公認会計士というのは医師や弁護士と並ぶ難関資格の一つで、難度の高い国家資格として知られています。
「難関資格に合格するのは有名大学を卒業した高学歴の人だろう」と思われがちですが、実際に合格者の年齢や職業を見ると大学生が圧倒的に多く、なかには高校生の合格者もいます。
そこでこの記事では、公認会計士試験合格者の学歴や就職との関係をはじめ、「なぜ大学生の合格率が高いのか」、「大学在学中に合格するための勉強法は?」など、公認会計士を目指す大学生の「やる気」を高める情報を経験豊富な講師の目線で詳しく解説します。
髙橋尚彦(公認会計士)
公認会計士試験の受験指導歴は19年です。担当科目は会計学(管理会計論)を担当しています。
大手監査法人での実務経験も活かして、講義では製造業やサービス業でのコスト管理の実例を用いながら、受験生が現場の状況をイメージしやすいように説明しています。
演習解説では受験生の皆さんの得点力向上のために、問題文から重要なポイントを見極める技術、効果的に問題を解くためのアプローチ、そして明確で整理された下書きの作成方法を伝えることを重視しています。
公認会計士は試験の難度が高い国家資格だから、公認会計士になるためには有名大学を卒業する必要があると思われがちですが、実際には学歴はそれほど関係ありません。
公認会計士を名乗るためには、公認会計士試験に合格したのち以下の3つの要件を満たす必要があります。
そのため、公認会計士を目指す人のほとんどが、試験に合格したあとの就職先として実務経験を満たすことができる監査法人を選びます。
そのなかで特に人気が高いのがBig4と呼ばれる四大監査法人です。
四大監査法人へ就職する際に学歴や、出身大学が要件になっているわけではないといわれています。
なぜなら、公認会計士として就職する際の最重要事項は「公認会計士試験に合格しているか」ということだからです。これはどこの監査法人でも変わりません。
そもそも、公認会計士試験には学歴をはじめとする受験資格の制限がないので、試験に合格すれば大学卒であろうと高校卒であろうと関係はないのです。
現在大学に在学中の方であれば出身大学の知名度などを気にするよりも、公認会計士試験合格を目指して努力することが大切なのです。ぜひ、試験に向けた勉強に集中してください。
公認会計士試験には学歴や年齢など受験資格の制限がないため、高校生が受験することも可能です。
実際に大原に通っていた古屋歩純さんと星絵里香さんは、高校在学中であった2018年度の公認会計士試験で合格しています。
高校生合格者対談では、高校在学中に合格を目指せる資格であることや、性別や年齢に関係なく活躍できる仕事であること、いままでに勉強してきた簿記が活かせることなどが公認会計士を目指すきっかけになったと語っています
高校の定期テストや部活動と並行して資格試験に取り組むため、二人とも時間の使い方を工夫。勉強以外のことに使える自由な時間もあったそうです。
もちろん気持ちが折れそうになったときは、「継続することが正しいと信じて進めた」「結果につなげることを信じてやり遂げた」と答えています。
二人の対談を聞くと、自由な時間を作ることで勉強時間とのメリハリをつけることや、継続することの大切さを強く感じると同時に、大学生にも通じるものがあるのではないかと思います。
いわゆる「上位大学」の学生の方は、多くの場合、大学受験という受験経験があり「学習をする」という癖がすでに身についています。その経験を活かして、公認会計士試験対策の学習を淡々と進めていただける傾向にあります。
しかし、大学受験などの経験がなくとも、我々の提供するカリキュラム、教材に従ってやるべき学習を進めていただくことにより、合格の可能性は高まります。
続いて公認会計士試験合格者のうち、大学生の割合はどれくらいなのか解説します。
受験資格が設定されていない公認会計士試験は学生・社会人を問わず受験する方がいらっしゃいますが、就職に向けて資格取得を目指して勉強しているなどの理由から、合格者には大学在学中の学生が多くなる傾向にあります。
令和2年度の合格者構成比を学歴別に見てみると、大学在学中が41.6%と最も割合が多いことがわかります。
【学歴別合格者調】
区分 | 願書提出者 | 論文式受験者 | 合格者 | 合格率 | 合格者構成比 | |
---|---|---|---|---|---|---|
(A) | (B) | (C) | (C)/(A) | (C)/(B) | ||
大学院修了 | 825人 | 292人 | 56人 | 6.8% | 19.2% | 4.2% |
会計専門職大学院修了 | 680人 | 357人 | 41人 | 6.0% | 11.5% | 3.1% |
大学院在学 | 118人 | 35人 | 12人 | 10.2% | 34.3% | 0.9% |
会計専門職大学院在学 | 128人 | 30人 | 11人 | 8.6% | 36.7% | 0.8% |
大学卒業(短大含む) | 5,928人 | 1,685人 | 552人 | 9.3% | 32.8% | 41.3% |
大学在学(短大含む) | 4,183人 | 1,044人 | 555人 | 13.3% | 53.2% | 41.6% |
高校卒業 | 1,314人 | 261人 | 80人 | 6.1% | 30.7% | 6.0% |
その他 | 346人 | 88人 | 28人 | 8.1% | 31.8% | 2.1% |
合計 | 13,231人 | 3,719人 | 1,335人 | 10.1% | 35.9% | 100.0% |
(注1)第Ⅰ回、第Ⅱ回のいずれにも願書を提出した受験者については、第Ⅱ回における出願時の申告に基づく区分による
(注2)大学院の「修了」、大学及び高校の「卒業」には、見込者を含む。
(注3)「願書提出者(A)」及び「論文式受験者(B)」の合計数は、試験実施日の延期による事前辞退者を除いた人数であるため、内訳の合計とは一致しない。
(引用:「令和2年公認会計士試験 合格者調」)
同じく令和2年度の年齢別合格者数を見ると、大学在学中の人を含む20代前半の割合が最も多いことがわかります。
【年齢別合格者調】
区分 | 願書提出者 | 論文式受験者 | 合格者 | 合格率 | 合格者構成比 | |
---|---|---|---|---|---|---|
(A) | (B) | (C) | (C)/(A) | (C)/(B) | ||
20歳未満 | 132人 | 13人 | 7人 | 5.3% | 53.8% | 0.5% |
20歳以上25歳未満 | 5,743人 | 1,631人 | 799人 | 13.9% | 49.0% | 59.9% |
25歳以上30歳未満 | 2,942人 | 852人 | 299人 | 10.2% | 35.1% | 22.4% |
30歳以上35歳未満 | 1,760人 | 507人 | 128人 | 7.3% | 25.2% | 9.6% |
35歳以上40歳未満 | 1,163人 | 325人 | 44人 | 3.8% | 13.5% | 3.3% |
40歳以上45歳未満 | 685人 | 167人 | 23人 | 3.4% | 13.8% | 1.7% |
45歳以上50歳未満 | 425人 | 121人 | 18人 | 4.2% | 14.9% | 1.3% |
50歳以上55歳未満 | 289人 | 76人 | 11人 | 3.8% | 14.5% | 0.8% |
55歳以上60歳未満 | 184人 | 48人 | 4人 | 2.2% | 8.3% | 0.3% |
60歳以上65歳未満 | 100人 | 19人 | 2人 | 2.0% | 6.9% | 0.1% |
65歳以上 | 99人 | 23人 | 0人 | 0.0% | 0.0% | 0.0% |
合計 | 13,231人 | 3,719人 | 1,335人 | 10.1% | 35.9% | 100.0% |
(注1)令和3年2月16日時点の年齢によるもの。
(注2)「願書提出者(A)」及び「論文式受験者(B)」の合計数は、試験実施日の延期による事前辞退者を除いた人数であるため、内訳の合計とは一致しない。
(注3)「合格者構成比の合計欄の値は、端数処理の関係で各区分の合計と一致しない。
(引用:「令和2年公認会計士試験 合格者調」)
大学1〜2年生で公認会計士の学習を開始される方が多いです。特に、社会科学系の学生の方は大学で初めて簿記の学習に触れ、その簿記学習の延長で受験をされる方が多いからです。
理系の方や人文科学系の方も何らかのきっかけで簿記に触れ、簿記の学習の延長で公認会計士の学習をされる方が多いです。
学習開始のタイミングは様々ですが、学習できる環境が作れれば、学歴や年齢は合否に関係ありません。
科目数が多い試験となりますので、学習に充てられる時間が多いほうが望ましいといえます。したがって、ある程度自由に時間割を組むことが可能な大学生のうちに学習を開始し、在学中、もしくは卒業して時間がたたないうちに合格を目標とされることが理想といえるでしょう
社会人であれば、日中は仕事があるため勉強する時間は限られてしまいます。出張や繁忙期の残業などもありますので、毎日決まった時間を勉強に充てるのは難しいでしょう
もちろん、お勤めをしながら合格されている方もいらっしゃいますが、スキマ時間をうまく使って学習時間を確保していただいています。
大学生に比べると、時間の確保が難しい部分はありますので、この点で大学生の合格率が高いという結果につながっているのではないかと考えられます。
一方、大学生の場合は昼間でも講義のない時間に公認会計士試験の勉強ができるなど、社会人と比べて勉強時間的には有利な状況にあるといえます。
大学生の合格率が高い理由の2つめは、集中力や記憶力が関係しています。特に記憶力は年齢とともに低下するといわれているため、若いうちに勉強できることは資格取得を目指すうえで強みになります。
ただし、若いうちの記憶力がよいとはいっても、ただ丸暗記するのではなく、しっかりと理解して覚えることが大切です。なぜなら、記憶は自分が納得できたことや役に立つこと、意味のあることが優先されるからです。
特に好奇心を持って勉強に取り組んでいると、知識や経験がある程度増えたところで飛躍的に学力が伸びることがありますので、集中力や記憶力が高い大学生のうちに好奇心を持って勉強すれば、在学中に公認会計士試験合格という結果を出しやすくなるでしょう。
こうしたことから、「どこの大学・学部に在籍しているか」より、「若いうちに・好奇心を持って」勉強することが大学生の合格率を高くしている理由ではないかと思われます。
公認会計士の学習を開始したら、自分の大学がどこだとか、年齢だとかを気にするのではなく、合格だけを考えて受験勉強に取り組むようにしましょう。
大学生が勉強に充てられる時間を確保しやすいのは確かですが、実際に時間を確保するかどうかはその人次第です。
集中力や記憶力が高いうちに勉強できるうえ、勉強時間も確保しやすいことから公認会計士試験の合格率が高い大学生ですが、試験に合格するためには勉強方法や学習環境も重要です。
実際に資格スクールに通って勉強する大学生は多いため、大原の強みについても解説します。
大学生の勉強方法として大切なことは学習スケジュールを守る、時間を有効活用する、学習戦略を考える、の3点です。
大学生が公認会計士試験の合格を目指す場合、学習環境として考えられるのは独学か資格スクールの2つが挙げられます。
大学在学中の合格を目指すなら、効率的に学べる学習環境を選ぶことが重要です。
数多く存在する資格スクールのなかで大学生が大原を活用するメリットの一つが、全国どこの校舎でも同じ講義が受けられることです。首都圏だから有利、地方だから不利などという心配はいりません。
映像授業にこだわりがあり、「いつでも、どこでも受講できる」10分程度の講義映像が用意されているため、スキマ時間を活用して学習を進めることが可能です。
また、従来は180分だった1コマを、情報量を減らすことなく100分以内に短縮したことで、復習や演習に充てられる時間が増えました。短時間での繰り返し視聴が可能なため、弱点克服にもおすすめです。
大原の公認会計士講座では、サポート体制も充実しています。急用で申し込みクラスに出席できなかった場合にほかのクラスへ出席を振り替える「振替出席制度」や、映像講義で補講できる欠席フォロー制度を用意しています。
標準装備のWeb講義は24時間視聴できるため、欠席した際や復習にも役立ちます。さらに担任システムを採用していることから、学習方法や進捗状況などを相談してモチベーション維持に役立てることもできます。
大原の公認会計士講座では、通学講座(教室通学・映像通学)と通信講座を用意しているため、ご自身にあった学習環境で合格を目指せます。
高い合格実績のある大原の公認会計士講座なら、大学在学中の一発合格も可能です。
長期間にわたる公認会計士試験対策ですが、努力が報われやすい試験でもあります。しかし、科目ごとに見ると難解な論点もあり、長期間の受験勉強には不安が伴うため、最後まで駆け抜けることが困難であるということも事実といえるでしょう
独りで戦っていては、なかなか心も持たないものですが、大原で学習いただくことで、講師が伴走をしてくれているという安心感のもと、最後まで駆け抜けることが可能となります。質問や学習相談も、多くの受験生をサポートしてきた講師陣が対応していますので、この点も安心材料といえるでしょう。
公認会計士は難度の高い国家資格ですが、受験資格がないため年齢や学歴に関係なく合格を目指せます。
令和2年度試験の合格者の4割は大学生ですが、試験に合格していれば学歴や出身大学も関係なく大手監査法人に就職できる可能性もあるため、大学在学中の合格を目指して学習に力を入れましょう。
公認会計士試験合格に向けて重要な学習環境は、資格スクールを活用している大学生が多く、最もおすすめの環境です。
大原の公認会計士講座に関心のある方や、どこの資格スクールを選ぼうか迷っている方は気軽にご相談ください。
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