医療事務は、医療の業界で欠かせない仕事の一つです。今後も雇用に関する需要は高まることが予想されるため、医療事務の資格は人気を集めています。
医療事務の資格を取得するにあたり、より具体的なメリットを知りたいという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、医療事務資格を取得するメリット4選や、受験の流れを解説します。また、医療事務の仕事内容や働ける施設についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
本橋佳織(医療事務専任講師)
大原の専門課程卒業後、医療事務職員として現場での経験を経て、大原学園専任講師として在籍
まずは、医療事務の資格を取得するメリット4選を見ていきましょう。
医療事務は、基本的に資格なしでも勤務できる仕事です。しかし、医療事務の資格を所持していれば、相応の知識やスキルを持っている証明になります。
資格があれば、未経験でも採用される可能性がアップするため、就職や転職の場面で役立つでしょう。また、面接時などに知識・スキルをアピールできます。
正社員やパート、アルバイトなど、自分に適した雇用形態も選びやすくなるため、資格を取得するメリットは大きいといえるでしょう。
医療事務の資格を取得しておけば、給料に資格手当がつくケースもあります。資格の種類によって金額は変わってきますが、毎月の手当は重要な収入源です。
医療事務の資格の種類としては、「医療事務(医科)能力検定試験」や「診療報酬請求事務能力認定試験」などが挙げられます。自分の目標に合った資格を選んで取得することで、医療事務スタッフとしてスムーズなスタートを切れるでしょう。
医療機関は日本全国にあるため、就職・転職先を探しやすいというメリットがあります。配偶者の急な転勤で引越すような場合でも、安心して転職活動を行なえるでしょう。
仕事内容も、医療機関ごとにあまり大きな差はなく、新たな就職先でもスムーズに適応できます。
医療事務の仕事に、レセプトの作成および請求の業務がありますが、基礎的な知識やスキルを身につけていれば、勤務する医療機関が変わっても安心です。
このように、医療事務はそれまで培った経験を活かしやすい仕事であり、長く安定的な雇用が見込めます。
日本は人口の高齢化が進んでおり、今後も医療機関は一定の需要が見込まれます。内閣府の「令和5年版高齢社会白書」によると、日本の総人口1億2,495万人(令和4年10月1日時点)に対して、65歳以上の人口は3,624万人、高齢化率は29%です。
このような現状からも、医療事務の仕事は常に必要とされていることがわかります。仕事で習得した知識・スキルを活かせるため、将来性も高く、年齢を重ねても働き口を見つけやすいでしょう。
参考:令和5年版高齢社会白書「第1章 高齢化の状況」|内閣府
医療事務の資格は、どの民間試験でも、医療事務員として必要な知識が備わっていることを証明する資格となります。そのため、資格保有者は、就職・転職に有利になります。また、医療事務に関する知識は共通ですので、日本全国どこでも働くことが可能です。
続いて、「医療事務(医科)能力検定試験」を例に、受験の流れや試験内容をチェックしましょう。
「医療事務(医科)能力検定試験」は、例年2月、6月、10月の4ヵ月ごとに実施されています。
申込み期間は試験日前に1ヵ月程度設けられており、その期間内に受験料の振り込みを含めた申込み手続きを行なう必要があります。
試験は1級から3級までありますが、各級とも受験資格はなく、誰でも受験可能です。2019年2月に開催された第40回試験を例に、各級の合格率を見てみましょう。
上記からもわかるように合格率は80~90%台で、事前にきちんと学習すれば合格を目指せる試験といえるでしょう。なお、試験結果は約1ヵ月後に郵送で通知されます。
「医療事務(医科)能力検定試験」では、筆記択一式の学科試験と、診療報酬明細書(レセプト)を作成する実技試験が実施されます。解答時間は、1級と2級が90分、3級は60分です。
なお、各級のおおよその試験範囲は以下のように設定されています。
各級の詳しい試験範囲については、日本ビジネス技能検定協会の「医療事務(医科)能力検定試験範囲」をご覧ください。
参考:医療事務(医科)能力検定試験範囲|日本ビジネス技能検定協会
独学での学習が難しい場合は、専門学校で学習して医療事務資格の取得を目指せます。優れた実績を持つ専門学校であれば、プロの講師陣による質の高い講座を受けられるため、合格に向けて効率的に勉強できるでしょう。
また、資格取得という同じ目的を持つ仲間とともに学ぶことで、学習に対するモチベーションを常に高く保てるメリットもあります。
「医療事務(医科)能力検定試験」は、各級とも、学科試験と実技試験があります。特に実技試験の診療報酬請求書(レセプト)の作成問題は、各論点が個別に出題されるのではなく、すべての論点の総合問題として出題されます。そのため、各論点をしっかり確認し、その後、総合問題対策として、時間を計りながら学習することをおすすめします。
ここからは、医療事務として実際に働いた場合の仕事内容や、一日のスケジュールなどを見ていきましょう。
医療事務のおもな業務として、受付・会計業務やレセプト業務、クラーク業務があります。特にレセプト業務は、健康保険組合などへ診療報酬明細書を提出して医療費の一部を請求するため、正確性が求められる重要な仕事です。
また、クラーク業務とは病棟などの事務業務を指します。ナースステーションに常駐するのが基本で、患者さんの入退院の手続きや費用の説明などを行ないます。
受付・会計業務をはじめ、医療事務は患者さんと接する機会の多い仕事です。病院やクリニックの顔とも呼べる存在であるため、やりがいを見出しながら働けるでしょう。
クリニックに勤務した場合、8時頃に出勤して8時30分に受付業務を開始し、18時頃に受付終了、18時30分に業務を終えるスケジュールが一般的です。
クリニックでは、少人数の医療事務スタッフで運営するのが一般的なため、受付業務やレセプト業務、清掃など複数の業務をこなす必要があります。
一方、総合病院などに勤務する場合は、受付やレセプトの業務が担当者ごとに分かれているケースが少なくありません。
一日のスケジュールは、8時30分から受付を開始して17時頃に受付終了、片付けなどを行ない17時30分に業務を終えるのが一般的です。
ただし、毎月1~10日はレセプト業務が忙しくなるため、担当の場合は残業が発生する可能性も高いでしょう。
医療事務は、日曜日など休診日の固定休と、平日1日を含めた週休2日制の職場が多いため、プライベートの時間もしっかりと確保できます。ただし、医療機関によっては、シフト制で土日出勤しなければならない施設もあるでしょう。
いずれにしても、あらかじめ求人内容を確認しておくことで、自分のライフスタイルに適した職場を選べます。
医療事務員としての日々の仕事は、来院者に対する応対が中心となります。それに付随して受付・カルテ管理や会計等を行なっています。私が勤めていた病院もシフト制でしたので、平日などの休暇もあり、プライベートも確保できていました。
勤務先によっては、土日がお休みのところもあるのでプライベートの計画も立てやすいと思います。ただ、毎月、1日~10日までは、レセプト作成で残業もあります。
医療事務はさまざまなタイプの施設で需要があります。ここでは代表的な4つの施設について見ていきましょう。
複数の診療科がある総合病院など、規模の大きな病院では医療事務の仕事を分業で行なうケースが多くなります。
関連する部署との連携が不可欠であり、コミュニケーションスキルは必須ですが、受付や外来、請求業務など、担当業務に特化したスキルを磨けるため、専門性を身につけたい方に適しているでしょう。
また、勤務先によっては、従業員が利用できる託児所を備えている病院もあるため、子育てと仕事を両立しやすい環境で勤務できる点も魅力です。
クリニックで働く場合、病院よりも医療事務の人数が絞られるため、全般的な業務をこなす必要のある勤務先が多いでしょう。
例えば、受付やレセプト業務など医療事務における基本的な業務に加えて、病院内外の清掃や備品の発注業務を行なうケースもあります。
幅広い業務をこなす必要がある一方、総合的なスキルが身につけられる点はメリットです。また、保険適用外の「自由診療」の治療法を成約することで、一定のインセンティブを支払う医療機関もあります。
自分の適性に合ったクリニックを選ぶことで、より快適に働けるでしょう。
訪問診療所、訪問看護ステーションなど、在宅型の医療サービスの需要が高まるなかで、医療事務の雇用先も増加しています。在宅サービスの医療事務スタッフは、訪問に同行して診療・看護のサポートを行なうことがおもな業務です。
例えば、機材の準備やレセプト作成、スケジュール管理など幅広い業務を任されるため、仕事のやりがいを感じられるでしょう。
責任をともなう仕事も少なくありませんが、訪問は基本的に平日の日中に実施するケースが多いため、プライベートの時間を確保しやすいメリットもあります。
看護師やケアマネージャーなど、在宅サービスで関わる他のメンバーと連携しなければならないため、基本的なコミュニケーション能力は必須です。また、保険請求では介護保険についての知識も不可欠となります。
病院やクリニック以外にも、調剤薬局や歯科医院、企業の診療室など、医療事務としての働き口は多くあります。調剤薬局に勤める医療事務スタッフは、「調剤薬局事務」とも呼ばれ、会計や調剤報酬請求の業務を行ないます。
一方、歯科医院の医療事務スタッフは、歯科医師をサポートする歯科助手が兼業するケースもある点は知っておきましょう。
いずれにしても、医療事務として働ける雇用先は多くあるため、資格を取得することで就職や転職が有利になる可能性は高いといえます。
現在はホームページなどで求人票が公開されているので、しっかり確認しながら希望の勤務先をお選びください。また、規模の大小や業務内容の違いで、勤務体制も異なります。しっかり確認して、ご自身のライフスタイルなどと合致した就職・転職先を決める必要があります。
医療事務の資格を取得するなら、資格の大原で学ぶことをおすすめします。その理由を、以下3つのポイントで見ていきましょう。
資格の大原では、治療費の計算方法や医療保険の仕組みなどの専門スキルが身につく「医療事務(医科)能力検定試験」の取得を目指せます。その魅力は、大原のカリキュラムで2級以上を修了した方を対象に、就職ガイダンスを実施している点です。
独自のノウハウを活かした就職対策を教えてくれるうえ、大原に届いた求人の紹介も行なっています。また、同じく2級以上の修了者を対象に、大原が提携する人材派遣会社を紹介してくれる点もメリットに挙げられるでしょう。
万全の就職サポート体制が整っているため、資格取得後、未経験から医療事務スタッフの仕事に就きたい場合も安心です。
大原では、通信・通学の2タイプの講座から受講スタイルを選択可能です。
通信講座では、インターネット環境で学べる「Web通信」があります。一方、通学講座の「映像通学」では、大原校内に設置された個別視聴ブースでじっくりと集中して学習可能です。
例えば、通学が難しい社会人の方が「Web通信」の講座を選択すれば、自分の好きな時間帯に何度でも学習できるでしょう。受講生それぞれのライフスタイルに合わせて、通信・通学から適した講座を選べるのは、大原の大きな魅力です。
大原学園系列の専門学校に通って、医療事務の資格取得を目指す方法もあります。大原学園系列の専門学校では、先ほど紹介した「医療事務(医科)能力検定試験」以外にも、さまざまな医療系資格の合格を目指すことが可能です。
具体的な例をいくつか挙げてみましょう。
上記のような専門スキルの証明となる資格を取得すれば、就職や転職がより有利になります。
大原で医療事務を学ばれる方は、通信講座(Web通信、DVD通信)で受講される方が多いいです。それは、社会人の方は働きながらなど、学生の方は勤勉との両立されている方が多く、ご自身のスキマ時間で学ばれています。
目標とする試験月を決め、学習項目の講義映像を視聴し、教材の問題集を解きながら、知識の習得をされております。また、学習の途中で、疑問点などが生じた場合には、メールなどで質問をされ、疑問点の解消をされています。
医療事務の資格があれば、専門的な知識やスキルの証明となるため、就職や転職の場面でも役立つでしょう。人口の高齢化が進むなかで、医療事務は雇用に関して今後も高い需要が見込めます。
自身のニーズに即した雇用形態を選択でき、病院やクリニック、在宅サービスなどさまざまな施設で働ける点も魅力です。
資格の大原では、通信・通学講座からライフスタイルに合ったものを選択できるうえ、就職面でも万全のサポート体制が整っています。また、大原学園系列の専門学校では、医療事務以外にも資格取得が目指せ、より専門性の高い人材としてスキルアップを狙うことが可能です。
医療事務資格の取得を検討しているという方は、ぜひ大原で無料の資料請求をしてみてはいかがでしょうか。
大原の講師が徹底解説!
資格の講座以外の学習スタイル
大原学園グループでは、この他にも資格を取得できる学習スタイルをご用意しています。