人も少なくありません。また、行政書士試験は絶対評価によって合否が決まるため、基準をクリアできればその年の受験生のレベルに関係なく合格することができます。自身の努力次第で合格できる資格といえるでしょう。

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【オススメの学習プラン】

法学部で基礎力を身につけ独学する人もいるが
資格スクールや通信教育を活用すると効率的

試験に合格するためには、まず学習方法を決めなければなりません。独学、通信教材の利用、資格スクールに通うこと。大きく分けてこの3種類が考えられます。それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

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「とにかく費用はなるべく抑えたい!」という人や、大学で法律を学んだことがある人、法律に苦手意識がない人や、ひとりでの勉強が得意な人などは独学に挑戦するのも良いでしょう。また、「とにかく短期間で効率よく学びたい!」という人や、勉強する習慣がない人などは資格スクールを検討してみるのがおすすめです。資格スクールには同じ目標を持った仲間がたくさんいるため、モチベーションを保ちやすくなるのはもちろん、合格後の人脈づくりもしやすくなります。

【学費はどのくらいかかるの?】

独学-約1万円(平均)
通信教育-約5~8万円(平均)
資格スクール-約20万円(平均)

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