税理士は専門的な資格を取得して仕事をする、いわゆる士業の一つであり、試験が難関なことでも有名です。
税理士の資格があれば、税務に関する独占業務が行なえるようになるため、多くの方が取得を目指す人気の資格でもあります。
そこで今回は、難関資格が必要な職業である税理士の年代別年収や、働き方による違いなどを紹介します。税理士の将来性や、税理士になる方法についても解説するので、税理士に興味がある方はぜひご覧ください。
資格の大原 税理士講座 法人税法担当の水上です。人生100年時代ともいわれている今日、働き方や生涯年収は重要ですよね。税理士の働き方や年収について講師目線でそれぞれのポイントをお伝えいたします。
税理士は年収が高い、というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。それでは、実際の税理士の年収はどのぐらいなのか、税理士の平均年収や年代別・男女別の年収を詳しく紹介します。
厚生労働省が報告した「令和2年賃金構造基本統計調査」を見ると、税理士の平均年収は約958万円となっています。一般労働者の平均年収が約308万円であることから、やはり税理士の平均年収は高い水準であるといえるでしょう。
税理士として働くまでには、受験資格を得ることや難関試験を突破しなければならないことを考えると、高水準の給料が得られるのも納得かもしれません。
税理士の年代別の年収は、次のとおりです。
年代 | 平均年収 |
---|---|
20~24歳 | 約364万円 |
25~29歳 | 約506万円 |
30~34歳 | 約913万円 |
35~39歳 | 約1,009万円 |
40~44歳 | 約1,158万円 |
45~49歳 | 約1,107万円 |
50~54歳 | 約813万円 |
55~59歳 | 約755万円 |
60~64歳 | 約416万円 |
65~69歳 | 約681万円 |
税理士は年代が上がるにつれて、年収も増加する傾向があります。平均年収の年代別のピークは40代頃です
これは税理士としてのキャリアを積むことや専門性が高くなることによって、給料が上がるからだと考えられるでしょう。
税理士の男女別の年収は、次のとおりです。
年代 | 男性の平均年収 | 女性の平均年収 |
---|---|---|
20~24歳 | 約364万円 | 約364万円 |
25~29歳 | 約577万円 | 約404万円 |
30~34歳 | 約984万円 | 約707万円 |
35~39歳 | 約1,036万円 | 約931万円 |
40~44歳 | 約1,201万円 | 約929万円 |
45~49歳 | 約1,177万円 | 約862万円 |
50~54歳 | 約913万円 | 約658万円 |
55~59歳 | 約960万円 | 約592万円 |
60~64歳 | 約419万円 | 約411万円 |
65~69歳 | 約983万円 | 約250万円 |
税理士の平均年収を男女別で比較すると、20代前半は変わらないものの、それ以降は男性に比べて女性のほうが低いことがわかります。これは、女性のほうが結婚や出産などのライフステージの変わり目で、退職する方が多いからだと考えられるでしょう。
しかし、他の業種と比較すると女性の平均年収も高水準です。
税理士の生涯年収は、年代別の平均年収をもとに計算すると、約3億7,518万円となります。なお、この生涯年収は大学卒業後、23歳~一般企業で定年となる60歳まで働いたと仮定した場合です。
実際には、独立開業すれば税理士に定年はありませんので働き続ける間は生涯年収が増え続けることとなります。
わが国ではかつてない高齢化社会を迎えており、今後もその傾向が続きます。上記の表に示すように年齢別の平均年収が高いため、将来に向けての蓄えがしやすいといえます。同時に、税理士資格には定年がないため、税理士としての収入が0円になるわけではないとうことです。
税理士の平均年収を紹介しましたが、収入は税理士の働き方でも異なります。
一般的に考えられる税理士の働き方と、収入の特徴について、見ていきましょう。
税理士法人は、税理士が集まって法人化した事務所を指します。税理士の会社のようなものだとイメージするとわかりやすいでしょう。税理士法人では会社に属する形で仕事をするため、比較的安定した環境で働けます。
なお、税理士法人には世界的にも実績を誇る業界TOP4の法人があり、総称して「BIG4税理士法人」と呼ばれています。
BIG4税理士法人とは、次の4つです。
BIG4税理士法人に就職した税理士の年収は、1~4年目で600万~700万、4年目~12年目で700万~1,200万以上、12年目以上で1,200万~1,500万以上、パートナーで1,500万~2,000万以上と先ほど紹介した平均年収を超えるものとなるでしょう。
独立開業は、個人の税理士が自身の税理士事務所を構えて仕事をする働き方です。仕事をした分だけ収入が増加するため、平均収入を大幅に越えられる可能性があります。
ただし、自力で仕事を取る必要があるため、平均収入を下回ることもあると考えておきましょう。
また、独立開業の税理士事務所であれば、定年退職はありません。自分が働ける期間は仕事を続けられるという点も、独立開業で働く税理士の特徴でしょう。
企業内税理士は一般企業の財務部門に所属し、税理士の知識を活かして社内の税務に関する業務を行ないます。
例えば、一般的な企業に所属する企業内税理士は、経理に関わる業務がメインです。そして、金融機関に所属する企業内税理士であれば、金融機関の経理や財産評価などの税務業務を行ないます。
企業内税理士の収入は、勤務する企業によって異なるでしょう。大手で業績の良い企業であれば収入が高くなる可能性は高く、反対に規模の小さい企業であれば税理士の平均年収を下回る可能性もあります。
税理士の収入は働き方によっても異なるため、どのように働くかが非常に重要です。求める条件や収入を考慮して、それを実現できそうな働き方を選びましょう。
一昔前は、税理士受験をしている方の多くが「独立開業」を目指すという状況でした。一方近年は、「税理士法人」での勤務や「企業内税理士」を目指している方が増えて来ています。
一概にいえませんが、端的にいうと「安定」という観点で考えれば「税理士法人」「企業内税理士」に分があります。「独立開業」は、やり方次第ということになりますから、その魅力は「自由度」と「更なる高収入を目指せる」ということになるでしょう。
税理士は一般労働者の平均年収と比べて、年収水準が高い職種です。しかし、最近では以下のような理由から、税理士の将来性に不安を覚えるという意見もあります。
税理士の仕事は簿記や会計、税務書類の作成など、税務に関する業務全般です。しかし、近年のAIやRPA(Robotic Process Automation)などの普及によって、入力や仕分けなど記帳が簡単に行なえるようになりました。
このように人の力でなくてもできる作業が増えてきたため、税理士に記帳の代行を依頼するケースが減っているのです。記帳代行の需要が減少していることから、少しでも安くして依頼してもらおうと個人の顧問料が安くなっている流れもあります。
中小企業庁が2019年度に報告した「中小企業の動向」によると、1999年から2016年にかけて、中小企業の数は年々減少しています。
近年の不景気の煽りを受けて、個人や小規模な税理士法人の契約先であった中小企業が減ってきているのです。このまま、税理士のおもな取引先である中小企業が減っていくと、収入の低下が懸念されます。
AIやRPAの普及、不景気による中小企業の減少など、このような状況を聞くと、税理士の未来は暗いように感じるかもしれません。
しかし、税理士にとってAIやRPAの進歩・普及は、それらに入力や仕分け、記帳など定型的な会計・税務業務を任せることにより、税理士は計算された数字の先にある税務戦略立案のサポートなど、高付加価値で人でなければできない仕事に集中できるようになります。
その結果、クライアントの成長や社会貢献につながる実感が今まで以上に持てる、より一層楽しい仕事になっていくものと考えられます。
税理士業務が近い将来AIやRPAに取って代わられるのではないかということは、特に気になるところだと思います。基本的には上記に示したとおりですが、この他に例えば次のようないわゆる「人間くさい」部分のニーズは残るだろうと思っています。
①グレーゾ-ンの判断:税務署側も人間ですから、これくらいなら良いだろうという折衝は、相手の目を見ながら出し入れすることもありえる。
②中小企業の経営者への寄り添い:経営者は孤独という言葉がありますが、社員にはいえない悩みを、会社の状況を一番把握している税理士だけに打ち明けることも少なくありません。
ここからは、国家試験のなかでも難関といわれる税理士試験に合格するためにはどうすれば良いのか、詳しく解説していきます。
税理士試験では、必須科目と選択科目を合わせて全11科目中5科目に合格すれば、資格取得が可能になります。必須科目は、会計科目の「簿記論」と「財務諸表論」の2科目です。
選択科目は税法に属する科目となり、以下の科目から3科目を選択します。
ただし、選択する3科目のうち、「所得税法」と「法人税法」のどちらか1科目は必ず選択しなければなりません。
また、一度でも合格した科目は、生涯有効です。1年ごとに1科目だけ受験することも可能なため、数年かけて5科目すべての合格を目指す方も珍しくありません。合格ラインの目安は各科目、満点の6割です。試験は年に1回、例年8月に実施されます。
税理士試験の簿記論・財務諸表論は誰でも受験できますが、税法科目を受験するには以下の学識・資格・職歴いずれかの受験資格を得る必要があります。
次に挙げる、いずれかの事務または業務に通算2年以上従事した人
なお、海外の大学を卒業したなどの事情がある場合は、国税審議会から受験資格に関して個別認定を受けられることがあります。
税理士試験の勉強の進め方には、税理士に関する勉強ができる大学で学ぶ方法や独学で行なう方法などがあります。
ただし、税理士試験は合格率が10~20%と、非常に難易度が高い試験です。本気で税理士試験に合格したいのであれば、税理士試験に関する知識を専門的に勉強でき、専任の講師が教えてくれるスクールで勉強することをおすすめします。
税理士試験は科目ごとの専門性が高く、それぞれのボリュームも非常に多いものとなっています。例えば受験科目のなかに「法人税法」がありますが、法人税に関する諸法令をすべて学習するのはかなり厳しいものがあります。そのなかでも受験で試されやすい部分はどこなのか、近年の試験傾向に照らしてどのような問われ方をするのかといったことを考えながら、的を絞った学習をする必要があります。また、時間的に解き切れない場合はどう対応すべきなのか、他の受験生の方はどれくらいの勉強量・力量なのかといった作戦面も合格のために大切なこととなります。そういった観点から専任の講師が教えてくれるスクールで勉強することが合格への近道であるといえます。
税理士の勉強ができるスクールは数多くありますが、そのなかでも大原がおすすめです。その理由を2つ紹介します。
税理士試験は11科目のうち、必須科目を含めた5科目を合格しなければなりません。これら5科目すべてに合格することを「官報合格」といいます。
2020年度に行なわれた税理士試験の官報合格者のうち、57.5%が大原生合格者※という結果になりました。
※大原生合格者は、全国大原グループにおいて合格するための授業、模擬試験等がすべて含まれたコースで、税理士試験合格に必要な受験科目の半数以上を受講した方を対象としています。
このように、大原では確実な合格実績があるため、安心して受講できるでしょう。
大原の講座では、税理士試験の対策に特化した専任の講師が指導します。大原では、長年培ってきたノウハウを活かし、受講生の方一人ひとりを合格までサポートする体制が整っていることが強みです。
マンツーマンで学習法をアドバイスするサクセスミーティングも実施しており、受講生の方の勉強の悩みを解決します。大原に常駐している専任講師がいつでも受講生の方の質問に回答してくれるので、わからない点や疑問が生じたときでもすぐに対処できるでしょう。
先に示したように、税理士試験は科目ごとの専門性が高く、的を絞った学習や、作戦面での考察も大切な要素です。そのためには多種多様な情報収集や分析が必要となります。大手としてのマンパワーとノウハウの蓄積が、高い合格実績を出し続けている要因であると自負しています。また、受講生の方に寄り添うことが好きなスタッフの集まりであるということも我々の強みです。一緒に頑張りましょう!
税理士の平均年収は、職業全体で見ても高水準です。また、資格職であることから、一度現場を離れても再就職しやすいといったメリットがあります。税理士の将来性を不安視するような意見もありますが、実は今以上により一層楽しいものとなることでしょう。
なお、税理士試験は一度に5科目の合格が必須なわけではなく、毎年1教科ずつ合格して資格取得を目指すことも可能です。そのため、数年かけて独学で合格を目指す方もいらっしゃいます。
しかし、長期戦になるとモチベーションの維持も難しく、効率的に勉強を進められないこともあるでしょう。
税理士の勉強は大学や独学で行なうことも可能ですが、効率良く、そして確実に税理士を目指したいのであれば、専門のスクールに通うことをおすすめします。
税理士試験対策ができるスクールのなかでも、大原は官報合格者の割合も多く、高い合格実績を誇ります。
資料請求や説明会、体験入学なども可能ですので、興味がある方はぜひ各種情報をチェックしてみてください。大原で税理士試験に向けた質の高い講座を受講し、税理士資格の取得を目指しましょう。
大原の講師が徹底解説!
資格の講座以外の学習スタイル
大原学園グループでは、この他にも資格を取得できる学習スタイルをご用意しています。