医療事務員は、病院やクリニックで受付対応をしたり、医療費を計算したりする重要な仕事を任されています。
女性に人気の職業の一つですが、年収をアップさせる方法を知りたい方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、医療事務の仕事内容や女性に人気の理由を解説するとともに、年収をアップさせる3つの方法を紹介します。医療事務と一緒に取得をすると役立つ資格や、気になる疑問点にも答えるので、ぜひ最後までチェックしてください。
本橋佳織(医療事務専任講師)
大原の専門課程卒業後、医療事務職員として現場での経験を経て、大原学園専任講師として在籍
まずは、医療事務の仕事内容を3つの項目に分けて紹介します。
まず1つ目の医療事務の業務は、受付・窓口業務です。来院した患者さんの受付対応として、保険証の確認や基本情報の入力、入退院の手続きなどを行ないます。
また、患者さんの病状に応じて診療科を案内することも、医療事務の重要な業務の一つです。患者さんと接する機会が多いため、接客スキルも磨かなければなりません。
担当業務に対する責任はともないますが、病院の顔のような存在として働けます。
2つ目は、レセプト(診療報酬明細書)の作成および請求業務です。患者さんが健康保険適用となる「保険診療」を受けた場合、診療費の一部は患者さんが負担し、残りは自治体や健康保険組合などに請求します。
医療事務は、患者さんの情報や診療報酬点数などを記載したレセプトを作成し、審査支払機関へ提出する業務を担っています。
レセプトの記載内容に誤りがあると、再提出を求められたり、診療費用が支払われなかったりするケースもあります。
病院経営にも関わる重要な業務であるため、専門的なスキルと正確性が問われます。
会計業務では、患者さんの診療内容に応じて診療費を計算します。医療行為ごとに診療報酬の点数は定められており、「1点=10円」という基準にしたがって、患者さんそれぞれの診療費を算出する仕事です。
例えば、初診料は288点と規定されており、金額に換算すると「288点×10円=2,880円」となります。このように医療事務は、医療行為ごとに規定された診療報酬の点数を計算して、自己負担分の金額を患者さんへ請求します。
勤務先によって違いはありますが、電子カルテや会計システムを導入して、会計業務を効率化している医療機関も多くあります。
医療事務員としての日々の仕事は、来院者に対する応対が中心となります。それに付随して受付・カルテ管理や会計などを行なっています。私が勤めていた病院もシフト制でしたので、平日などの休暇もあり、プライベートも確保できていました。
勤務先によっては、土日がお休みのところもあるのでプライベートの計画も立てやすいと思います。ただ、毎月、1日~10日までは、レセプト作成で残業もあります。
次に、医療事務の将来性が高い理由や、女性に人気がある理由をチェックしていきましょう。
医療事務は、医療の業界で欠かせない職業の一つです。日本国内が高齢化社会を迎えているなか、医療業界の需要は安定しており、景気に左右される心配も少ないでしょう。
内閣府が発表した「令和5年版高齢社会白書」によれば、令和4年10月1日時点の総人口は1億2,495万人で、65歳以上の人口は3,624万人となっています。
高齢化率は29%であり、平成6年の高齢化率が14%超であったことからも、国内の高齢化率は上昇していることがわかります。
さらに、この発表では令和52年の高齢化率が38.7%になると推計されており、今後も医療事務の需要は高いといえるでしょう。
参考:内閣府「令和5年版高齢社会白書『第1章 高齢化の状況』」
医療事務が女性に人気のある理由の一つとして、正社員やパート、派遣社員、アルバイトなどさまざまな雇用形態を選択して働けることが挙げられます。
例えば、子育て期間中に勤務時間を調整したい場合も、パートや派遣社員として働くのであれば問題ありません。
幅広い雇用形態があるメリットを活かし、自分のライフスタイルに合わせて働けるため、女性にも人気が高いのです。
また、産前産後休暇や育児休業のサポート体制が整っている医療機関も多く、スムーズな社会復帰が期待できます。
医療機関は全国にあるため、医療事務スタッフの求人を見つけやすいという特徴もあります。配偶者の転勤にともない、新たに働き口を探さなければならない場合も比較的見つけやすいでしょう。
基本的に医療事務の業務内容は、医療機関ごとに大きな違いがないとされています。そのため、レセプト業務や会計業務に関する基本的な知識やスキルを身につけていれば、転職先でも即戦力として再スタートを切りやすい点がメリットです。
医療事務は、経験やスキルを身につけている人ほど、貴重な人材として活躍できる職業です。
例えば、子育てがひと段落ついて再就職を目指したいという場合も、医療事務ならブランクを気にせず求人を探せます。
特に、医療事務に関する資格を持っていれば、知識やスキルを身につけている客観的な証明となるため、自信を持って再就職の面接に臨めるはずです。
医療事務員は、医療業界で病院と来院者との懸け橋的な役割をしているため、病院では欠かせない職員となります。また、女性の方が多いのは、雇用形態がさまざまあり、ライフスタイルに合わせて勤務が可能な点でしょう。なお、過去に経験された方が再就職されるケースも多く、女性の方には医療事務の資格を取得することをおすすめします。
続いて、医療事務の年収アップに有効な3つの方法を紹介します。
まず1つ目は、医療事務に関する資格を取得して年収をアップさせる方法です。医療事務の資格は知識とスキルの証明として有効で、勤務する医療機関によっては、給料に対して資格手当が上乗せされます。
毎月の月収が上がることで、資格なしで勤務する場合よりも年収アップが狙えます。ただし、資格手当の有無は施設ごとに異なります。求人へ応募する段階でしっかりと確認しておきましょう。
2つ目は、キャリアアップして年収を上げる方法です。例えば、主任やマネージャーなどの管理職へ昇進すれば役職手当がつき、年収がアップする可能性が高いでしょう。
キャリアアップするためには、日頃の業務に対して真摯に取り組むだけでなく、知識やスキルを身につける必要があります。
3つ目は、別の医療機関へ転職して年収をアップさせる方法です。現状の勤務先で年収アップが見込めない場合は、選択肢の一つにいれてもよいでしょう。
例えば、保険適用外の「自由診療」を行なう医療機関では、治療法を成約すれば一定のインセンティブを上乗せしてくれるところがあります。求人情報をしっかりと調べて、年収アップできる転職先を探しましょう。
医療事務の代表的な資格に「医療事務(医科)能力検定試験」があります。ここからは、一緒に取得すると役立つ資格を3つ見ていきましょう。
「診療報酬請求事務能力認定試験」は、レセプト作成の高い知識とスキルを保有することを認定する資格です。歯科と医科の2つのタイプがありますが、医科の受験者のほうが多い傾向にあります。
令和5年(第59回)の受験者数は、医科が3,659人、歯科が60人で、医科を受験する人のほうがかなり多くなっています。
医科は、医療事務系の資格のなかでも難度の高い資格であり、令和5年(第59回)試験の合格率は、48.4%です。
難易度は高いですが、資格手当が上乗せされる場合もあるため、取得すれば年収アップが見込めるでしょう。
昭和57年に生まれた「電卓技能検定試験」は、電卓を操作する際の正確さと速さを認定する資格です。
受験級は1級から7級まであり、初段から十段までの段位、名人認定もあるため、自身の目標レベルに応じて取得を目指せます。
医療事務の業務では、電卓操作が求められる売上金計算などの場面で役立つでしょう。取得資格として履歴書にも記載できるため、就職や転職でも有利に働きます。
「マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)」とは、マイクロソフト社公式の国際資格で、マイクロソフト・オフィス製品操作のスキルを認定する資格を指します。
試験科目は種類ごとに分かれていますが、特に表計算ソフト「Excel」は医療事務の業務でも役立ちます。
資格を取得すれば、パソコンスキルの客観的な証明となるため、就職や転職の場面で積極的にアピールできるでしょう。
現在、パソコンでの入力作業が多く、「マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)」にて、「Excel』を学ぶことは、非常に有効だと思います。また、レセプト作成を行なう際、検証・確認作業で電卓操作が必要となります。レセプト作成で、計算ミスは致命傷となるため、正確に計算を行なうためにも「電卓技能検定試験」で電卓操作の正確性とスピードを養うことができます。興味を持たれたら、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
ここからは、医療事務で気になるボーナスや残業代について解説します。
ボーナスの支給は、施設の経営状況に応じて支払われるため、毎年異なります。そのため、正社員で勤務していても、場合によっては支給されない年度があるかもしれません。
また、残業代は勤務先の規定や、自身の雇用形態に応じて有無が決まります。勤め始めてから食い違いが発生しないよう、求人内容を事前にしっかりと確認しておくことが大切です。
医療事務のフルタイム勤務であれば、社会保険への加入が可能です。フルタイム勤務とは、勤務先の正規の時間帯をすべて働くことを指します。
パートや派遣社員などで、一部の時間帯のみ働くことを選んだ場合、社会保険に加入できない可能性もあります。ボーナスや残業代と同じく、求人内容を確認しておくことで、勤務開始後のトラブルを避けられるでしょう。
医療事務の資格試験を受けるのであれば、資格の大原で学習することをおすすめします。その理由を以下3つのポイントで紹介します。
大原の医療事務講座を受講すれば、「医療事務(医科)能力検定試験」の合格に向け、これまでのノウハウを詰め込んだ大原オリジナルの教材で学べます。
テキストには、豊富な図解やさまざまな例題の掲載など、スムーズに理解できる工夫が施されているため、学習レベルを問わずどなたでも受講しやすいでしょう。
また、診療報酬の点数は通常2年に1度見直されて「診療報酬改定」が行なわれますが、大原オリジナル教材ではこのような制度改定にも対応しています。
「医療事務(医科)能力検定試験」の1級から3級まで対応した各級のテキストは、1冊に要約されているため、効率的な学習が可能です。
資格の大原では、映像通学もしくは通信講座を選択し、ライフスタイルに合わせて学習できます。さらに、それぞれの講座のフォロー・サポート体制が充実していることも魅力です。
例えば、映像通学生は必要に応じて「合格サポート制度」を利用できます。これは出席率80%以上など一定の条件を満たしていれば、万が一、不合格になった場合でも同じ内容のコースを無料で再受講できる制度です。
また、映像通学・通信講座のどちらの受講生も、Mobile-O-haraを使った質問に対応しています。
このように、万全のフォロー・サポート体制が敷かれているため、医療事務の試験合格に向けて集中して学習できるでしょう。
大原学園系列の専門学校に通って、医療事務の資格取得を目指す方法もあります。専門学校の医療事務講座では、目的に応じて1年制、2年制のどちらかを選んで通学が可能です。
最大2回の病院実習、法律やマナーに関する授業・実習など、医療事務としてスムーズなスタートを切るための充実のカリキュラムが組まれています。実践的な知識やスキルを習得できるうえ、複数の医療系資格の取得も目指せるでしょう。
先ほど紹介した「診療報酬請求事務能力認定試験(医科)」や「電卓技能検定試験」などの資格取得もサポートしているため、目標に合わせてスキルアップが可能です。難関資格の取得者となれば、資格手当による年収アップも見込めるでしょう。
資格の大原の医療事務講座は、「外来」と「入院」を分けて学習します。それは、同時に学習すると混在してしまい、難しく感じてしまう可能性があるからです。3級と2級では、外来を中心とした学習をし、1級では、入院を中心とした学習となります。クリニックなどのご勤務をお考えの方は、「医療事務3級から学ぶ2級合格コース』を大学病院などのご勤務をお考えの方は、「医療事務3級から学ぶ1級合格コース』をおすすめします。
なお、大原の通信講座では、学習項目の講義映像や質問応対サポートがありますので、安心して学習をすることができます。
医療事務の年収をアップさせる方法は、「資格手当」「役職手当」などを狙う方法が挙げられます。
また、専門的な知識やスキルを深めることで、より良い条件の医療機関への転職し、年収をアップさせる方法もあるでしょう。
資格の大原では、受講生が理解しやすいオリジナル教材で、資格取得をサポートします。自身の学習スタイルに合わせて複数の講座から選択でき、フォロー・サポート体制も万全なので、どなたでも安心して学べます。
大原の講座で医療事務の資格取得を目指したいという方は、ぜひ一度、無料の資料請求をご利用ください。
大原の講師が徹底解説!
資格の講座以外の学習スタイル
大原学園グループでは、この他にも資格を取得できる学習スタイルをご用意しています。