子どもの健やかな成長を支える保育のプロフェッショナル

保育士

保育士は、0歳児から18歳までの児童を対象に保育や生活支援、また保護者に保育・子育てに関する支援を行うために必要な専門知識や能力を有することを示す国家資格です。一度資格を取得すれば更新の必要はなく、子どもが好きで長く安定して働きたい人に向いた資格といえるでしょう。さらに、保育士の活躍の場は、保育所に限らず児童を対象とした福祉施設や民間企業にも広がっています。

保育士とは 保育士が活躍できるフィールド ワーク・ライフ・バランス 社会的需要 魅力・やりがい 保育士になるためには オススメの学習プラン

保育士になると・・・

□子どもたちの成長を間近で実感できる!
□自分の子育てにも役立つ経験が積める!
□保護者から信頼される大切な存在になれる!

保育士は子どもの遊び相手や世話をするだけでなく、子どもたちに社会生活の基礎となる友だちや先生との人間関係を養い、食事や衣類の着脱、後片づけなど、基本的な生活習慣を身につけられるように支援するという重要な役割を果たします。心身の発達が著しい子どもたちと接するなかで、その成長を間近に見られるのは、保育士の醍醐味のひとつです。

保育士資格を得るには、乳幼児の身体や心理の発達、食や栄養に関する知識などを身につける必要があります。これらはすべて、自分の育児にも通じる知識です。資格取得や仕事を通じて得た知識を自分の子育てにも役立てることができるのは、保育士ならではのメリットといえるでしょう。

核家族や共働き世帯が増えるなか、0歳から就学前までの乳幼児を預かる保育所のニーズが高まっています。近年は待機児童問題などを背景に、保育士の価値が再注目されており、以前にも増して社会を支える重要な仕事として認知されるようになりました。仕事を持つ保護者から乳幼児を託される保育士は、保護者から信頼される大切な存在であり、なくてはならない職種といえるでしょう。

【保育士とは】

乳幼児や児童の世話と保護者への支援
地域と連携して子育て支援にも携わる

保育士は、児童福祉法第18条の4で「保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者をいう」と位置づけられている国家資格です。長らく「保母」「保父」の名称で親しまれてきましたが、1999年の児童福祉法施行令の改正で「保育士」という名称に変わり、2003年の児童福祉法改正で名称独占資格として規定され国家資格となりました。

保育士のおもな業務とは……
(1)乳幼児や児童の保育・生活支援
(2)保護者への支援・アドバイス
(3)地域における子育ての推進役

保育士のおもな仕事としてイメージされるのは、乳幼児や児童を預かり年齢や発達の状況に応じ、生活体験を通じて心と体の成長を助けることですが、健康や安全に配慮しながら子どもたちの心身の健全な発達を促し、社会性や生活習慣を身につけさせることも大事な仕事です。

また、集団生活のなかで気づいた点を保護者に報告し、必要に応じて健やかな成長の手助けになる支援やアドバイスを行うのも保育士の仕事に含まれます。さらに最近では、福祉施設や教育機関、医療機関との情報連携や交流イベントなどを通じて、在宅で育児をする家庭への支援を行うなど、地域での子育て支援に関わることも保育士の重要な役割となっています。

(1)乳幼児や児童の保育・生活支援
・子どもの健康状態や安全に配慮し、子どもの日常生活を支援する。
・食事、睡眠、排泄、清潔、衣類の着脱など基本的生活習慣が身につくよう支援する。
・遊びを通じて、心身の健全な発達と成長を促す。
・集団行動や地域活動、友だちづきあいなどを通じて社会性を養う。

(2)保護者への支援・アドバイス
・連絡帳などを通じて子どもの振る舞いや状況、気になる点を報告する。
・保護者からの質問や相談に対し、支援やアドバイスを行う。

(3)地域における子育ての推進役
・地域と連携したイベントを通じて、子育て支援などに貢献する。

【保育士が活躍できるフィールド】

全国の保育所に加え、
福祉施設や民間企業で働く機会も

●働く場所−職場としては保育所が中心ですが、福祉施設や民間企業などでも保育士は必要とされています。

●活躍の場−0歳から就学前までの乳幼児に限らず、7歳から18歳までの児童、障がい児、青少年を対象とした施設でも活躍できます。

<働く場所>
(1)保育所(園)
(2)児童厚生施設
(3)母子生活支援施設
(4)乳児院
(5)助産施設
(6)児童養護施設
(7)障害児入所施設
(8)児童発達支援センター
(9)児童心理治療施設
(10)児童自立支援施設
(11)児童家庭支援センター
(12)民間企業

<活躍の場>
(1)保育所(園)
保護者の就労などにより保育を必要とする、0歳から就学前までの乳幼児や未就学児童を預かり保育する施設。保育施設は大きく分けて、認可保育所と認可外保育所があります。

(2)児童厚生施設
児童館や児童遊園など、児童の健康増進と豊かな情操を育てることを目的に、健全な遊びの場や機会を提供する施設。

(3)母子生活支援施設
配偶者のない女子とその者の監護すべき児童を入所させ保護し、自立できるまでの生活を支援する施設。

(4)乳児院
保護者のいない1歳未満の子どもを養育し、援助するための施設。

(5)助産施設
経済的な理由などで、入院助産できない妊産婦を入所させ、助産を受けさせる施設。

(6)児童養護施設
保護者のいない児童や虐待されている児童、家庭の事情などで養護を要する児童を入所させて養護し、あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うための施設。

(7)障害児入所施設
障害のある児童の保護や、独立自活に必要な知識、技能を与えることを目的とした施設。福祉型障害児入所施設、医療型障害児入所施設があります。

(8)児童発達支援センター
日常生活における基本的動作の指導、独立自活に必要な知識技能の付与又は集団生活への適応のための訓練を行う施設。

(9)児童心理治療施設
家庭環境、学校における交友関係など環境上の理由で社会生活への適応が困難な児童を、短期間入所、または通所させ、社会生活に適応するために必要な治療や生活指導を行う施設。

(10)児童自立支援施設
不良行為をしたりする恐れのある児童などを入所させて、教育、指導にあたり自立を促す施設。

(11)児童家庭支援センター
地域の児童の福祉に関するさまざまな相談に応じ、必要な助言、指導、援助、児童相談所等との連絡調整などを総合的に行う施設。

(12)民間企業
民間企業による認可外保育施設やベビーシッターサービス、ベビーホテル、商業施設に付属する一時預かり所、社内託児所など。

【ワーク・ライフ・バランス】

シフト勤務が多く時短勤務も可能
ライフスタイルにあわせて働ける

【ワークスタイル】
認可保育園の場合、保育士の勤務時間は他の職種と同様に8時間が一般的で、シフトを組み働くケースが大半です。一般的に子どもを預かるのは、朝7時から夜7時までが多いものの、早朝保育や夜間保育がある場合は、子どもを預かる時間が1時間から3時間程度長くなります。

児童養護施設など入所型の施設では、24時間児童をサポートする必要があるため、日勤と夜勤があります。勤務時間は1日8時間を基本にローテーションを組み、勤務時間をずらして対応しています。パートタイム保育士の場合は、早朝保育のみ、また夜間保育のみ数時間だけ働くという選択も可能です。

【仕事の継続性】
少子化対策が社会的課題とされている一方、共働き世帯の数は増えているため、保育所の需要は非常に高く、保育施設が足りない地域が多いのが現実です。とくに首都圏などの都市部では、今後も保育士のニーズは高まっていくとみられます。子どもが好きで保育の仕事に使命感を持つ人にとっては、特色のある職場や自分にあった職場を見つけるチャンスは十分あるでしょう。

【転職・スキルアップ・キャリアアップ】
保育士資格があれば、全国の保育所をはじめ、0歳児から18歳までの子どもを対象としたさまざまな福祉施設で働くことができます。キャリアを積めば、リーダー、主任、園長とステップアップすることも可能です。また、国の制度に定められた保育士等キャリアップ研修(※)を受講することでスキルアップが望めます。雇用形態も、正社員、契約社員、派遣社員、パート・アルバイトなど、自分にあわせた働き方が選べるのも魅力のひとつです。

※保育士等キャリアアップ研修とは
厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課長通知「保育士等キャリアアップ研修の実施について」(平成29年4月1日付雇児保発0401第1号)に基づき、保育現場におけるリーダー的職員の育成に必要な専門性の向上を図るための研修です。

【社会的需要】

都市部を中心に
保育士のニーズは高まっている

保育所に子どもを預けたくても預けられない待機児童問題が注目されていることからもわかるように、保育士のニーズは高まっています。とくに都市部では、保育需要に保育所、保育士の数が追いついていない状況で、社会的需要は高いといえます。また、保護者のライフスタイルや働き方の変化にあわせ、早朝保育や夜間保育など、保育サービスの多様化が進んでいます。こうしたニーズにあわせて働くことができる保育士の需要も年々高まっています。

保育士登録者数推移

横にスクロールしてご覧ください。

【知っておきたい法改正】
2015年に、保育士不足対策の一環として「地域限定保育士試験」が導入され、2016年にはこれまで年1回の実施だった保育士試験が年2回に拡大されるなど、保育士確保に向けた対策が進められており、保育士登録者は年々増加しています。
また厚生労働省において、幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格の取得に関する特例制度が設けられました。2015年度から施行の新たな「認定こども園制度」への円滑な移行・促進のため、2019年度末まで、幼稚園教諭免許状と保育士資格の取得要件の特例が設けられました。

【魅力・やりがい】

●子育て世代を支える社会的意義がある
共働き世帯やシングルマザー・ファーザーにとって、保育士は保護者と子どもの生活に直結する非常に重要な存在です。保育士の存在なくしては、働くことができない人は少なくありません。保育士は働く子育て世代を支える、社会的意義が大きい仕事といえます。

●子どもたちの成長を間近で見られる
保育所に勤める保育士の場合、子どもの成長を間近に見られることを仕事のやりがいに挙げる人が多いようです。言葉も話せない0歳児から、学齢期間近の6歳児までの児童は、心身の発達が目覚ましい時期。この時期の児童の成長を間近で体感できるのは、保護者を除けば、保育士の特権のひとつといえるかもしれません。

【保育士になるためには】

試験は年2回実施
合格率は近年上昇傾向に

保育士試験は1年に2回、各都道府県で実施されます。保育士試験の合格率は、10%台前半だった時期もありますが、2011年から上昇に転じ、最近は20%台前半で推移しています。合格率が上昇したとはいえ、狭き門であることに変わりはありません。

保育士試験の筆記試験は、「保育の心理学」「保育原理」「児童家庭福祉」「社会福祉」「教育原理」「社会的養護」「子どもの保健」「子どもの食と栄養」「保育実習理論」の9科目9教科あります。1回の試験ですべての科目に合格する必要はなく、合格した科目は3年間の有効期間があります。また、実技試験については、音楽表現、造形表現、言語表現のうち2つを選択して合格する必要があります。

幼稚園教諭免許状取得者は特例制度を活用
2015年度に厚生労働省において、幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格の取得に関する特例制度が設けられました。2015年度から施行の新たな「認定こども園制度」への円滑な移行・促進のため、2019年度末まで、幼稚園教諭免許状と保育士資格の取得要件の特例が設けられました。

特例制度では、3年以上かつ4,320時間(実労働時間)以上の実務経験がある幼稚園教諭免許状取得者が、特例教科目8単位を受講・修了し、保育士試験(全科目免除)を経て、保育士資格が取得できます。

保育士養成校で取得
指定保育士養成施設(2年制)を卒業すれば、同時に保育士資格が取得できます。

現在、保育士として保育の仕事に就くためには、保育士資格を持つことに加え、都道府県の保育士登録簿に登録されることが必要です。

保育士試験合格者数

横にスクロールしてご覧ください。

【オススメの学習プラン】

やる気があれば独学も可能
通信教育や資格スクールなら学習効果も高い

きちんと学習計画を立てて実行できる人なら、市販の参考書を活用した独学でも合格は可能です。ただ、学習効率・効果を考えると、通信教育や資格スクールも検討すべきでしょう。近隣に通える資格スクールがない場合や仕事の都合で定期的に通えない場合は通信教育を、また時間的、金銭的に余裕がある場合は、同じ志を持つ仲間とともに学べる資格スクールを選ぶなど、ライフスタイルや家計の状況に応じて選ぶことをおすすめします。
保育士養成校であれば卒業と同時に保育士資格の取得が可能。インターンシップ実習で将来希望する職場で就業経験を積むことができる学校もあるので、関心のある方は調べてみるといいでしょう。
また幼稚園教諭免許状を保有していて、実務経験が規定年数、時間数ある方は、保育士資格取得特例制度で取得も可能です。働きながら特例教科目の単位を履修できる学校もあります。

【学費はどれくらいかかるの?】
独学 約1万円〜
通信教育 約5万円〜
資格スクール 約30万円〜
保育士養成校 約200万円~
特例制度開講スクール 約5万円~

大原で学べる学習スタイル

ダブルスクールや社会人の方の
資格取得や公務員合格をサポートします

平日に毎日通学し、資格取得や高度な技術を身につけ、
就職・公務員合格をめざします

資格の大原
なんでも資格ランキング