地域の介護サービスを指揮するコンダクター

ケアマネージャー
(介護支援専門員)

介護サービスの利用者と提供者のパイプ役として、ケアプランの作成や調整を行います。また、地域に密着した介護サービス全体を指揮する「コンダクター」としての役割を担うことも。超高齢化が進む日本において、今後ますます需要が高くなり、活躍の場が広がっていく職業です。

試験情報はこちら

ケアマネージャーとは ケアマネージャーが活躍できるフィールド ワーク・ライフ・バランス 社会的需要 魅力・やりがい ケアマネージャーになるためには オススメの学習プラン

ケアマネージャーになると・・・

□転職市場でも需要が高い
□居宅ケアマネージャーなら妊娠・出産後も継続勤務が可能
□経験を積めば、独立開業という道も

要介護者のケアプラン作成や、介護サービス開始後のモニタリングなどをおもな業務とするケアマネージャー。超高齢化が進む日本の地域社会において、多様な介護サービスを提供するコーディネーターとして活躍の幅を広げています。介護サービスへの新事業者の参入が相次ぐなか、慢性的な人材不足にあるケアマネージャーは転職市場で評価が高く、需要は高止まりの状態に。そのため、キャリアアップやスキルアップを目指して、ケアマネージャーに転職する人も多くいます。

また、居宅介護支援事業所勤務の居宅ケアマネージャーは女性にとって働きやすい職業といえます。なぜなら、日勤かつ休日はカレンダー通りと、市町村役場に準じた勤務体系をとっているところがほとんどだからです。有休や時間休なども取得しやすく、業務スケジュールの管理次第では育児などに時間を割くこともでき、出産後も継続的に働けるメリットがあります。

さらに、ケアマネージャーの醍醐味は、業務を通して自分でやりがいを生み出せるという点にもあります。主業務のケアプラン作成は、要介護者一人ひとりのために作るオーダーメイド。最良のプランを立てることで、要介護者との絆がより深まるという結果をもたらしてくれます。
そして常に要介護者の立場に立ち、地域の福祉関連機関や医療機関との連携を深めながらケアマネージャーとして相応の経験を積んでいけば、独立開業という道も拓けます。

【ケアマネージャーとは】

もっとも重要な業務はケアプランの作成
要介護者と介護サービス提供者の重要なパイプ役に

ケアマネージャーは、正式名称を「介護支援専門員」といいます。介護保険法では、「要介護者等からの相談に応じ、要介護者等がその心身の状況等に応じ適切なサービスを利用できるよう市町村、サービス事業者等との連絡調整等を行う者であって、要介護者等が自立した日常生活を営むのに必要な援助に関する専門的知識・技術を有するものとして介護支援専門員証の交付を受けたもの(法第七条第五項より抜粋)」と定義されています。簡単にいうと、ケアマネージャーは、介護サービスが必要な人とサービス事業所をつなぐ仕事になります。

ケアマネージャーのおもな業務とは……
① ケアプラン(介護サービス計画)の作成
要介護認定を受けた人とその家族が抱える問題を把握・分析し、できる限り自立した生活が送れるように目標を設定したうえで、ケアプラン(わかりやすくいえば、介護サービスの計画・スケジュール表)を作成します。プランは、サービス担当者を集めて開かれるサービス担当者会議を経て決定。このケアプラン作成に携われるのはケアマネージャーだけで、もっとも重要な仕事となっています。
② 認定調査
市町村の委託を受けて、高齢者の心身状態を把握する調査を行います。
③ モニタリング
サービス開始後は定期的に要介護者の自宅を訪問し、介護サービスが順調に提供されているか、目標達成できているかなどを評価します。
④ その他
サービスを利用する際に必要な要介護認定申請書などの作成代行も行います。ほかにも、担当する要介護者の支給限度額を確認するとともに、毎月の利用料金負担額を計算し、給付の管理を行う介護サービス給付管理業務、要介護者やその家族からの相談業務なども担当します。

いずれも要介護者とサービス提供者のパイプ役に徹した業務ですが、俯瞰してみると、介護サービス全体をプロデュースする役目を担っているのです。

横にスクロールしてご覧ください。

【ケアマネージャーが活躍できるフィールド】

居宅・施設ケアマネージャーとして活躍できる!
経験を積めば地域包括支援センターでの活躍や独立開業も

●働く場所−多くは居宅介護支援事業所ですが、介護老人福祉施設(特別養護老人ホームなど)・認知症グループホーム・地域包括支援センターで働く人や独立開業する人も。

●活躍の場−施設で暮らすお年寄りの生活相談を行うほか、施設でよりよい支援が受けられるようサポートするなど業務内容は幅広く、活躍できる場も多岐にわたります。

ケアマネージャーの活躍のフィールドは、大きく分けて2つ。
<居宅介護支援事業所>
複数のケアマネージャーが働く、在宅介護を必要とする人のための専門事業所のことです。規模によっては、訪問介護(ホームヘルパー派遣)や通所介護(デイサービス)の事業所が併設されている場合も。ここで働くケアマネージャーは、「居宅ケアマネージャー」と呼ばれています。居宅ケアマネージャーは、要介護者(要介護1以上)のケアプランの作成や、自宅で暮らす利用者のために、訪問介護の依頼や日帰りで利用する通所介護施設(デイサービス)の紹介などの業務(担当は35件程度)を担っています。多くのケアマネージャーが働く規模の大きな事業所は、先輩からノウハウを学ぶことでスキルアップが図れます。一方、小規模な事業所ではアットホームな環境で仕事ができるなど、それぞれ特長があります。

<特別養護老人ホームなどの介護老人福祉施設
これらの施設で働くケアマネージャーは、「施設ケアマネージャー」と呼ばれています。おもに、要介護1以上の入所者のケアプラン作成などを担当します。施設ケアマネージャーは、100人の入所者に対し最低1人の設置が義務付けられていますが、1人で施設の入所者すべてを担当することも少なくありません。
このほか、ケアマネージャーとしての経験を積み、一定の専門研修を受ければ主任ケアマネージャー(主任介護支援専門員)として、地域包括支援センターなどに活躍の場を広げることも可能です。また、相当の経験を積むことで独立開業という道も拓けます。

【ワーク・ライフ・バランス】

基本的には日勤・カレンダー通りの勤務体系
居宅ケアマネージャーなら妊娠・出産後も継続勤務が可能

【ワークスタイル】
<居宅ケアマネージャー>
出勤は8~9時。まず、スケジュールや連絡事項の確認からはじまり、午前中は主に電話の対応やケアプラン作成などの業務を行います。スケジュールによっては、モニタリング訪問にあてることもあります。午後は、サービス担当者会議やモニタリング訪問の時間がメイン。また、関係機関とのやり取りをしたり、要介護認定の書類を提出しに市町村役場へ行ったりすることもあります。16~17時ごろに事業所へ戻ると、一日の業務に関する書類整理や電話対応を行い、17~18時ごろに終業となります。

<施設ケアマネージャー>
居宅ケアマネージャーとほぼ同じような業務の流れですが、モニタリングは入所者の居室訪問になります。ただし、施設ケアマネージャーの場合、施設によっては介護やレクリエーション実施などの業務を兼務することもあります。

一部の施設を除き、ケアマネージャーの仕事は日勤、休日はカレンダー通りというのが基本。また、ふだんの残業は少ないのですが、会議やモニタリングに追われて事務作業の時間が取れないケースもあり、給付請求書類などがたまってしまうと、月末や月初に残業して処理することもあります。

横にスクロールしてご覧ください。

【仕事の持続性】
日付が重要視される書類が多い介護保険制度では、ケアマネージャーが行う手続きが進まなければ必要な介護サービスが滞ってしまうことも。このため、ケアマネージャーの職場の多くは、市町村役場に準じた規則的な勤務体系をとっています。その意味では、家庭や生活と両立しやすく、女性にも働きやすい職業といえるでしょう。

また、居宅ケアマネージャーの場合、利用者が居宅介護支援の契約を結ぶのは、基本的にケアマネージャー個人ではなく事業所になります。もちろん、担当者が中心に動きますが、利用者の支援すべてをひとりで担うわけではありません。なぜなら、「担当者が不在でわかりません」という状況では、サービスの停滞につながるからです。そこで、担当居宅ケアマネージャー不在時の利用者の依頼は、事業所で対応することになります。つまり、同じ事業所に所属するケアマネージャーと情報を共有していれば、時間休や有休休暇も取りやすくなります。

さらに、事業所の許可があれば、訪問先への直行、訪問先からの直帰が可能になることも。そうすることで、出所・帰所する時間を、たとえば子どもの保育園や幼稚園の送り迎えにあてることもできるのです。業務スケジュールのセルフマネジメント次第で、複数の業務を効率よくこなしたり、育児と両立したりも可能。その意味でも、居宅ケアマネージャーは、自分のライフスタイルに合わせて継続的に働ける職業といえます。

【転職・スキルアップ・キャリアアップ】
ケアマネージャーは国家資格ではありませんが、資格取得者は転職市場での評価が高く、居宅ケアマネージャーから施設ケアマネージャーへ、あるいは施設ケアマネージャーから居宅ケアマネージャーへと転職する人も多くいます。両方の仕事を経験することは、自分のスキルアップにつながります。

ただし、転職する際には、条件をしっかり確認したうえで転職先を選ぶことが大切なのは言うまでもありません。たとえば、「夜勤がある施設だったので、夜勤がない居宅ならどこでもいい」という安易な考えで転職してしまうと、意外な落とし穴も。「夜勤はないけれど、あちこちへ出かけたり人との関わりも多くなったり、かえって大変だった」と、ふたたび施設ケアマネージャーへ転職するケースもあります。これは、需要が多いケアマネージャーならではのシチュエーションともいえますが……。

最近では、民間の保険会社や福祉用具会社でもケアマネージャーの資格取得者を採用するケースもあります。一度介護業界から離れ、新たな視点で介護を見つめなおすのも、スキルやキャリアアップには有効かもしれません。特に高いスキルを身につけ経験を積めば、主任ケアマネージャーや居宅介護支援事業所の管理者への道も広がります。

【社会的需要】

社会的需要も認知度も高まり、
地域の介護サービスを支える身近な存在に!

2000年の介護保険制度施行後、多くの人が受験し資格を取得しました。そのためケアマネージャーの数がかなり増え、一時は飽和状態というときもありました。しかし、日本では今後さらに高齢者の数が増え続ける見通しで、それに伴い近年はケアマネージャーの需要は増すばかりです。また、要支援者(本来は要介護者)の介護予防サービス計画書作成の受託など、ケアマネージャーの職務域が拡大されたことで社会的認知度が上がり、地域の介護サービスを支える職業として、より身近な存在になっています。だからこそ、国を挙げてケアマネージャーの質の向上に対する取り組みがなされ、さまざまな研修体制が整えられています。

一方で、資格試験合格後に「介護支援専門員実務研修」を修了しなければ実際の業務に就くことができないことや、5年おきの更新研修が必要などの理由から、更新手続きをしない「潜在ケアマネージャー」も多くいるのが現状。それが、需要に追いつかない慢性的なケアマネージャー不足を生む一因にもなっています。

<主任ケアマネージャー(主任介護支援専門員)とは?>
一定の実務経験を持ち、かつ都道府県によってケアマネージャー業務に対して十分な知識と経験を持っていると認められた人が、「主任介護支援専門員研修」の修了することで与えられる一般のケアマネージャーの上級資格。2006年の介護保険制度改正に合わせて設けられました。主任ケアマネージャーは、地域ケアマネージャーのまとめ役的存在として、新人ケアマネージャーの指導・育成をはじめ、事例検討会や会議を通して地域のケアマネージャーの交流やスキルアップを図っていきます。また、地域の特性に応じて住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステム構築に向けた取り組みへの実践が期待されています。取得すると、主任ケアマネージャーの在籍が必要要件になっている特定事業所加算を取得する事業所(質の高い人材を確保し、介護度の高い利用者に対して積極的にサービスを提供)、主任ケアマネージャーを担当区域の介護保険第1号被保険者(65歳以上の人)の数に応じて配置しなければならない地域包括支援センターなど、活躍の場がさらに広がります。

【魅力・やりがい】

オーダーメイドで最良のケアプランを
ケアマネージャーは自分でやりがいをつくり出せる

ケアマネージャーのおもな仕事は、利用者一人ひとりのケアプランを作ること。プランはオーダーメイドなので、ケアマネージャーのスキルや個性が問われます。どんなプランが利用者に合い、介護状態が改善するのか? 利用者一人ひとりの状態をとことん分析して、利用者やその家族、関係者と相談しながら最良のプランを作り上げていきます。その意味で、ケアプラン作りは、一点ものを作る職人の仕事と通じるものがあるかもしれません。

時には、コミュニケーションがうまくできないこともあるでしょう。それでも、利用者や家族の悩みを根気よく聞き、最良のプランにたどり着いたときは「語り尽くせない感動」があり、「人を知り、人に学ぶことにやりがいを感じる」と語るケアマネージャーもたくさんいます。最良のプランには、最良の結果がついてくるものです。オーダーメイドの介護サービスを取り入れたことで、利用者の生活がよい方向へと変化しているのをモニタリング訪問で目の当たりにすることもあり、こんな経験ができることもケアマネージャーの仕事の醍醐味です。

【ケアマネージャーになるためには】

受験資格の見直しが行われたことで
2018年度は受験者数・合格者数が減り、合格率も大幅ダウン

ケアマネージャーになるためには、一定の受験資格を持った者が「ケアマネージャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)」を受験し合格しなければなりません。実務経験での受験資格に関しては2018年度から厳しくなり、5年(900日)以上の実務経験を持つ医師や看護師、介護福祉士、社会福祉士などの国家資格者及び相談援助業務従事者に限定され、今まで受験資格を得られていた介護などの業務従事者やケースワーカーなどは対象外になりました。
その影響があり、前年(2017年)と比べると、受験者数は13万1,560人から4万9,332人へ、合格者数も2万8,233人から4,990人へ大幅に減少。また、合格率も21.5%から10.1%へ大幅ダウンしました。試験開始当初は40%以上あった合格率と比べれば雲泥の差で、難関資格に様変わりしたといえます。

試験開始当初は、とにかくケアマネージャーの数を増やす時代でしたが、いまは一定数のケアマネージャーが世の中に存在することで、質の向上がより問われる時代になったことが背景にあります。業務の複雑化やハードワークを理由に辞める人も多く、今後はケアマネージャーの質を上げながら、需要に合わせて一定数を誕生させるという難しい課題を迫られています。

横にスクロールしてご覧ください。

横にスクロールしてご覧ください。

【オススメの学習プラン】

実務経験者が効率的な学習で
チャレンジするのが現実的

ケアマネージャーになるためには、次の3つのプロセスを踏まなくてはなりません。

STEP① 実務経験を積む
STEP② 受験資格を得たら、ケアマネージャー試験に合格する
STEP③ ケアマネージャーになるための研修をすべて受講し、修了する

実務の未経験者が挑戦するには、まず福祉に関わる資格を取得するところからはじめなければなりません。たとえば、介護福祉士経由なら、3年の実務経験を積んで介護福祉士国家試験の受験資格を取得。資格試験に合格したら、さらにその資格を活かした実務を5年積むことになり、最短でも8年かかることになります。やはり現実的なのは、すでに資格を持って実務経験を積んだ人が挑戦するケースです。

それでも、2018年度からSTEP②の試験の難易度がグッと上昇し、効率的な学習方法で合格を目指さなければ、1年を棒に振ることになりかねません。もちろん、独学でも参考書や問題集などで学んで合格を目指せますが、「重要なポイントを絞れず、時間がかかってしまう」といった不安要素が多く、モチベーションの維持も大変です。やはり、一発で合格を目指すなら、的確なカリキュラムで学習できる通信講座や資格スクールがオススメです。映像やアプリを駆使したWeb講義をはじめ学習スタイルも多彩になっているので、自分のライフスタイルに合わせて学ぶことができるでしょう。

【学費はどれくらいかかるの?】
独学――約2万円(参考書・問題集代)
資格スクール――約6~7万円(通学講座など)
通信教育――約5~6万円(Web通信講座)

資格の大原
なんでも資格ランキング