コンサルティングを通じて、一人ひとりのキャリアプランを支援

キャリアコンサルタント

社会環境の変化が激しい日本では、働く人のキャリアプランを支援するスペシャリストが必要不可欠です。しかし現実には人材不足が続いており、厚生労働省が打ち出した「キャリアコンサルタント10万人養成計画」もその解消を目的にしています。また近年は、国家資格「キャリアコンサルタント」の認知度が上がり始めており、今後しばらく、資格取得者のニーズの拡大傾向が続くのは間違いありません。

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キャリアコンサルタントとは キャリアコンサルタントが活躍できるフィールド ワーク・ライフ・バランス 社会的需要 魅力・やりがい キャリアコンサルタントになるためには おすすめの学習プラン

キャリアコンサルタントになると・・・

□女性ならではの活躍の場も多い
□経験を積み、機が熟せば独立開業も可能
□「正解のない仕事」ゆえに向上心も育まれる

キャリアコンサルタントの国家資格取得者は、40代以降の中高年層に多く、女性が多い(全体の約55%/独立行政法人 労働政策研究・研修機構「キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」より)のが特徴。企業や需要調整機関(派遣・ハローワークや転職・再就職支援)だけでなく、地域若者サポートセンターや女性センターなど、地域で活躍する女性が多くいます。また、出産・育児という女性ならではのライフイベントを経験したのちに復職や独立開業する女性もいます。

ただ、現在は、非正規雇用者や休止者(資格を活かしていない人)がいるのも事実。休止者の場合、転職を希望しても実務経験不足によって採用されないケースが多いことがわかっています。逆に、経験を積んだのちに独立して活躍する人が多いというデータも。つまり、いまいる場所でキャリアコンサルタントのスキルを活かす方法を自ら見つけ出し、経験を積めば独立も可能ということです。キャリアなくして、キャリアコンサルタントはできないということかもしれません。

キャリアコンサルタントは、求職相談者の人生に大きく関わる仕事。コンサルティングの結果がついてくれば、自ずと相談者と喜びを共有することもでき、やりがいにつながっていきます。また、キャリアコンサルタントのもうひとつの魅力は、「正解のない仕事」だからこそ、探求心が生まれ、専門技術や知識を得ようとする向上心が身につくこと。そして、それが実際の仕事に活かされたときは、自らもお金では買えない喜びを手にすることができるのです。

【キャリアコンサルタントとは】

専門知識に裏打ちされたコンサルティングを通して、
相談者にとって望ましい職業選択やキャリア開発を支援

2016年4月に改正された「職業能力開発促進法」では、キャリアコンサルティングを「労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うこと」と定義。また、同法では、キャリアコンサルタントを「キャリアコンサルタントの名称を用いて、キャリアコンサルティングを業とする」者として、国家資格と定めています。キャリアコンサルタントは名称独占の資格であり、資格取得者以外がキャリアコンサルタントやそれに類似した名称を名乗ることはできません。

<キャリアコンサルティングの目的>
キャリアコンサルティングの業務は、相談者が仕事上で抱える問題や不安を自己の本質を見つめ直す機会と捉え、相談者が経験から学んだことを引き出し、自らキャリア形成を図れるように働きかけをするのが本来の目的です。どんな人でも仕事上の不安や悩み、高い壁に立ちふさがられることはあります。しかし、その経験を糧にして、自分のキャリアアップやライフワークにつなげる人もたくさんいます。その人たちは、不安や障壁をネガティブに捉えずに、キャリア形成の糧へと変えたのでしょう。キャリアコンサルタントは、そのために相談者の支援をするのが仕事なのです。

キャリアコンサルタントは、専門知識に裏打ちされたアセスメント(査定)や職業情報を相談者に提供・アドバイスすることで、相談者のさらなる成長を促していきます。また、「100年のライフキャリア時代」に向けて、リカレント教育等による個人の生涯にわたる主体的な学び直しの促進を促したり、介護や病気と職業の両立支援キャリアカウンセリングなども行ったりします。
ただし、あくまでも助言・支援の提供であって、けっして方法や価値観の強要であってはなりません。キャリアコンサルタントにとってもっとも重要なのは、相談者と真剣に向き合い、ときに寄り添いながら、相談者が自らの意思でキャリア形成に必要な行動を起こせるように支援することだからです。

【キャリアコンサルタントが活躍できるフィールド】

多くは企業内や人材関連会社で活躍
独立開業やフリーランスで活躍するのも選択肢のひとつ

●働く場所−企業・組織内が多いですが、人材派遣会社・人材紹介会社や大学などの教育機関、公的就労支援機関で活躍する人もいます。独立開業<講師等含む>する場合も。

●活躍の場−正社員雇用以外にも臨時職員やパートタイマーといった非常勤でも働けるキャリアコンサルタントは、活躍できる場も多岐にわたります。

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2016年に生まれた国家資格のため認知度はまだ高くありませんが、就職や転職といった人材に関わる業務なので、働く人にとっては身近な存在であり、活躍の場も幅広く多彩です。
<企業や組織の人事・人材開発部門>
採用活動や、働く人の意欲、能力開発に関する施策の企画立案、実行などに、キャリアコンサルティングのスキルを活かすことになります。人事担当には必要不可欠な資格として、取得を奨励する企業も数多くあります。また、ある程度の規模を持つ企業や組織ではキャリアカウンセリング室などの部署が設けられ、直接コンサルティングに携わるケースもあります。
<人材派遣(紹介)会社や再就職支援会社派遣>
登録スタッフや転職希望者と求人企業との適切なマッチング管理を行うことで、人材派遣や転職をスムーズに進めます。キャリアコンサルタントの専門知識やスキルがもっとも期問われるフィールドともいえるでしょう。相談者のキャリアやスキルだけでなく、仕事に対する意欲や潜在能力を見極める能力が求められます。
<その他>
ハローワークなどの公的就労支援機関で働く人も多くいます。実際の求職活動の支援だけでなく、求職者のスキルアップのためのセミナーに関わるケースもあります。大学や専門学校などのキャリアセンター(就職課)も活躍の場のひとつ。学生の進路選択や求職活動の支援、求人企業の調査・研究、学内のキャリアプログラムの立案などの活動を行います。
<独立開業>
組織に属さず、独立しフリーランスとしてキャリア形成支援に携わる道も選択肢のひとつです。企業や団体に委託されてキャリアカウンセリングを実施したり、講習会を行ったりするのがおもな仕事。この場合、経験はもちろん、社会保険労務士などのダブルライセンスの取得など、自分ならではの専門分野を持つことが活躍のカギとなっているようです。

【ワーク・ライフ・バランス】

女性ならではの活躍の場も多く、出産後に復職する人も。
また、コンサルティング経験を積めば独立も可能!

【ワークスタイル】
働き方は、勤務先(フリーランス含め)によって大きく変わりますが、勤務体系は日勤で休みはカレンダー通りが基本。しかし、業務時間が決まっている公的就労支援機関を除くと、コンサルティングを行う相手(クライアント)によって、残業や土日出勤するケースもあります。とくにフリーランスの場合は、複数の委託元がクライアントになるため、相談者が学生だったり、社会人だったりと幅広くなり、働く時間にバラツキが出がちになります。

人材紹介会社に勤務するキャリアコンサルタントを例に、大まかな1日のスケジュールを見てみましょう。

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面談(コンサルティング)は1日2~4件、1時間前後が基本。面談者が在職者の場合は、勤務後のコンサルティングを希望する人もいるので、20時ごろから面談を行うことも度々あります。また、勤務時間後や休日に定期的に研修やセミナーに参加し、自らのスキルのブラッシュアップをしたり、人脈を広げたりするキャリアコンサルタントも数多くいます。

【仕事の持続性】
キャリアコンサルタントの資格取得者は40代以上の中高年層が多く、男性よりも女性が多くなっています。女性の活躍のフィールドも多く、結婚・出産というイベントを経験した後でも、キャリアコンサルタントとして復職したり独立開業したりしている人も。また、育児がひと段落したのちに資格を取得し、外資系の人材紹介会社や大学でコンサルタント業務に携わる女性などもいます

キャリアコンサルタントの主業務のひとつに「女性のための転職支援」があり、また出産や育児の経験がなければコンサルティングが難しい「母親のキャリア支援」といった業務もあることなどが、自ずと女性の活躍の場を広げているといっていいかもしれません。

【転職・スキルアップ・キャリアアップ】
2016年に国家資格となり、キャリアコンサルタントの需要は今後高まっていくと見られますが、現在の日本では、必ずしも資格取得者全員がキャリアコンサルタントとして生計を立てているとはいえません。非正規雇用(パートタイムなど)の割合も高く、休止者やボランティアで活動している人もいるのが現状です。ただ、休止者に関しては、活動を再開したくても経験不足によって再開できない面もあるようです。逆に、経験を積み重ね、独立開業してフリーランスとして活躍する人もたくさんいます。
これらの状況を踏まえると、資格を取得したことに満足せず、一度就職したらチャンスが到来するまで腰を据えて、自らのスキルアップを図っていくことが重要といえます。就職先でキャリアコンサルタントの仕事に就けなかったとしても悲観することはありません。どんな職種でも部下の指導や教育、取引先担当者との面談など、キャリアコンサルタントのスキルが活かせる仕事や場面は多くあり、将来のステップアップの糧になるからです。実際、「同じ業界で働いていたから、私の気持ちを汲めるんだね」という言葉を掛けられたキャリアコンサルタントも多くいます。キャリアコンサルティングは、相談者が経験から学んだことを引き出し、自発的なキャリア形成を促す働きかけをするのが本来の目的。それは、キャリアコンサルタント自身にもいえることなのでしょう。

【社会的需要】

国を挙げてキャリアコンサルタントの周知を図り、
2024年度末までに10万人にする計画も

時代の流れとともに、新しい業種や仕事が数多く生まれています。また、都会から地方へUターンやIターンをしたり、定年後にセカンドキャリアを選択したりと、個人の働き方はより多様化しています。一方で、ニートやフリーターの増加、リストラといった問題も多く、先が見えにくい労働環境のなか、自分の力だけでキャリア育成を図るのは難しくなっています。

そこで、政府は2016年にキャリアコンサルタントの国家資格化を実施。その前年の「日本再興戦略」(改訂2015)では、労働者のキャリア形成を支援するため、就業年数、役職などそれぞれの節目において定期的にキャリアコンサルティングを受ける機会を設定する仕組み(セルフ・キャリアドック)の整備が盛り込まれ、導入・実施した事業主に対する助成も開始されました。こうした取り組みを通じて、国はキャリアコンサルティングの重要性の周知を図り、企業内におけるキャリアコンサルタントの活用を進めることで、「働き方改革による生産性の向上、多様な人材活躍促進」を図ろうとしているのです。

また、厚生労働省は、キャリアコンサルタントを2024年度末までに10万人にする計画(キャリア・コンサルタント養成計画)を立てています。これらのことからも、今後キャリアコンサルタントの業務範囲は拡大し、需要も高まっていくと見られます。そのニーズに応えるためにも、キャリアコンサルタントには自身の専門スキルの向上や社会の潮流(トレンド)に対応できる柔軟性が求められることになるでしょう。

【魅力・やりがい】

相談者の「人生の喜び」を支援することにやりがいがある
正解のない仕事だからこそ向上心も育まれる

どの仕事にもいえることですが、やりがいの多くは結果を伴った「達成感」にあります。キャリアコンサルタントの場合なら、「コンサルティングした相談者の悩みや問題が解決し、進路が決まったとき」が、それにあたるでしょう。相談者が抱える悩みや課題が大きければ大きいほど、解決したときの喜びもひとしおです。そんな相談者が人生の喜びにいたるプロセスを見守り、支援できるのも、キャリアコンサルタントならではのやりがいなのです。

キャリアコンサルタントは、正解のない問題にも必死に取り組まなくてはならない仕事といえるでしょう。まったく違う価値観を持つ相談者に出会って困惑したり、「こんな方法があったかも?」と思い悩んだりすることもあります。しかし、正解がないからこそ、いまの自分のスキルに満足することなく、貪欲に専門技術や知識を吸収するモチベーションになることも多いのです。また、キャリアコンサルタントの場合は、吸収した技術や知識を、すぐに実際の仕事上で活かせる面があり、だからこそ働きがいがあるともいえます。そして学習すればするほど、自らも成長していけるのです。

【キャリアコンサルタントになるためには】

学科と実技両方に合格し、名簿登録によって資格を取得。
実技の合格率は安定しているが、学科はその年によって大きく変化!

キャリアコンサルタント国家資格は、学科試験と実技試験(論述及び面接)両方に合格し、キャリアコンサルタント名簿に登録することで、初めて「キャリアコンサルタント」を名乗ることができます。試験は日本キャリア開発協会とキャリアコンサルティング協議会の2つの特定非営利活動法人が実施しており、学科試験は同一日に行います。ただし実技試験日は異なる場合があります(学科は共通問題、実技の論述、面接はそれぞれに特徴がある)。受験には、実務経験か養成講習の修了など一定の受験資格が必要になるので、日程(年度に3回実施)とともにしっかり確認してから受験するようにしましょう。

学科・実技どちらかに合格すれば、次回は片方の受験だけでOK。合格率は、実技に関しては60~70%強と安定していますが、学科に関しては30~70%強となっており、それが同時に資格全体の合格率にも反映しています。
また、より高い技能を検定するための試験として、キャリアコンサルティング技能検定があります。合格者には、2級は“熟練レベル”、1級は“指導者レベル”という評価が与えられます。キャリアコンサルタント国家資格でなくても、一定の受験資格を満たせば受験できますが、実技の合格率が2級で10%台、1級ではひと桁と高難易度になっています。いきなり上級資格を目指すより、まずはキャリアコンサルタント国家資格を取得し、実務経験を積んだうえでステップアップを目指すのが現実的といえるでしょう。

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【おすすめの学習プラン】

未経験者は厚生労働大臣指定の講習が必須
万全を期すためスクールで講習を受ける実務経験者も!

養成講習を受けずに独学で受験する場合は、受験資格としてキャリアコンサルタント業務の経験が3年以上必要であるため、独学で資格取得を目指せる人はごく少数。また、現実的にも、資格もなくコンサルティング業務に就くのは至難の業です。そこで、ほとんどの人が指定のスクールなどに通い、大臣認定の講習(140時間*)を受ける必要があると考えていいでしょう。

また、3年以上の実務経験を持つ人でも、なるべく早く資格を取得するためには、万全を期して試験対策のためにスクールに通う人もたくさんいます。スクールで講習を受けたほうが、合格率が高いという実績があるからです。

キャリアコンサルタント試験は実施団体が2つあり、学科試験は共通ですが、団体によって実技試験の論述の問題が異なり、面接試験(ロールプレイ+口頭試問)の評価基準も違います。キャリアコンサルティング協議会は「態度」「展開」「自己評価」、日本キャリア開発協会は「主訴・問題の把握」「具体的展開」「傾聴」が評価基準になり、両団体の合格率にも微妙なちがいがあります。スクールなら、どちらの団体を受けるかといった対策も個人ごとにしっかり行ってくれるので、学科、実技試験とも一発合格を目指すうえでも、強い味方になってくれます。
*2020年度以降は150時間以上

【学費はどれくらいかかるの?】
独学――約1万円(テキスト代)
資格スクール――20万~40万円(通学、通信+スクーリング含む)
通信教育――NG。養成講習では演習などのスクーリングが必須、養成機関も決まっています。

※試験合格までにかかる一般的な費用ケースを記載しておりますので、金額に関しては個人差が生じ、異なる場合がございます。ご了承ください。

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