国と国民のために働くやりがい

わかる「公務員」ガイド

国や地方自治体に所属し、国民や住民のために働く「公務員」は、国家公務員や地方公務員、警察官や消防官、裁判官や国会職員など、その種類はさまざまです。ここでは意外とわかりづらい「公務員」の種類や、公務員が活躍するフィールドなど、公務員の実態についてご紹介します。

【公務員とは】

国民全体の奉仕者であり、行政、司法、医療、社会福祉、教育など
国民の暮らしの基盤をつくる

公務員とは、国や地方公共団体などで、国民や住民のために働く人のことで、基本的に法律に基づいてさまざまな仕事に従事しています。民間企業が、自社の利益追求を目的にする一方、公務員は国民全体の奉仕者であり、公共の利益のために働く存在なのです。

公務員の仕事は分野がとても広く、事務系の職種から、建築・土木、化学・農業などの専門を仕事とする技術系職種、公共の安全をはかる警察官や消防官などの公安系職種、医師や看護師、栄養士や保育士などの専門資格が必要となる資格職、学校教員などのその他の公務員まで、数多くの職種が存在します。国民の生活に不可欠な、財政運営や外交、医療、福祉、教育などさまざまな面から、わたしたち国民の生活基盤をつくる仕事なのです。

【公務員の種類】

国を支える「国家公務員」
地方自治体(地方公共団体)を支える「地方公務員」

公務員は大きく分けて、国家公務員と地方公務員のふたつに分かれます。おもに国の機関に勤務し、国民のために働く国家公務員に対し、地方公務員はその名のとおり、地方の公共団体に勤務します。

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公務員は大きく分けて、国家公務員と地方公務員となります。おもに国の機関に勤務し、国民のために働く国家公務員に対し、地方公務員はその名のとおり、地方公共団体に勤務します。

国家公務員は、国際社会における日本の役割を考えた施策や環境問題についての対策など、日本国民のためだけでなく、全世界のためにも働く仕事となります。スケールの大きな仕事であり、責任も重くなりますが、そのぶん大きなやりがいもあります。

地方公務員は、地域住民のために働き、住民のより良い暮らしのために活動します。国家公務員よりも、より地域に密着した形となるため、「自分が生まれ育った町のために働きたい」「地元を活性化させたい」といった地元愛の強い人や、より身近な生活圏で貢献できる仕事をしたい人におすすめです。

国家公務員はさらに「国家総合職」と「国家一般職」のふたつに分かれています。国家総合職は、一般的にキャリアと呼ばれる幹部候補として、政策の企画立案、法案の作成、予算編成など、行政の中枢を担う仕事に従事します。責任は重く、出向や転勤も多いのが特徴でもあります。また、グローバルに活躍する機会も多くあります。一方、国家一般職は、国家総合職が手掛ける政策の企画立案を支え、専門的な知見を身につけたスペシャリストとして従事します。通常は採用された省内でのみ異動があるため、自身のライフスタイルを維持しながら働けます。
自分がどんな仕事に携わりたいか、国民や住民とどう関わりたいか、どんなライフスタイルを希望するのかなど、自身の目的にあわせて選ぶ必要があります。

【公務員が活躍できるフィールド】

国と国民の暮らしを支える公務員には、
多岐にわたる活躍の場がある

  • 行政

    内閣府をはじめ、財務省や外務省、文部科学省、厚生労働省などの各省庁やそれらの出先機関でそれぞれの担当業務を行います。事務方のトップは事務次官となり、その下に官庁を統括する審議官がいます。各省の下には複数の局が構成されており、仕事内容によりさらに課に細分化されています。地方公務員は、活躍の場が都道府県庁や市役所や町役場などになります。

  • 立法

    立法機関である、衆議院・参議院には、選挙で選ばれた国会議員以外に、それぞれの事務局と法制局で働く公務員がいます。
    (国会議員も国家公務員ではありますが、公務員試験を受けた公務員とは異なります。)
    事務局では、国会議員のための調べ物をしたり、会議や委員会が円滑に進むようサポートをしたりします。また、国立国会図書館で本の管理や貸出しをしたり、国会議員のための調査をしたりする人もいます。

  • 司法

    裁判を行う、裁判所に関連する仕事です。裁判官は司法試験に合格した人ですが、裁判において裁判官のサポートをする「裁判所書記官」「裁判所事務官」「家庭裁判所調査官」などは特別職の国家公務員となります。それぞれの裁判所には事務局が設置されており、書記官、事務官、調査官などが働いています。裁判に関する事務以外にも、人事や会計などの総務的な仕事もあります。

  • 外交・防衛

    外務省や防衛省で働く国家公務員をはじめ、外務省本省および各国の在外公館に勤務する外務省専門職員などがいます。外務省専門職員は、日本の代表者と相手国要人との会合の際の通訳、会議のセッティング、情報収集、広報活動などを行います。大使館に勤務し書記官となるケースや、領事館で領事事務を行う人もいます。

  • 税務

    国家の予算・決算の取りまとめや税金に関する業務を行う財務省職員以外にも、財務省の外局である国税庁で「税のプロ」として働く人もいます。
    納税義務者である個人や企業を訪れ、申告が適正であるか調査を行う「国税調査官」、納付期限までに納付されない税金の督促や滞納処分を行う「国税徴収官」、悪質な脱税の疑いがあるものに対して強制調査を行う国税査察官(いわゆるマルサ)などがあります。

  • 公安

    わたしたちの安全を守る「警察官」は、各都道府県の公安委員会に属する警察本部に採用された公安職員です。また、火事の際の消防活動や、災害時の救助活動にあたる「消防士」も市町村組織に属する地方公務員となります。
    そのほか、法務省職員として刑務所や少年拘置所に勤務する「刑務官」、警察庁職員として天皇や皇族の護衛、皇居・御所などの警備にあたる「皇宮護衛官」などもあります。

  • 教育

    人材の育成・学術・スポーツ・文化の振興を推進する文部科学省で働く国家公務員をはじめ、各都道府県や市町村に属する教育庁で働く地方公務員などがいます。公立学校(小・中・高校など)の教師や、公立幼稚園で働く幼稚園教諭も地方公務員です。
    (国立大学は2004年に国の行政機関から国立大学法人へと法人化されたため、国立大学の職員は国家公務員ではなくなりました。)

  • 医療

    国の社会福祉や健康・医療を管轄する厚生労働省で働く国家公務員や、地方自治体に属する「福祉保健部」で働く地方公務員などがいます。このほか、医師・看護師・薬剤師・助産師・歯科衛生士などの、医療系資格を持つ医療系公務員もいます。厚生労働省などの中央省庁で勤務するケースや、県立・市立病院や公立の診療所、公立の学校や保育所など、勤務地はさまざまです。

  • 研究

    公務員として研究職に就くことも可能です。国家公務員では、環境省の地球環境局、警察庁の科学警察研究所など、働く場所や分野はさまざまです。地方公務員の場合、各自治体が設置した研究機関で行政から要請を受けて調査や研究開発を行います。
    公務員としての研究職はとても人気が高く、大学や民間企業での研究職よりも採用人数が少ないためハードルは高いといえます。

国や地方自治体が、法律や条例などの法令の規則内で行う「行政」の仕事をはじめ、わたしたちの生活の基盤を支える「税務」、安全を守るための「公安」など、公務員が活躍できるフィールドは多方面にわたることがわかります。

国家公務員は、おもに内閣府や総務省、法務省、外務省などの省庁やその出先機関での勤務となり、地方公務員は、各地方自治体の役所や管轄の学校や病院などの公共施設での勤務となります。立法・司法・外交に関しては、おもに国家公務員のみが活躍できるフィールドになりますが、そのほかのジャンルでは、国家公務員・地方公務員ともに活躍できるフィールドは多様であるため、自分の希望するフィールドで公務員として働けるのか、一度ゆっくり探してみるといいでしょう。

【将来性】

国民にとって欠かせない存在だけに安定性は高い
財政難の地方自治体は厳しい状況に置かれることも

福利厚生が充実している、景気に左右されない、などの安定したイメージのある公務員は依然として人気のある職業です。国民の基盤を支える役割を担う公務員は、国民にとって欠かせない存在であり、その仕事がなくなることはほとんど考えられないため、一般企業と比べて安定した環境であるといえるでしょう。

しかし、地方自治体の多くが人口減少の問題に直面しており、過疎化によって自治体が財政難に陥るケースも発生するなど、多くの問題を抱える地方自治体は少なくありません。また、国家公務員についても、国家の財政悪化にともない定員削減が進んでおり、今後より一層競争率が高くなることは避けられないでしょう。

【知っておきたい環境の変化】
国の行政機関の定員(33.2万人)について、5年間(2006年~2010年)で5.7%(18,900人)以上の純減を確保するための「総人件費改革」が実施されました。
今後も、国の行政機関の簡素化、効率化は進んでいくことになるでしょう。

※内閣官房行政改革推進室「国の行政機関の定員の純減に向けて」より一部引用

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