ビジネスの多様化・国際化が進む昨今、公認会計士が活躍するフィールドはますます拡大しています。
難関試験の突破が必要な公認会計士は社会的ニーズが高く、キャリアの将来性と報酬の安定性が得られる職業といえるでしょう。
公認会計士のキャリアとしては、監査法人勤務・独立・事業会社勤務が代表的ですが、教育業界や公務員など選択肢は多種多様です。公認会計士は一般的に年収が高いといわれていますが、選択するキャリアによって年収が異なります。
今回は、監査法人勤務・独立・事業会社勤務のそれぞれのケースで、平均年収の傾向を見ていきます。
髙橋尚彦(公認会計士)
公認会計士試験の受験指導歴は19年です。担当科目は会計学(管理会計論)を担当しています。
大手監査法人での実務経験も活かして、講義では製造業やサービス業でのコスト管理の実例を用いながら、受験生が現場の状況をイメージしやすいように説明しています。
演習解説では受験生の皆さんの得点力向上のために、問題文から重要なポイントを見極める技術、効果的に問題を解くためのアプローチ、そして明確で整理された下書きの作成方法を伝えることを重視しています。
難関資格である公認会計士試験に合格した方のほとんどは、まず監査法人に就職され、実務経験を積んでいきます。
多くの方が会計士としてのキャリアをスタートされる、監査法人では、給料事情や、監査法人内でのキャリアパスなど、法人ごとに多少の違いがあります。ここでは、監査法人における給料の一般的な傾向について、お伝えします。
監査法人には「Big 4」と呼ばれる4大監査法人があります。公認会計士試験合格者の多くはビッグ4のいずれかに就職するため、初任給に大きな差はないでしょう。公認会計士の初年度の平均年収は、500万円程度とされています。
国税庁が行なった2019年度の「民間給与実態統計調査結果」によると、給与所得者全体の平均年収は436万円(男性540万円・女性296万円)となっています。
つまり、公認会計士は1年目から高水準の年収を得ているということです。
基本的に、監査法人には明確な昇給フローがあり、役職に応じて右肩上がりに年収が上がっていきます。
あくまでもモデルケースではありますが、監査法人の年収例はおおむね次のとおりです。
また昇格は、社歴だけでなく仕事のパフォーマンスが重視されます。本人の頑張りによっては、早く昇格できる可能性もあります。
一般企業では役職につける人数が限られていますが、公認会計士は人数が関係なく、個人の仕事を評価されて役職に反映されます。また、一般事業会社よりも同等の役職に早くつける可能性があるのも、公認会計士としての仕事のやりがいにつながるでしょう。
監査法人の報酬については、初任給の高さはよく知られているところですが、昇給の高さも事業会社の平均的な金額と比較すると、その高さも魅力的です。
早い方では、20代で1,000万円程の年収となるケースもあります。勤務年数だけでなく。業績評価がしっかりと反映されるのもやりがいの一つではないでしょうか。
公認会計士を目指す方のなかには、監査法人で数年間キャリアを積み、将来的には自身で会計事務所や経営コンサルティング会社を立ち上げることを視野に入れている方もいるのではないでしょうか。
公認会計士の独立は、年収アップのためのキャリアパスとしてメジャーな道の一つです。
独立した際の年収は、監査法人時代に築いた能力や人脈、独立後に展開する事業によって大きく変わってきます。売上にこだわらずマイペースに事務所や会社を営むことも、優れたクライアントと提携して積極的に事業展開していくことも可能です。
独立開業した公認会計士の平均年収は、おおむね1,000万円以上といわれています。顧客開拓に成功すれば、年収3,000万円を超える可能性もあるでしょう。
ただし、独立開業したからといって、すぐにクライアントが現れて「あなたと契約したい」と声をかけてくれるわけではありません。
独立開業によってどんどん年収アップをしていきたいなら、監査法人で勤務するなかで、自身の得意分野を極める、人脈を築く、開業資金を貯める、一歩先の市況を読むマーケティング力を磨くなど、将来に向けた活動に取り組んでおくことをおすすめします。
独立成功のカギは、事前の準備にあります。どのような事業を主とするか?そしてそのためにどのような経験を積み、知識を習得し、人脈を築くか?を計画的に必要十分なだけ得ておくことが重要です。
独立と並んで、公認会計士のメジャーなキャリアパスといえば、事業会社への転職です。
公認会計士は難関の国家資格保有者であることや、監査法人の業務で積んだ監査・経理・財務といった知見が、事業会社への転職で有利に働くケースが多くあります。
事業会社への転職当初は、その会社のビジネスを把握するためにスタッフや補助として従事することになるでしょう。その時点では、監査法人時代と同じような待遇を得られないかもしれません。
公認会計士が事業会社で働いた場合の平均年収は、個人のスキルやキャリアによっては、ベンチャー企業の最高財務責任者(CFO)やコンサルティング会社の財務アドバイザーなど、年収1,000万円以上の待遇で転職先に迎え入れられることもあるでしょう。
ここ数年、公認会計士の企業ニーズが高まっています。主に企業の拡大戦略や資金調達に向けたもので、会計士の持つ専門性だけでなく「信頼性」も必要とされる理由の一つです。社会的信頼性が高いことも、魅力といえるでしょう。
公認会計士は独立や事業会社への転職など、多種多様なキャリアを選択が可能であることが資格の持つ魅力の一つです。そして、会計監査業務で磨くことのできるスキルと関連分野の知識を併せ持つことは成功に近づくための重要なポイントといえます。
公認会計士の会計監査はクライアントの経営に深く関与する業務です。事業の課題発見・問題解決のスキルを磨きやすい環境にあります。
また、組織でキャリアアップしたり、転職市場で自身の価値を上げたりするなかでは、汎用的なマネジメントスキルも欠かせません。
後輩や部下を取りまとめ、チームで成果を出すディレクションとマネジメントの経験を積むことで、ビジネスマンとしての信頼・評価が高まっていきます。
コンサルティングといっても、アプローチの方法は様々あります。より自分らしく仕事をするためには、会計監査以外の分野の知識も積極的に習得していきましょう。例えば、経営、税務、ITなどが代表的な例です。
中小企業やベンチャー企業の経営コンサルティングを開拓していきたいなら、中小企業診断士の資格を取得して、公認会計士とダブルライセンスで臨むと有利です。
国家資格である中小企業診断士は「日本版MBA」ともいわれます。財務と経営のスペシャリストとして、クライアントの事業の根幹をコンサルティングできるようになります。
また、税理士とのダブルライセンスも、仕事の幅が大きく広がるためおすすめです。登録費用はかかるものの、公認会計士は無試験で税理士の登録手続きができます。
会計顧問としてだけでなく税務顧問としてもクライアントにコミットできるようになれば、安定的に引き受けられる業務範囲が広がります。
ここまで、公認会計士はキャリアの将来性と報酬の安定性が見込めることを説明してきました。他の職種と比較して高水準の年収を得られるのは、公認会計士だけに許された業務、監査で得た知識と経験があるからです。
公認会計士の合格率は10%程度(願書提出者数に対する合格者の割合)であることから、非常に難易度が高いことがわかるでしょう。
ここでは、公認会計士に興味がある方に向けて、公認会計士になるための勉強時間と費用を紹介します。
公認会計士試験の合格に向けた勉強時間の目安は、おおよそ3,000〜5,000時間といわれています。
実際には必要とされる勉強量や、一日や一週間で勉強に割ける時間は人それぞれです。また、合格率が低い公認会計士試験は、2度目や3度目の受験で合格を勝ち取る方も少なくありません。受験回数を重ねれば、それだけ勉強時間も増えていきます。
公認会計士試験の合格に向けて、数年がかりで勉強する方もいらっしゃいます。仮に、2年間で3,500時間勉強して合格した場合、一日あたりの勉強時間は「3,500時間÷2年(730日)=約4.8時間」になります。
公認会計士試験は一度の試験ですべての科目を受けなければならないため、合格に向けて試験の傾向と対策を練り、効率的・集中的に勉強を進めていくことが必要です。
公認会計士試験の勉強範囲は膨大です。独学での合格を目指すとしても、教材費や模擬試験料などかなりの費用がかかります。人によっては数十万円以上かかることもあります。
公認会計士試験の勉強方法は、資格スクールの活用が一般的です。その場合、受講料などの費用が約70万円以上かかるものがほとんどです。
公認会計士試験に向けて、集中力を維持しながら膨大な範囲の勉強を効率的に進めていくには、どのような教材を使用するか、どのような情報を活用するかが重要です。実際のところ、独学だけで公認会計士試験に合格する方はほとんどいません。
なお、資格の大原の公認会計士講座では、毎年多くの一発合格者を輩出してきました。2020年には、399名のうち187名の方が初学者コースで合格を勝ち取っています。
公認会計士試験に精通した常勤講師によるきめ細かなサポートや、講師自身が最新の試験傾向をもとに作成・監修したオリジナル教材によって、焦らず着実にレベルアップしていける体制が整っています。
また、会計士の受験勉強経験のない方を対象にしたコース(1年・1.5年・2年での合格)から、受験経験者を対象としたコースまで多彩に取りそろえているので、自身のレベルやペース、目標にぴったりのコースを見つけられるでしょう。
公認会計士の早期合格には、必要な勉強を正しい方法で最後まで続けることがポイントといえます。客観的な視点で自分自身の状況を把握するためには、身近にいる講師とのコミュニケーションは必須です。定期的な面談を通して、自分自身を見極め、正しい勉強で進めましょう。
公認会計士はやりがいがあるうえに、キャリアの将来性と報酬の安定性が見込める職業です。入社1年目の平均年収でもおおよそ500万円と、平均的な給与所得者の年収を超えています。
その後は、監査法人内部でキャリアアップや、独立・起業、事業会社への転職など、多様な道に進んでも、確固とした社会的地位を築いていけることでしょう。
それだけ高水準の収入を得られるのは、公認会計士試験を突破する難しさの裏返しでもあります。公認会計士試験に合格するには、一般的に約3,500時間が必要といわれています。集中力を持って効率的に勉強を進めていけるよう、ぜひ大原の公認会計士コースをご活用ください。
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