日本語と日本の文化・歴史を伝える仕事

日本語教師

日本語教師の仕事は、主に外国人学習者に対し、日本語の発音や文法、読み書きを教えること。日本語教育を通じて、日本人の生活習慣や文化、歴史を学ぶきっかけをつくるという大事な役割を果たします。日本語教師になるには特別な免許や資格は要りませんが、日本語教師として採用されるには、「日本語教育能力検定試験」に合格するか、「日本語教師養成420時間講座」の修了が半ば必須条件となっています。日本語教師を仕事にするなら、いずれか、もしくは両方の合格・修了を目指すのが現実的といえるでしょう

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日本語教師とは 日本語教師が活躍できるフィールド ワーク・ライフ・バランス 社会的需要 魅力・やりがい 日本語教師になるためには おすすめの学習プラン

日本語教師になると・・・

□仕事を通じて国際協力ができる!
□海外で働くチャンスがある!
□外国人学習者との交流で異文化を学べる!

慢性的な人手不足から、さまざまな業種で外国人スタッフを受け入れる企業が増えています。しかし、外国人が独学で敬語や尊敬語などを交えたビジネスレベルの日本語を身につけるのはかなり難しいことから、近年、専門教育を受けた日本語教師のニーズが急上昇しています。日本語教師は、日本語を学ぶ外国人にとって、もっとも身近な国際協力の象徴的存在といえそうです。

日本語教師の活躍の場は日本国内だけでなく、海外の日本語学校や教育機関、現地の日本企業などで、外国人に日本語を教える機会もあります。国際交流が活発になるなか、日本語教師の活躍の場は広がっています。

日本語教師は教える立場ではありますが、日本語を学びたいという強い意欲を持った外国人学習者との交流を通じて、教師自身も異文化を学び成長できる面があります。人に教えることが好きで、海外と日本の架け橋になりたい人にとって、日本語教師はうってつけの仕事といえるのではないでしょうか。

【日本語教師とは】

教える以外にもたくさんある
日本語教師の仕事

日本の伝統文化やポップカルチャー、テクノロジーやビジネスへの関心が高まるなか、海外で日本語の学習熱が高まっています。日本語教師は、日本に住む外国人や海外で日本語を学びたい人たちに対し、習得の目的や学習者のレベルにあった指導を行い、日本語習得をサポートします。

日本語教師のおもな業務とは……
(1)習得の目的やレベルにあわせて学習プランを立てる
(2)日本語の発音や文法、読み書きを教える
(3)授業の準備や採点や添削、事務作業、進路相談 など

(1)習得の目的やレベルにあわせて学習プランを立てる
ひと口に日本語を教えるといっても、日本語を習得する目的や学ぶ人のレベル、またグループレッスンかマンツーマンレッスンかでも、教え方は変わります。所属する学校や教室によっては、決められたカリキュラムに沿って教えれば良いということもあるでしょう。しかし、学習効果を最大化させるには、自分が受け持つ教室や学習者の特性・学習環境にあった学習プランを立てることが重要です。これも日本語教師の大切な仕事のひとつです。

(2)日本語の発音や文法、読み書きを教える
学習コースや学習プランに沿って、日本語の発音や文法、読み書きを教えます。日本語教師は、学習者の母語で授業を進めると思われる人がいるかもしれませんが、さまざまな国から学習者が集まる国内で日本語を教える際には、日本語で授業を行う「直接法」が一般的です。一方、海外で教える場合など、学習者全員が理解できる共通言語が日本語以外である場合は、その国の言葉で教える「間接法」を採用することもあります。

(3)授業の準備や採点や添削、事務作業、進路相談 など
日本語教師の仕事は、日本語を教えるだけではありません。副教材制作といった授業の準備から、テスト問題の作成や採点、宿題の添削、出欠管理や報告書作成、会議への出席まで、さまざまな業務をこなします。また、学習者からの質問に答えたり、進路相談に乗ったりすることも日本語教師の大事な仕事です。

【日本語教師が活躍できるフィールド】

国内のみならず
海外でも必要とされる日本語教師

●働く場所−日本語学校や個人教室、教育機関、企業、NPO法人や日本語サークルなど、日本語教師の働く場所は多岐にわたります。

●活躍の場−就職先としては日本国内のほか、海外で日本語教育に携われるチャンスもあります。

<働く場所>
留学生や、外国人ビジネスマンとその家族を対象にした日本語学校や日本語教室、外国人学習者や学生を迎え入れている教育機関、企業・団体などで教えることができます。また、NPO法人や日本語サークルのボランティア教師として教える人もいます。

日本語教師が求められる場所
日本語学校、日本語教室、企業・団体、教育機関(小・中・高・大)、インターナショナルスクール、NPO法人、ボランティアサークルなど

【知っておきたい法改正】
2017年8月から新しいルールが適用され、日本語教育機関(法務省告示校など)で働く場合は、日本語教師養成420時間講座修了者でも、学士(4年制大学卒業)を有していることが応募や採用の条件になりました。そのため、日本語教師養成420時間講座修了者で学歴条件を満たさない方は、日本語教育能力検定試験の合格を目指すことになります。もちろん、社会人を受け入れている大学などで学士を取得すれば、働きながら応募条件を満たすことは可能です。
なお、令和5年(2013年)3月現在において、日本語教師の国家資格化の準備が進められています。令和6年度(2024年度)より新しい国家試験も始まる見込みです。最新情報は日本語教師講座説明会でご案内していますので、お気軽にご参加ください。

<活躍の場>
日本だけでなく、海外で日本語教育に携われるチャンスもあります。とくに日本との結びつきが強いアジアのなかでも、日本企業が数多く進出している中国やタイ、ベトナム、また経済連携協定(EPA)に基づいて、日本の医療・福祉の現場に、看護師、介護福祉士を送り出しているインドネシアやカンボジア、フィリピンでも日本語学習熱が高まっています。

【ワーク・ライフ・バランス】

キャリアアップのためには
指導力の向上がカギになる

【ワークスタイル】
国内や海外、就職先の規模や業態によっても変わりますが、一般的には学校などの教育機関や予備校、塾の教師や講師に近い働き方といえます。ただ、雇用契約によっては、事務作業や会議の出席、進路相談などに割く時間に多寡があるので、応募の際には雇用形態とあわせて、担当する業務を確認しましょう。

【仕事の継続性】
日本語教師の雇用形態は、大きく分けて常勤と非常勤があります。条件が良い常勤職の求人は競争率が高く、非常勤教師として複数の日本語学校をかけ持ちしている人も少なくありません。国内外で日本語学習の需要は高まっています。たゆまない指導技術向上への意欲が、継続的に仕事を得るためのカギになりそうです。

【転職・スキルアップ・キャリアアップ】
日本語教師を採用する側は、資格の有無だけでなく、教師としての経験や指導力、専門性、人柄、コミュニケーション能力などを総合的に判断して採用を決めます。なかでも重要視されるのが、授業における指導力。実践の場である授業を通じていかに指導力を高めていくか、戦略的に学び、自らの能力を高めていける人は、その後のキャリアアップにも良い影響があるでしょう。常勤職は非常勤職に比べて雇用は安定しているものの、授業以外の業務が多くなる傾向にあります。どちらを選ぶかを決めるのも、就職や転職の際のポイントとなるでしょう。

【社会的需要】

アジア圏を中心に
日本語学習者は今後も増加する

日本国内にいる日本語を学ぶ外国人の数は、2017年11月現在で23.9万人を超え、対前年で約10%増加しました。一方、日本語教育能力検定試験の新規合格者は前年度の1463人から1937人と500人近く増えたものの、日本語教師数全体では4%程度の増加に留まっています(文化庁「平成29年度 国内の日本語教育の概要」)。

また、海外の日本語学習者数は、世界137カ国と地域でおよそ365万人にのぼるとされ(国際交流基金「2015年度海外日本語教育機関調査」)、なかでも経済成長が著しく、日本と関係が深いアジア圏で、今後さらに、日本語学習需要が増加するのではないかと見られています。

日本語教育能力検定試験合格者数推移

横にスクロールしてご覧ください。

【魅力・やりがい】

学習者個人の成長を垣間見ながら
国際貢献にもつながる仕事

●学習者の成長を間近に実感できる
日本語教師はけっして楽な仕事ではなく、待遇面でも必ずしも恵まれているとはいえません。しかし、それまで日本語をまったく話せなかった学習者が、少しずつ日本語を覚え、成長していく過程を間近で見ることができるのは、日本語教師にとってこのうえない喜びといえます。

●国と国との架け橋になれる
海外に身を置き、日本語や文化を伝えることができる日本語教師は、さまざまな文化や価値観にじかに触れる機会が多い仕事です。国際交流を通じて、国と国との架け橋になれるのも日本語教師の魅力のひとつです。

●異文化に接して視野が広がる
日本語を教える過程では、国籍や年齢、立場が異なる学習者たちのバックボーンである歴史や文化的背景に触れる機会も少なくありません。異文化に接することで、自分自身の視野を広げることができるのも、この仕事の醍醐味といえるでしょう。

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【日本語教師になるためには】

日本語教師になるには教員免許は不要だが
働く際に条件が課される

日本語教師は、国内で働くとしても、小・中・高校の教師が持っている「教員免許」を取得する必要はありません。しかし、日本語教育は専門性が高くカバーすべき領域も広いので、日本語教師として就職し、働くためには、一般に下記いずれかの条件を満たしていることが求められます。

【法務省告示校で働く場合の条件(いずれかひとつ)】(2023年3月時点)
(1)学士の学位を有し、文化庁への届出を受理された日本語教師養成420時間講座修了者
(2)日本語教育能力検定試験合格者
(3)大学または大学院で日本語教育に関する教育課程を主専攻(45単位以上)または、副専攻(26単位以上)し、卒業した者

日本語教育能力検定試験は毎年10月に行われ、受験資格に学歴や年齢の制限はありませんが、合格率は20%台とけっして簡単な資格ではありません。また日本語教育能力検定試験を受けるための試験勉強をしただけでは、実際の教え方までは学べないので、別途、日本語教師養成420時間講座を修了するなどしたほうが、就職のチャンスは広がるでしょう。

日本語教育能力検定試験合格率推移

横にスクロールしてご覧ください。

【おすすめの学習プラン】

日本語教育能力検定試験合格と
日本語教師養成420時間講座修了を目指そう

きちんと学習計画を立て実行できる人であれば、市販の参考書を活用した独学でも、日本語教育能力検定試験に合格は可能です。近隣に通える資格スクールがない場合や、仕事の都合で定期的に通えない場合は、独学や通信教育を選ぶのも良いでしょう。ただし、通信教育のみでは、420時間分の講義を修了しても法務省告示校で教えることはできないので注意が必要です。

また、日本語教育能力検定試験に合格するだけでは、教え方に関する技術までは身につけられません。そこで、資格スクールで、文化庁届出受理講座である日本語教師養成420時間講座を受けることも検討してはいかがでしょうか。講座修了と検定合格をあわせれば、就職でも有利になります。日本語教育能力検定試験対策講座とあわせた総合講座を用意している資格スクールもあるので、検討してみるのもおすすめです。

【学費はどれくらいかかるの?】
独学 約5万円〜(検定試験受験の場合、受験料含む)
通信教育 約15万円〜(420時間講座受講の場合、受験料含む)
資格スクール 約50万円〜(420時間講座受講の場合、受験料含む)

※試験合格までにかかる一般的な費用ケースを記載しておりますので、金額に関しては個人差が生じ、異なる場合がございます。ご了承ください。

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