合格率で見る税理士試験の
難易度と科目別勉強法のポイント

税理士試験は国家資格のなかでも難関といわれていますが、実際の難易度はどれくらいなのか、気になる方も多いのではないでしょうか。

ここでは、他の資格との比較をはじめ、税理士試験の学歴別・年齢別の合格率や、科目別勉強法のポイントなどについて解説します。

これから税理士試験合格を目指す大学生や、働きながら合格を目指す社会人の方は、ぜひ参考にしてください。

【水上講師の自己紹介】

資格の大原 税理士講座 法人税法担当の水上です。税理士試験の難易度や学習法については、みなさんも気になるところだと思います。講師目線でそれぞれのポイントをお伝えいたします。

税理士試験の難易度を他の資格と比較

税理士になるには、必要な学識や応用能力があるかどうかを判定する税理士試験に合格しなければなりません。過去3年間の合格率をもとに、税理士と公認会計士・簿記1級の難易度を比較してみましょう。

過去3年間の合格率一覧

  2020年 2019年 2018年
税理士(※1) 20.3% 18.1% 15.3%
公認会計士 短答式Ⅰ回(※2) 15.7% 16.6% 16.6%
短答式Ⅱ回(※2) 12.9% 12.7% 18.2%
論文式試験(※3) 35.9% 35.3% 35.5%
簿記1級(※4) 13.5% 9.2% 11.2%

※1受験者数/合格者数合計(5科目到達者数+一部科目合格者数)。

※2答案提出者数/合格者数

※3受験者数/合格者数。

※4実受験者数/合格者数。6月・11月試験の平均合格率。なお2020年は6月試験が中止のため11月試験のみ。

公認会計士の短答式や簿記1級と比較すると税理士の合格率は高いものの、合格率15%~20%は難易度が高いといえるでしょう。

【水上講師ならではのポイント】

税理士試験は原則として11科目中5科目の受験が必要です。1度に何科目受けても構いませんが、毎年1~3科目を受験する方が多いといえます。上記の合格率は少なくとも1科目は合格したという方の割合として公表されているものです。後述しますが、受験科目によっても合格率は異なりますので、ご自身の学習環境や将来像を見据えて受験科目や一度に受験する科目数を選択することが大切です。

税理士試験の学歴別合格率は現役大学生が高い

学歴別の合格率を見てみると、2019年と2020年では税理士試験を受けた大学生のうち約3割が合格しており、他の学歴よりも割合が高いことがわかりました。

過去3年間の学歴別合格率

  2020年 2019年 2018年
大学卒 19.3% 17.3% 14.7%
大学在学中 32.6% 32.9% 21.4%
短大・旧専卒 17.3% 11.9% 9.6%
専門学校卒 16.8% 15.9% 15.1%
高校・旧中卒 23.8% 21.0% 17.9%
その他 42.2% 38.1% 32.4%

出典:国税庁 「令和2年度(第70回)税理士試験結果」 「令和元年度(第69回)税理士試験結果」 「平成30年度(第68回)税理士試験結果」

難易度の高い税理士試験で大学生の合格率が高い理由には、次に挙げる2点が大きく影響していると考えられます。

  • 勉強時間を確保しやすい
  • 勉強に集中しやすい環境にある

大学生であれば夏季休暇や冬期休暇が長いため、比較的時間の確保がしやすいのではないでしょうか。また、大学の図書館など集中できる環境が身近にあることも、大学生の合格率が高い要因といえるでしょう。

【水上講師ならではのポイント】

大学生の方は学習時間を取りやすい環境にあることから、1度に複数科目を受験する方が多いといえます。交友関係を大切にしつつも、在学中の5科目合格もしくは複数科目の合格を目指して、みなさん頑張っていらっしゃいます。大学1~2年の間に「単位」を多めに取っておき、その後税理士受験に力点を置くという手法がおすすめです。また、資格の大原では大学1年生から学習を始められるコースもありますので、在学中の合格も夢ではありません。

社会人が税理士試験合格を目指すには

税理士試験は、社会人として働きながら受験する方も少なくありません。以下に、過去3年間の年齢別合格率を示しておきます。

過去3年間の年齢別合格率

  2020年 2019年 2018年
41歳以上 13.2% 11.5% 10.0%
36~40歳 19.2% 16.2% 14.3%
31~35歳 21.7% 19.7% 16.8%
26~30歳 25.1% 23.0% 18.1%
25歳以下 33.8% 32.7% 27.0%

出典:国税庁 「令和2年度(第70回)税理士試験結果」 「令和元年度(第69回)税理士試験結果」 「平成30年度(第68回)税理士試験結果」

社会人が税理士試験に合格するには、次のことを意識する必要があります。

勉強時間の捻出方法

大学生と社会人の大きな違いは、勉強に充てられる時間の有無です。社会人として働いていると、残業や休日出勤が発生することもあるため、まとまった時間を確保しにくくなる傾向にあります。

そのため、10分・15分などのスキマ時間や移動時間をどれだけうまく使い、勉強時間を積み上げられるかが重要です。

早起きをする、一人でランチに行く、飲み会を断るなど、一人になれる時間・自由に使える時間を作ってみましょう。1ページだけでもテキストを読む、1問でも過去問を解くなど、勉強時間をコツコツと積み上げていってください。

勉強する環境をどのように整えるか

もともと自宅で勉強する習慣がないなら、まずは勉強に集中できるスペースを用意し、「勉強する環境を整える」のも大事なポイントです。

家族と共有の部屋しかない場合などは、家族の協力が必要になることもあります。例えば、寝室にスペースを作って勉強する、リビングの一角にスペースを用意して勉強するなど工夫しましょう。

科目合格制を活かし、毎年1科目は必ず合格することを目指す

税理士資格の取得は、試験で11科目中5科目に合格することが条件です。

ただし、税理士試験では科目合格制を採用しているため、一度に5科目すべてを受験して合格する必要はありません。一度合格した科目は永久に有効であることから、毎年1科目ずつの合格を目標として学習計画を立てることもできます。

これらのことを考えると、科目合格制のメリットを十分に活かすには「毎年1~2科目を受験して合格を目指す」という計画で勉強を進め、毎年必ず1科目は合格することを目指すのがよさそうです。

【水上講師ならではのポイント】

受験科目の選択に際しては、学習環境(残業の有無、子育て・育児などの家庭環境等々)を踏まえて検討すべきです。というのも、科目によって学習範囲・ボリュームがかなり違うからです(次項目参照)。また、複数科目を同時に学習する場合には、もともと相性のよい組み合わせもありますが、その時々の試験傾向により、組み合わせの相性も多少変わってきます。迷われた場合には、ぜひご相談ください。

税理士試験の科目別合格率と勉強法のポイント

税理士試験には必須科目と選択科目があります。どの科目を受験し、どのように勉強すればよいのか、ポイントを解説します。

税理士試験の科目別合格率

  2020年 2019年 2018年
簿記論 17.4% 14.8% 14.2%
財務諸表論 18.9% 13.4% 29.6%
所得税法 12.8% 12.3% 13.0%
法人税法 14.7% 11.6% 12.1%
相続税法 11.7% 11.8% 12.1%
消費税法 11.9% 10.6% 13.3%
酒税法 12.4% 12.8% 12.2%
国税徴収法 12.7% 10.7% 11.6%
住民税 19.0% 13.5% 14.3%
事業税 14.8% 11.0% 11.9%
固定資産税 13.7% 14.9% 13.3%

出典:国税庁 「令和2年度(第70回)税理士試験結果」 「令和元年度(第69回)税理士試験結果」 「平成30年度(第68回)税理士試験結果」

近年、必須科目である簿記論と財務諸表論の合格率が高く設定されており、目指しやすくなっています。税法は、実施年によって多少の上下はあるものの、どの税法科目の合格率もおおむね10%~15%で大きな差はないといえますので、自分の興味がある科目を学習するのがよさそうです。それでは、科目別に勉強のポイントを解説するので、参考にしてみてください。

簿記論

必須科目の簿記論は他の科目とは異なり、すべて計算問題で出題されます。

簿記論では、満点を取ることが難しいため、合格点である6割程度の点数を取ることが大切です。基礎的な項目でしっかりと点数を積み上げ、多くの受験生が正解する問題ではミスをしないことが重要です。

ケアレスミスをせずに解けるよう、普段から問題資料の読み取り等に注意しながら問題演習を行いましょう。

財務諸表論

財務諸表論も簿記論と同じく必須科目ですが、簿記論と重複する部分が多いため、大学生のみならず社会人の方でも同時学習を行うことが可能です。

財務諸表論では、理論問題と計算問題が50%ずつ出題されます。理論問題は丸暗記ではなく理解することが重要なため、理解しづらい部分は時間をかけて何度も繰り返し学習することをおすすめします。また、計算問題は試験傾向が安定しているため、繰り返し問題演習を行い、ミスを減らすことを意識しましょう。

所得税法

選択必須科目の所得税法は、試験範囲が広く難易度も高い科目です。計算は基本項目を中心に習熟度を高め、理論は理解と暗記を繰り返して幅広い問題に対応できるようになりましょう。

試験範囲が広い分、勉強時間も多く必要になるので、スキマ時間を活用して勉強時間を積み上げてください。

また、所得税は個人に対する税金であり、学習内容も身近な項目が多いため、勉強する際は、興味・関心を持って取り組めば学習効率が上がります

法人税法

所得税法と同じく、試験範囲の広い選択必須科目です。理論は多様な出題形式に対応するため、暗記と内容の理解が必要となります。まずはしっかりと理論を暗記したうえで、内容の理解に努めてください。計算は基本項目の習熟度が重要となります。

試験範囲が広く、難易度が高い科目ため、多くの勉強時間が必要となりますが、理論と計算を関連付けながら学習に取り組み、学習を継続できるようモチベーションを維持する工夫をしましょう。

相続税法

出題される問題は相続税法や租税特別措置法となるため、勉強する範囲はある程度絞れる科目です。当事者の立場をイメージしながら理論を覚えたり、身近な事例などを考えながら勉強を進めたりするとよいでしょう。

なお、試験時間が2時間なので、時間配分を意識した問題の解き方に慣れることも大切です。

消費税法

身近な税金であるためイメージもつきやすく勉強を始めやすい科目です。
また、税務実務においても知識が必須となりますので、受験者も非常に多い科目です。
学習のポイントは、計算のスピードと理論の理解度を上げることです。特に理論は単なる条文暗記とならない学習を行う必要があります。

酒税法

受験勉強では実務で活用できる知識は少ないですが、計算問題で最終値の正解まで必要となる年度も多く試験の難易度が低めで学習範囲も狭いため時間がない方におすすめです。計算問題でケアレスミスをしないように注意しましょう。

税理士試験では電卓の持ち込みが許可されています。電卓の機能を使って効率的に計算する方法を覚えたり、正確に打てるようにしたりすることも大切です。

国税徴収法

暗記が必要な理論問題が大半を占めるのが特徴です。暗記を確実に行うと共に事例問題に対応できる理解力を養う勉強を行いましょう。

住民税

試験内容で考えると所得税法と重複する部分が多いため、所得税法を受ける方は、住民税も受けると学習しやすく、有利となります。

事業税

試験範囲が比較的狭く、学習内容の難易度もそれほど高くありません。理論は暗記と問題に対する要点を端的にまとめる力が必要となります。計算の難易度は高くありませんが、効率よく集計し、正確に解答する力が必要となります。

事業税の勉強では、継続して理論暗記を行うことと計算を反復して演習することが重要となります

固定資産税

他の科目に比べて試験範囲が狭く学習量が少ないため、勉強しやすい科目ではあります。多くの方が計算問題の最終値を正解できる科目であるため確実に計算問題を解くこと、理論問題でも高得点を取れるように正確な暗記が重要です。

税理士試験では、これらの科目のうち5つを合格しなければなりません。どの科目を受験するかは、合格までに必要な勉強時間や難易度で決めるよりも、「将来活かしたい分野」かどうかを基準として決めるとよいでしょう。

【水上講師ならではのポイント】

受験科目の選択に際しては、先に示した「学習環境」の他、その科目とご自身の相性(適正)、現在の仕事・将来目指したい仕事との連動性といったことを考慮しながらトータル的な判断をすべきといえます。全体的な学習相談や、気になった科目がありましたら、その科目の専任講師から話を聞いてみるのもよいでしょう。

税理士試験の合格を目指すなら大原

税理士試験は難易度が高いため独学で合格を目指すのは難しく、資格スクールを利用したほうが効率的に学習を進められます。ここでは、「資格の大原」の特徴を紹介します。

出題傾向を分析して作ったオリジナルテキストで効率的に学べる

大原の税理士講座では、受験指導のプロが税理士試験の出題傾向を徹底的に分析し作成した、オリジナルテキストを使用します。

税理士試験で大きな壁となる専門的で難解な表現が、オリジナルテキストでは図解や具体例を多く取り入れてわかりやすくなっており、受講生の方に好評です。

また、税理士試験は試験範囲が広く、自分で勉強しようと思っても「何から手をつければよいのかわからない」となりがちです。

大原では「計算テキスト」「理論テキスト」「計算問題集」の3種類をメイン教材として用意することで、無理なく効率的にステップアップできるようになっています。大原が作成したオリジナル教材を使えば、知識の定着がしやすいでしょう。

税理士試験合格に必要なノウハウと学習環境

大原では、税理士試験に合格するための効率的な学習スケジュールや学習方法など、これまでの経験と実績から、さまざまなノウハウを蓄積しています。

確かなノウハウをもとに作成したカリキュラムに沿うことで、必要な知識や学力が身につくでしょう。

また、大原では「教室通学」「映像通学」「通信講座」など、複数の学習スタイルから選択可能です。教室への通学が必須ではないため、近くに教室がない方でも利用しやすくなっています。

合格するまでのフォロー体制がある

独学と資格スクールの大きな違いには、合格するまでのフォロー体制が挙げられるでしょう。

税法の改正や税理士試験の情報更新があっても、独学の場合は自分で情報収集しなければなりません。そのため、手間がかかったり、情報を得るのが遅れたりすることもあります。

その点、大原では最新の情報を受講生の方に提供し、税理士試験を有利に受けられるようにフォローしているので安心してください。

また、税理士試験の理論問題には、自分の言葉で解答するものもあります。本試験に向けた勉強をするうえで、添削指導を行ったり、現在の受講生の方の状態や実力を把握したうえで適切なアドバイスをしたりするなど、随時フォローを行っています。

このように、税理士試験合格に向けてさまざまなサポートを受けられる点は、受験生にとって大きなプラス材料となるでしょう。

【水上講師ならではのポイント】

合格のために一番必要なことは「ご自身の頑張り」であることはいうまでもありませんが、その頑張りが間違った方向に向いていると、合格に結びつきづらい状況となってしまいます。我々講師の役割は、①多様な分析により合格へのベクトルを正しい方向に向けること、②モチベーションの低下などによりベクトルが短くなった時には一緒にそのベクトルを伸ばしていくこと、だと思っています。一緒に頑張りましょう!

まとめ

税理士試験は合格率が15%~20%と難易度が高いものの、ここ数年のデータでは大学生が合格する割合が比較的高くなっています。

将来、税理士になりたい大学生は、勉強時間や集中できる環境を確保しやすい学生のうちに、資格取得を視野に入れるとよいでしょう。また、社会人でも科目合格制をうまく活用し、複数年計画で資格取得を目指す方も多くいます。

ただし、税理士試験は範囲が広く、独学で合格を目指すのは困難です。そのため、多くの方は資格スクールに通って勉強しています。

資格の大原では、税理士講座の詳しい内容を紹介した資料を用意しておりますので、ご希望の方は「資料請求」よりお申し込みください。

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講師プロフィール

水上明(法人税法担当)
資格の大原税理士講座にて法人税法の受験指導に28年従事。
通学講義のみならず全国に向けた映像講義も担当する大原一の人気講師。
法人税法の本試験での出題を幅広く把握し、現在の試験傾向の分析や出題予想にも定評がある。

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