公認会計士と税理士どちらを目指すべき?
将来性や難度の違いも解説!

簿記や会計を学んでいる学生のなかには、これまでの学習経験を活かして国家資格を取得したいという気持ちが芽生え、公認会計士や税理士の資格を目指す方が多くいらっしゃいます。

また、すでに社会に出て働いている方であっても業務で会計の知識を高める必要性を感じ、会計系の資格取得を志す方が増えています。

公認会計士と税理士はどちらも難度の高い国家資格であり、将来的には独立開業を目指すこともできます。また、就職や転職にも強いとされているため、資格取得を考える際に、どちらの資格を目指すべきなのか悩む方も多いようです。

そこで今回は、公認会計士と税理士の資格を取得した場合の仕事内容、活躍できるフィールドの違いや、それぞれの試験内容や試験特性の違いをはじめ、将来性や難度の違いについてさまざまな視点から詳しく解説していきます。

また、簿記の学習をどこまで進めてから公認会計士や税理士を目指した方がよいのかをお話ししていきます。

情報収集に役立つ大原のイベントも紹介しますので、どちらの資格を目指すか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

瀧本講師の自己紹介

瀧本祐和(公認会計士)

公認会計士試験の受験指導歴は12年、日商簿記検定や税理士試験などを含めると資格試験の受験指導歴は15年を超えました。担当科目は公認会計士試験の最重要科目である財務会計論です。講義では受験生が苦手にしがちなところをわかりやすく教えることを心がけています。

公認会計士と税理士どちらを目指すべきか?

公認会計士と税理士はどちらも会計や税務といった企業の経営に必要不可欠な数字を扱う仕事ですが、その内容には大きな違いがあります。どちらを選ぶべきか迷ったら、まずはそれぞれの仕事内容を知るとよいでしょう。

公認会計士の仕事内容

「会計のプロ」と言われる公認会計士の主な仕事は「監査」であり、これは公認会計士のみが行なえる独占業務です。

監査では、企業等が作成する損益計算書や貸借対照表といった財務諸表を企業と利害関係のない第三者の目線で調査やチェックをし、財務諸表が会計基準などのルールに従って正しく作成されているかを公認会計士が独立した立場から意見を表明し、財務諸表の信頼性を保証します。

財務諸表は、投資家がどの企業の株式を取得するかどうかの投資をする際や、銀行が企業に対して資金の貸付を行なう際の判断基準となるものであるため、信頼できるものでなくてはいけません。そのため、公認会計士による監査が必要とされています。

また、公認会計士の仕事は監査だけではありません。さまざまな企業の監査業務を通して蓄積した専門的な知識を駆使して、企業の持続的な成長や経営基盤の強化をするためのアドバイスをするコンサルティング業務で活躍する方などもいらっしゃいます

なお、公認会計士による監査は大企業や上場企業に義務付けられているため、公認会計士のクライアントは比較的規模の大きな企業が多いのが特徴です。

税理士の仕事内容

「税務のプロ」と言われる税理士の主な仕事は「税務相談」「税務代理」「税務書類の作成」であり、これらは税理士のみが行なえる独占業務です。

税務相談は納税者の税務申告書の作成に関する内容や税金の計算事項に関する相談に対して専門家の視点で行なうアドバイス業務です。

税務代理は、納税者の確定申告や青色申告の申請などの代行業務を指します。税務書類の作成は確定申告書や青色申告承認申請書、相続税申告書など、税務署に提出する書類の作成業務です。

その他には、事業継承や資産管理のサポート、クライアントへの経営アドバイスなども行なうことがあります。

なお、税理士は公認会計士と異なり、クライアントが個人から企業までと幅広いのが特徴で、クライアントに毎年の申告から相続対策まで、長期間寄り添ったサポートやアドバイスをすることが多いです。

将来自分がどうなりたいかで決める

公認会計士と税理士のどちらの資格を目指すべきかを悩んでいる方は、将来自分がどのような働き方をしたいのかを考えてみるとよいでしょう。

例えば、独立開業してクライアントに長期間寄り添ったサポートをしたいと考えているとします。そのためには、業務に必要となる相続税や所得税の専門知識を身につける必要があります。

税理士試験を目指す場合は試験科目で専門的な知識を学習することもできますし、税理士法人や会計事務所で働きながら試験合格を目指すことができますので、税理士試験の合格、税理士登録を機に独立開業することになります。

一方、公認会計士試験を目指す場合であっても、公認会計士の登録をすれば、税理士の登録をすることができるため、どちらの資格を取得しても将来的には独立開業することはできます。

ただし、公認会計士は試験合格後に、公認会計士としての登録をするために監査法人で働くのが一般的ですし、その後、税理士登録をしてクライアントに長期間寄り添ったサポートを目指すのであれば、税理士法人や会計事務所に転職して、相続税や所得税の専門的知識を学んでいく必要があるでしょう。

また、日本の上場企業や外資系企業への就職や転職を目指したいと考えている場合であれば、これらのクライアントを多くもつ公認会計士が有利と言えるでしょう。

特に会計のルールは世界共通なので、大手監査法人では、海外に駐在する方も多く、海外で活躍する公認会計士は多くいらっしゃいます。

このように、公認会計士と税理士は仕事内容やクライアントのタイプなど、さまざまな点で違いがあります。1つの視点にとらわれず、複数の視点で考えて目指す方向を決めるとよいでしょう。

瀧本講師ならではのポイント

これから公認会計士か税理士の資格取得を目指す方は、自分が将来どのような業務を行ないたいのか、独立を考えている方はいつ頃独立開業をしたいのか、海外で活躍したいか、地域のクライアントに寄り添った仕事をしたいのかなど働き方を基準に、資格取得を選ぶとよいでしょう。

また、公認会計士の登録をすることで税理士業務を行なうことができます。どちらの資格も魅力的で現在では決めることができないという方は、公認会計士を目指すことをおすすめします。

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公認会計士と税理士の試験内容や難度の違い

公認会計士試験と税理士試験は、受験資格や試験科目などが異なります。ここで、各試験内容の概要を押さえておきましょう。

公認会計士試験の内容

公認会計士試験には受験資格の制限がないため、高校生や大学生でも受験可能で、大原でも高校生限定のコースが用意されており、これまで高校在学中に公認会計士試験に合格した方もいます。

公認会計士試験は短答式試験と論文式試験の2つに分かれており、短答式試験は12月と5月の年2回行なわれます。

論文式試験は8月に年1回行なわれており、短答式試験に合格した方と短答式試験を免除されている方が受けられます。

短答式試験の試験科目は財務会計論、管理会計論、監査論、企業法の4つの科目で、マークシートによる択一式の試験です。

短答式試験の合格基準は、総得点数の70%を基準に、公認会計士・監査審査会が定めた得点比率を合格ラインとされています。ただし、1科目の総得点数が40%未満で、答案提出者の下位33%の人と同じ得点比率に満たない場合は不合格とされることがあります。

なお、短答式試験に合格した場合は、その年の論文式試験に合格できなかったときでも、その後2年間、短答式試験が免除され論文式試験を受験することができます。

論文式試験には必須科目と選択科目があり、必須科目は会計学(財務会計論と管理会計論)、監査論、企業法、租税法であり、選択科目は経営学、経済学、民法、統計学から1科目を選んで受験します。

論文式試験の合格基準は総得点数の52%を基準として、公認会計士・監査審査会が定めた得点比率が合格ラインとされています。ただし、40%未満の科目がある場合は不合格となることがあります。

公認会計士試験では短答式試験・論文式試験ともに特定の資格を有している場合や論文式試験での科目合格をしている場合には、特定の科目を免除される制度があります。科目免除制度を利用して戦略的に受験することができます。

直近3年間の合格率(※)

年度 2020年 2019年 2018年
合格率 10.1% 10.7% 11.1%

公認会計士・監査審査会の算定方法に準じて「合格率=論文式試験合格者数÷願書提出者数」で算定

直近3年間の合格率を見ると10%前後となっており、しっかり学習時間を確保して効率良く学習を進めることが必要です。

税理士試験の内容

税理士試験は8月に年1回、3日間かけて行なわれます。ただし、税理士試験には学職や資格、職歴などの受験資格が定められているため、まずは税理士試験の受験資格を所有しているか否かの確認が必要です。

試験は必須科目と選択必須科目、選択科目の3種類で構成されており、このうち5科目(必須科目2つ、選択必須科目または選択科目のうち3つ)に合格した場合に試験合格者となります。

  • 必須科目(簿記論、財務諸表論)
  • 選択必須科目(法人税法、所得税法)
  • 選択科目(相続税法、消費税法または酒税法、住民税または事業税、国税徴収法、固定資産税)

直近3年間の合格率(※)

科目区分 科目名 2020年 2019年 2018年
必須科目 簿記論 22.6% 17.4% 14.8%
財務諸表論 19.0% 18.9% 13.4%
選択必須科目 法人税法 16.1% 14.7% 11.6%
所得税法 12.0% 12.8% 12.3%
選択科目 相続税法 10.6% 11.7% 11.8%
消費税法 12.5% 11.9% 10.6%
酒税法 13.9% 12.4% 12.8%
住民税 18.1% 19.0% 13.5%
事業税 13.1% 14.8% 11.0%
国税徴収法 12.2% 12.7% 10.7%
固定資産税 13.5% 13.7% 14.9%

公認会計士・監査審査会の算定方法に準じて「合格率=論文式試験合格者数÷願書提出者数」で算定

直近3年間の合格率を見ると、約10~20%で推移していることがわかります。公認会計士試験とは違い科目合格制度のため、1年に1科目ずつ受験することが可能です。

公認会計士試験の特性と税理士試験の特性の違いを知ろう

公認会計士も税理士も、難度の高い国家試験への合格が必要な点は同じですが、先述のとおり、受験科目や合格基準、試験形式は大きく異なっています。

こうした試験形式の違いを見ると、公認会計士試験は1回の試験で複数科目を受ける必要があり、受験する際に求められる勉強量が非常に多いため、受験勉強に専念できる環境が作りやすい学生などのほうが有利だと考えられるでしょう。

近年は在宅ワークで働く方も増え、社会人の方でも会計士試験の学習に必要な学習時間を確保できる方も増えているため、働きながらも公認会計士を目指し、合格する方が増えています。

それに対し、科目合格制度の税理士試験は、働きながら1年に1科目ずつ受験する方も多くいらっしゃいます。忙しい方でも自分の生活スタイルに合わせて無理なく受験していくことができる点で魅力的です。

また、公認会計士試験と税理士試験には科目ごとの勉強量にも違いがあります。公認会計士試験でも論文式試験では租税法として法人税法、所得税法、消費税法の問題を解答します。

理論では、法令基準集が配付されますので、暗記する量は少なく、条文の取り扱いを理解することが必要となります。税理士試験では、税法科目の試験では理論で条文の内容が問われますが、法令基準集が配付されないため、受験の準備として暗記する必要があります。
そのため、1つの科目を深く勉強する必要もあり、条文の暗記に時間を多くとられることとなります。

公認会計士と税理士のどちらを目指すのかは、自分がどういうキャリアを歩みたいか考えて決めることが重要です。

しかしながら、勉強できる環境が学生と社会人や主婦の方で大きく異なるため、どれくらいの学習時間を確保することができるのかを精査し、それをもとに決めるのもよいでしょう。

瀧本講師ならではのポイント

公認会計士試験は短答式試験でも論文式試験でも複数科目を受験する必要があるため、その学習範囲は広く、各科目への学習時間はある程度必要とされます。したがって、受験期間中にまとまった学習時間を確保できる方にはおすすめです。社会人の方でも在宅ワークなどが多い方は、公認会計士試験に挑戦できるチャンスです。どれくらいの学習時間を確保できるか整理してみるといいでしょう。

税理士試験では、科目ごとに試験が独立しているので、毎年1科目ずつなど生活環境に合わせて受験することが可能です。ただし、税法科目の理論は税法条文の暗記が必要になりますので、科目ごとの学習はかなり深くなります。

これからどれくらいの期間で資格を取得したいのか、受験に専念できる環境があるのか、働きながら取得していくのか。ご自身の環境に合わせて、公認会計士か税理士の選択をしてください。

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大原の無料ウェビナーで情報収集しよう!

公認会計士と税理士の仕事内容や難度の違いを説明してきましたが、それだけではイメージがつかめない方も多いのではないでしょうか。

そのようなときは、大原の無料セミナーで情報収集するのがおすすめです。

ウェビナーの特徴

ウェビナーとは、スマートフォンやタブレット、パソコンなどから参加できる、オンライン上のWebライブセミナーを指します。

どこからでも参加できるので、近くに大原のスクールがない方や外出せずに情報収集したい方にもおすすめです。参加費用は無料ですがウェビナーは予約制のため、参加を希望される方は事前にご予約ください。

なお、ウェビナーでは公認会計士や税理士以外の講座の説明も行なっていますので、興味のある講座のカリキュラムや試験概要を比較することも可能です。

また、高い合格率を誇る大原のカリキュラムや、合格の秘訣についても説明します。資格取得を目指す方はもちろん、教室通学や通信講座など自分に合った学習スタイルを見つけたい方にも役立ちます。

オフラインの説明会や体験入学もある

大原では、各校で行なっている説明会や体験入学の参加希望者を募集しています。ウェビナーとは違い、ご自宅の近くにある大原の教室において対面形式で行なうイベントです。

講座ごとに行なわれる説明会では資格や試験の概要から、カリキュラム、サポート制度まで詳しく説明しますが、わからないことがあれば講師に直接質問もできます。

ウェビナーとは異なり、対面形式で行なう説明会は比較的質問がしやすいことがメリットですので、ぜひ積極的に質問してください。講師との個別相談も可能です。

また、体験入学では実際の講義を受けられるため、入校後の学習の進め方や講義の受け方などをイメージしやすくなるでしょう。大原の雰囲気やスタイルが自分に合っているかどうかを確かめる絶好のチャンスなので、ぜひ活用してください。

瀧本講師ならではのポイント

大原では公認会計士試験、税理士試験ともに毎年高い合格実績を出しています。専任講師も常駐していますのでセミナー等にぜひご参加ください。具体的に相談することで自分にあった資格が見つかると思います。

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まとめ

公認会計士と税理士は難度の高い国家資格であることは共通していますが、受験資格の有無や合格基準、一度の試験に必要な勉強時間などが異なります。

最終的には「どのようなキャリアを歩みたいのか」によって決めることですが、受験期間の環境に合わせて選択することも大切です。

しかし、どちらを目指すにしても、ポイントとなるのは勉強方法です。難関試験ですから短期間で合格するためには資格スクールをしっかりと選び、合格を目指すことが大切です。

資格スクールを選ぶ際に「どこの資格スクールがよいのか」「学習スタイルが自分に合っているのか」と、迷ってしまう場合は、ぜひ、大原のセミナーや説明会、相談会に参加してください。大原では、無料で参加できるウェビナーやオフラインの説明会、体験入学などを用意しています。

また、大原では公認会計士、税理士受験ともに他のスクールとは異なる受講形態を多く用意しています。ご自身にあった資格や受講形態がきっと見つかると思います。

セミナー・説明会・体験入学

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瀧本講師のプロフィール

名前
瀧本祐和
担当科目
財務会計論
指導理念
短期合格していただくための効率的な学習を指導
紹介文
公認会計士試験は易しい試験ではありませんが、正しい努力を積み上げれば合格が勝ち取れる試験です。公認会計士に興味を持たれた方はぜひ資格の大原に足を運んでみてください。

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