過去問を解いて介護福祉士国家試験に備えよう!勉強法や試験合格のポイントを解説

介護福祉士は介護系唯一の国家資格で、介護に関する専門的な知識と技術を持ち、介護現場のリーダーとして活躍できる職業です。

介護福祉士になるには、年に1回実施される国家試験に合格しなければなりません。試験に年齢制限はなく、落ちても再受験できますが、キャリアのことを考えると一発合格を目指したいところでしょう。

試験に合格するために欠かせないのは、過去問を使った学習です。過去問を解くと試験の形式や傾向を学べるだけではなく、知識がどれくらい身に付いているかを確認できます。

今回は、過去問を使った試験対策の方法を詳しく解説していきます。ぜひ、普段の学習に取り入れて、試験合格に役立ててください。

【萩原講師の自己紹介】

萩原身和(介護福祉士養成校講師:看護師)

介護福祉士養成校で、国家試験受験指導を担当し、毎年、多くの合格者を輩出しています。
講義では受験生が苦手にしがちなところをわかりやすく教えることを心がけています。

介護福祉士国家試験とは?

介護福祉士を目指すなら、まずは介護福祉士国家試験の概要と合格基準を知り、どのような学習が必要かを理解しておきましょう。

ここでは、介護福祉士国家試験の受験資格や合格基準、合格率を解説します。

介護福祉士とは介護系唯一の国家資格

介護福祉士は、200以上もある国家資格のなかで唯一の介護系資格となり、一度資格を取ると更新の必要がない、まさに一生モノの資格です。介護福祉士資格を取得すると、介護職としてのキャリアアップにもつながり、社会的信用性が高くなることから、就職や転職でも有利になるでしょう。

介護福祉士の仕事は、おもに特別養護老人ホームなどの介護施設において、介護が必要な方や障害のある方の心身や生活を支えることです。介護に関する専門的な知識と技術を持ち、現場ではリーダー的存在となるため、その他の介護職と比べて給与が高い傾向にあります。

介護福祉士国家試験の受験資格

介護福祉士国家試験の受験資格は、学歴や実務経験に応じて4つのルートに分かれています。

養成施設ルート
介護福祉士の養成施設を経て受験するルート
実務経験ルート
3年以上の実務経験と実務者研修修了を経て受験するルート
福祉系高校ルート
福祉系の高校卒業を経て受験するルート
経済連携協定(EPA)ルート
外国人向けのルート

このうち、3年以上の実務経験と実務者研修の修了が要件となっている「実務経験ルート」を利用する方が最も多く、試験合格者全体の8割以上を占めています。

どのルートを通るにせよ、受験資格を満たすには数年単位の期間が必要になるため、スケジュール管理を行なって計画的に資格取得を目指しましょう。

試験の内容は?

介護福祉士国家試験には筆記試験と実技試験がありますが、2016年度(第29回)の試験から実務経験ルートで受験する場合は実務者研修を修了することで、介護福祉士国家試験は筆記試験のみとなりました。

筆記試験では介護の技術だけではなく、介護対象者やそれをとりまく社会制度などについても問われるため、人間的・社会的な面も含めた総合的な知識が必要です。

実技試験は、福祉系高校ルートの一部と経済連携協定(EPA)ルートの一部でのみ実施され、特定のシチュエーションで適切な介護ができるかを判断されます。

過去3年間の合格率は、第35回84.3%、第34回72.3%、第33回71.0%となっています。合格率10%程度の資格もある国家資格のなかでは、比較的難易度が低いといえるのではないでしょうか。

とはいえ、毎年15~30%程度の人は不合格になっているため、油断せずに対策していきましょう。

合格基準

筆記試験の合格基準は、問題の総得点の60%程度を基準とし、難易度で補正した点数以上を獲得かつ、11科目群のすべてで得点することとされています。

実技試験の合格基準は、総得点の60%を基準とし、難易度で補正した点数以上を獲得することです。

どちらの試験も難易度によって合格基準が補正されるため、必ず基準である70%以上を安定して得点できるように学習を進めるとよいでしょう。

なお、過去3回分の筆記試験合格基準は、以下のようになっています。

第35回:総得点125点に対し、得点75点以上(得点率60.0%)
第34回:総得点125点に対し、得点78点以上(得点率62.4%)
第33回:総得点125点に対し、得点75点以上(得点率60.0%)

筆記試験では全11科目群での得点が必須です。点を取りこぼさないように、試験範囲をまんべんなく学習しておくようにしましょう。

【萩原講師ならではのポイント】

介護福祉士の国家試験では、幅広い分野の学習が必要となります。単に、介護に関する科目の学習にとどまらず、介護に関連する法令の理解、利用者とのコミュニケーション技術、事例に伴う総合問題など幅広く学習する必要があります。大原の実務者研修では、介護福祉士国家試験出題範囲の基礎知識が身に付くように工夫しており、介護福祉士国家試験に向けた学習を効率良く行なうことができる受験対策講座もご用意しております。
この2つがセットになったコース設定もしております。

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介護福祉士講座 合格者・修了者の声

介護福祉士国家試験に合格するためのポイント

ここでは、介護福祉士国家試験合格のための3つのポイントを解説します。ポイントをしっかり押さえ、効率的に学習を進めましょう。

独学かスクールかを早めに選ぶ

介護福祉士を目指すにあたり、多くの方が独学にするかスクールに通うかを悩むのではないでしょうか。どちらの方法でも合格を目指すことはできますが、学習方法はできるだけ早く決めておくことをおすすめします。

なぜなら、学習方法が定まっていないと、スケジュールが立てられず、どれほどの学習時間を確保すべきかわからないからです。

独学とスクールにはそれぞれメリットとデメリットがあり、一概にどちらが良いとはいえません。自分の生活スタイルに合わせて、無理なく学習できるほうを選びましょう。

独学は時間や場所にとらわれずに学習を進められるため、自分のペースで学びたい方におすすめです。ただし、わからないところがあってもすぐに人に聞けないので、自分で調べるのが苦手な方にはあまり適していないでしょう。

一方、スクールはカリキュラムが決まっているため、学習スケジュールを管理しやすい点が特徴です。働きながらでも学習できるように週末に開講しているスクールもありますが、より柔軟に学習を進めたい方は、通信講座のあるスクールを選ぶこともできます。

自身の生活スタイルを考慮して、早めに独学かスクールかを選んでおきましょう。

スケジュール管理をしっかりと行なう

介護福祉士国家試験は受験資格を得るまでに時間がかかるため、数年単位でのスケジュール管理が必要です。

多くの方は、試験までの準備期間が長いほどモチベーションが下がってしまいます。あらかじめ合格までの道のりをスケジュールに落とし込み、それを確実に実行していくことでモチベーションの低下を防ぎましょう。

特に仕事をしながら受験する場合、思ったように学習時間を確保できないことが多いため、スケジュール管理が非常に重要です。

確実に合格できるように、目標を明確に持ってスケジュールをこなしていきましょう。

過去問を解いて問題に慣れておく

どれほど勉強していても、初めて見る形式の問題を解こうとすると、解くのに時間がかかりミスも起きやすくなります。本番で実力を十分に発揮するためには、問題に慣れておくことが大切です。

問題に慣れるためには過去問を解くのが最も効果的です。過去問を解くと問題の形式や傾向を知ることができるだけでなく、自分が苦手な分野の確認もできます。試験の傾向をつかむためにも、最低3年間分は解くようにしましょう。

問題のなかには、受験生のほとんどが正解できないような難問もあります。過去問を繰り返し解き、時間を割くべき問題を見極められるようになることも大事です。

また、筆記試験は記述式ではなくマークシート形式なので、試験のテクニックに慣れるためにも、多くの問題を解いておくとよいでしょう。

過去問題集は各出版社から販売されており、簡単に入手できるため、試験の学習を始めたら早めに購入しておきましょう。

過去問を使って効率的に試験対策しよう!

先述のとおり、過去問は試験合格のための重要なアイテムです。過去問を解くメリットを理解して、具体的な利用方法を知っていれば、より効率的に試験対策を進められるでしょう。

過去問を解くメリット

介護福祉士のテキストや問題集は多くありますが、それとは別に過去問を解くメリットはどこにあるのでしょうか?

過去問を解くメリットは3つあります。

1.問題の形式や傾向をつかめる

国家試験に限らず、どのような試験でも同じですが、問題の形式や傾向をつかまなければ適切な試験対策はできません。

出題形式や傾向を知らずに学習を進めていても、知識自体は身に付きますが、本番で実力を発揮するのは難しいでしょう。

過去問は、実際に過去に出題された問題そのものなので、問題の形式と傾向を知るのに最適な教材なのです。

2.実力がわかる

自分では理解しているつもりでも、試験で問われると答えられないことは、思った以上によくあります。

過去問を解いて求められるレベルを知り、それに対して今自分がどれくらいの実力を持っているかを知ることは、学習を進めるうえでとても大切です。

3.時間配分を意識する

試験には制限時間があり、時間内に問題を解けなければ、知識があっても意味がありません。試験での時間配分は、実力を最大限発揮するために重要なポイントの1つなのです。

本番と同じ時間内で過去問を解くことで、試験本番での時間配分の感覚もつかめます。

過去問はいつから解く?

学習の初期から過去問に取り組み、まったく解けずに落ち込む方もいますが、これは過去問の使い方としては誤りです。なぜなら、学習の初期に過去問を解くと、わからない箇所が多すぎて、どこを復習すれば良いか把握できないからです。

過去問は、学習がある程度進んでから解くようにしましょう。知識を得た状態で解くことで、試験で何がどのように出題されるのか実感でき、知識がどれくらい身に付いているかもわかります。

また、試験が近づく学習の後期では、過去問を模擬試験的に使用すれば、足りない知識を洗い出すこともできます。

過去問を解くポイント

ただ過去問を解くだけでは、過去問のメリットを活かしきれません。過去問を解く際には次の3つのポイントに注意しましょう。

1.実際に時間を計って解く

試験本番では制限時間があります。練習段階から時間を計っておくと、時間配分の感覚が徐々につかめるようになります。

2.解いたら必ず復習する

過去問を解いたあと、復習せず放置してはいけません。

過去問を解いたら必ずすぐに復習をして、解けなかった問題や解答を迷った問題に対し、なぜ解けなかったのか、なぜ迷ったのかを明らかにしておきましょう。

3.一度だけではなく何度も解く

過去問は一度ではなく複数回解くようにしましょう。1ヵ月程度期間を空けて再度解くと、知識の定着具合を知ることもできるのでおすすめです。

また、過去問を何度か解いているうちに、だんだん点数が上がってくると、自分の成長を感じられ、モチベーションアップにもつながります。

【萩原講師ならではのポイント】

介護福祉士国家試験の受験勉強を始めるタイミングは、介護福祉士国家試験にチャレンジすると決めた時からです。ただ、長い期間モチベーションを保つことは難しいため、受験資格を得るための実務者研修の学習時期では、基礎的な内容をしっかりと学び、実務者研修の学習修了後に、本格的に国家試験に向けた学習を始めることをよくアドバイスしています。

大原講師陣が実際の過去問を解説!

【出題頻度の高い問題】
総合問題(事例問題) 第32回

問題

ある日、Lさんと一緒に調理をしていた訪問介護員(ホームヘルパー)は、賞味期限が2日前に切れた缶詰を見つけた。
Lさんに対して訪問介護員(ホームヘルパー)がとる行動として、最も適切なものを1つ選びなさい。

  • 1.黙って処分する。
  • 2.食べてはいけないと伝える。
  • 3.食べやすいように、缶のふたを開けておく。
  • 4.食べ方を相談する。
  • 5.保存容器に移して保管するように勧める。

正答

選択肢4

ポイント

事例問題では、利用者本位を考えながら正答を導きます。
本問の場合には、訪問介護員(ホームヘルパー)が、利用者の意思や意見を無視した選択肢は、誤りになります。
賞味期限のとらえ方は、人それぞれ異なりますので、利用者自身の考え方を確認してどのようにしていくかを決めていく、選択肢4が最も適切と考えられるでしょう。

対策

事例問題は、得点源の1つとなるため、過去に出題されている問題を解いて、問題に慣れましょう。

【受験者が苦手とする問題】
制度に関する問題 第24回

問題

社会福祉法に規定されているものとして、正しいものを1つ選びなさい。

  • 1.福祉サービス提供における集団主義
  • 2.介護における家族の責任
  • 3.地域福祉の推進
  • 4.倫理規定に違反する専門職への罰則の適用
  • 5.サービス供給主体の社会福祉法人への一元化

正答

選択肢3

ポイント

社会福祉法は、社会福祉を目的とする事業の全分野における共通的基本事項を定めた法律です。この法律では、利用者の利益保護、地域福祉の推進、社会福祉の増進、社会福祉事業の適正な実施などが定められているため、介護福祉士国家試験を受験される方も概要を理解しておくことが必要です。
本問の場合、規定されている「地域福祉の推進」がズバリ、選択肢にあるため、制度を確認しておくとこのような問題にも対応することができます。

対策

制度系の問題は、受験される方の大多数が苦手とされる項目です。しかし、制度を正しく理解することで正解を導くことも可能です。克服方法としては、過去に出題されている問題を繰り返し解き、誤った場合には、解説や参考書で正しい内容を確認・理解することが重要です。

大原の介護福祉士講座で試験合格を目指そう

大原には介護福祉士を志望する方向けの講座があり、充実したサポート体制を備え、受講生と一緒に試験合格を目指しています。

プロの講師陣とオリジナルの教材で徹底サポート

大原の介護福祉士講座は、プロの講師陣とオリジナルの教材で受講生の学習を全面的にサポートしています。

受講生に好評のオリジナルのレジュメは、各科目のポイントがまとめられており、過去問題集と併せて効率良く学習を進められます。講座終盤には、公開模擬試験や直前模擬試験の予想問題で総仕上げもできるため、確実に合格に近づくでしょう。

大原の介護福祉士講座は基礎力養成(6回)と実力アップ(3回)の計9回のカリキュラムになっており、コンパクトな設計なので仕事をしながらでも受講できます。

また、講義に欠席しても無料で振替できたり、わからないことを何度でも質問できたり、受講生へのサポートも充実しているため、あきらめずに最後まで学習を続けられます。

生活に合わせて学習スタイルを選べる

介護福祉士を目指す人は生活スタイルもさまざまです。スクールが自分の生活スタイルに合っていないと、なかなか学習が進まず、勉強への負担が大きくなりかねません

大原ではライフスタイルに合わせて、通信講座もしくは通学講座(教室通学、映像通学)から学習スタイルを選べます。

近くにスクールがある方や、自宅学習が苦手な方におすすめの通学講座は、実際に大原のスクールに通って講義を受けたり疑問点を質問したりできます。

スクールに通う時間がない方や、スキマ時間や休日にまとめて学習したい方におすすめの通信講座は、講義の映像もついていて自由に学習を進められます。

実務者研修とのセットコースもある

介護福祉士の受験資格のうち、受験者のほとんどを占める実務経験ルートでは、3年以上の実務経験と併せて実務者研修の修了が受験資格となります。

大原では受験対策の講座だけではなく、実務者研修の講座もあるため、2つをセットで受講することも可能です。

セットコースは、受験対策講座と実務者研修を別々に受講するよりもお得な価格設定のうえ、同じスクールで学ぶことで一貫した指導を受けられるメリットもあります。

【萩原講師ならではのポイント】

大原の受験対策講座は、近くの大原に通う教室通学や自宅で学べるWeb通信などの学習スタイルがあり、サポート制度も充実しているので安心して学ぶことができます。
大原の実務者研修や受験対策は全国で開講していますので、お近くの大原でご受講をご検討ください。悩まれている方は、ぜひ、大原へ!
皆様の一発合格の一躍となれればとお待ちしております。

まとめ

介護系唯一の国家資格である介護福祉士は、介護に関する専門的な知識と技術を持ち、現場をひっぱるリーダーとして活躍します。

介護福祉士になるためには、年に1回実施される国家試験に合格する必要があります。なお、受験資格の取得自体に数年ほどかかるため、計画的に学習を進めていきましょう。

試験の筆記対策には、過去問を使った学習が最適であり、過去問を使うと試験の形式や傾向を知ることができるだけでなく、自分の現在の実力や足りない知識を把握することもできます。

大原では介護福祉士を志望する方向けの講座を設けており、プロの講師陣とオリジナルの教材で受講生の試験合格を全面的にサポートします。

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【萩原講師のプロフィール】

名前
萩原身和
担当
介護福祉士
指導理念
いつも笑顔で、楽しく学ぶ
紹介文
介護福祉士は、繰り返し問題を解いた方が合格する試験です。制度関係の科目を後回しにし、業務と関係のある科目から学習することをおすすめします。

大原の講師が徹底解説!