国家資格である行政書士資格を持っていると、転職や就職に有利になり、独立開業も狙えます。将来のキャリアアップを考え、取得を目指している方も多いのではないでしょうか。
しかし、試験合格への道のりは決して簡単ではなく、どのように勉強すれば良いか悩んでいる方もいるかもしれません。そういった方には、過去問を活用した勉強法がおすすめです。
今回は過去問を資格勉強に取り入れるメリットや、効果的な活用法を解説します。過去問の選び方についてもまとめているので、ぜひ参考にしてください。
皆さん、こんにちは。資格の大原 行政書士講座の持田です。行政書士試験合格にあたって、過去問の学習は必須です。過去問を有効活用し、合格を勝ち取りましょう!
ここでは、行政書士試験の試験範囲と出題傾向を解説します。まずは範囲と出題傾向を知ることが試験合格への第一歩です。
行政書士試験の範囲は非常に広いため、計画的に勉強を進めることが大切です。出題科目は法令科目と一般知識科目に大きく分かれ、それぞれの範囲は以下のようになっています。
<法令科目>
科目 | 内容 |
---|---|
基礎法学 |
|
憲法 |
|
行政法 |
|
民法 |
|
商法・会社法 |
|
<一般知識科目>
科目 | 内容 |
---|---|
政治・経済・社会 |
|
情報通信・個人情報保護 |
|
文章理解 |
|
出題形式は、5肢択一式がほとんどですが、法令科目には多肢選択式や記述式の問題もあります。
出題数は法令科目46問、一般知識科目14問の計60問となり、合格には以下の基準を満たさなければなりません。
1. 法令科目の分野で122点以上取る
2. 一般知識科目で24点以上取る
3. 300点満点中180点以上取る
それぞれの科目で基準点以上を取る必要があり、「一般知識科目を捨てて法令科目だけで合格点を取ろう」ということはできないので注意してください。
範囲が広い行政書士試験では、過去の出題傾向を把握することが合格のカギです。出題傾向を把握しているかどうかにより、勉強効率にも大きく差が出てくるでしょう。
出題範囲が広く、過去に出題されたことがない問題が出されることもあります。しかし、難問が出る割に配点が少ないので、あまり時間をかけずにテキスト全体の内容を勉強することが大切です。
過去に出題された問題が出された場合に得点できるように、過去問で練習しておくと良いでしょう。
比較的、初心者でも取り組みやすい分野であり、条文知識や判例についてしっかり理解しておく必要があります。
重要な判例を確認しておきましょう。
出題数が多く、合否を決めるといっても過言ではないのが行政法です。条文知識をそのまま問われている問題が多い傾向にありますが、丸暗記ではおそらく意味が理解できず解けないでしょう。条文の意味を、正確に理解することが大切です。
記述式の問題も出されるので、専門用語でも漢字で正しく書けることが大事です。
行政法の次に出題数が多いのが民法で、事例形式の問題が多い傾向にあります。学習の際も事例でイメージをつかみながら条文や判例を学習しましょう。
記述式の問題も出されるので、専門用語でも漢字で正しく書けることが大事です。
細かい知識が必要な問題が多い分野です。配点は少なめですが、範囲が広いので重要ポイントを絞って勉強しましょう。
株式会社の設立、株式、株主総会、取締役・取締役会を押さえておくのがおすすめです。
情報通信に関する問題は基本的なものが多く、用語が理解できていれば解きやすい傾向にあります。
個人情報保護に関しては、法令科目と同じく条文に関する問題が多いので、条文の意味をよく理解しておくと良いでしょう。
効率よく合格を勝ち取るためには、科目ごとの特性を知っておくことが重要です。ゼロから解答を作り出すことを求められる記述式が出題される行政法、民法については、特に深い理解が求められます。大原の講義では、それを踏まえ、行政法、民法には多くの講義時間を割いています。
行政書士試験の勉強に過去問を使うメリットを解説します。
行政書士試験は非常に範囲が広く、それぞれの分野で基準となる点数を取らなければ合格できません。
全範囲をまんべんなく学習することは大切ですが、傾向をある程度知り、ポイントを絞らなければ学習を進めることは難しいでしょう。
過去問を解けば出題傾向を把握できるので、どの部分を重要視すれば良いかポイントが分かります。
勉強は、インプットした知識をアウトプットすることで理解が深まります。そのアウトプットに最適なツールが過去問です。過去問を解けば、学習した部分が理解できているかを確認できます。
また、苦手な部分も把握できるので、効率的に学習を進められるでしょう。繰り返し過去問を解くと、苦手な部分の理解も深められます。
家では問題を理解するまでに、どれだけ時間をかけても問題ありませんが、実際の試験はそうはいきません。時間配分を間違えると、最後の問題までたどり着けない可能性も考えられます。
しかし、実際の試験問題を解くと、どのくらいの配分で解き進めていけば良いのかを把握できます。時間を決めて過去問を解き、実践力を身に付けると、試験本番で焦るリスクも減らせるでしょう。
ある程度学習が進んでから過去問に取り組もうとする方が多いですが、過去問は、「どこがどのように出るのか」を知る重要なツールでもあります。ぜひ学習初期の段階から活用していきましょう。
過去問は、ただひたすらに解けば良いわけではありません。ここでは、過去問の効果的な活用法を3つご紹介します。
効率的な学習計画を立てるためには、まず現時点の実力と合格ラインにどれほどの差があるのかを知ることが重要です。
過去問を解くと、自分の苦手分野が明確になり、どの部分を重点的に勉強すれば良いか計画を立てやすくなるでしょう。
このように、過去問を解くことは効率的な学習計画を立てるためにも役立ちます。
テキストで各分野の学習が終わったら、過去問を解くようにしましょう。前述のとおり、知識をインプットしたあとにすぐアウトプットすることで、より知識が定着しやすくなります。
また、過去問を解くことにより、テキストで学習した内容のどの部分が重要なのかを把握できるでしょう。
過去問を解いたあとに、不正解した問題だけでなく正解した問題も、解説をしっかりと読み込むことで理解がより深まります。
過去問は、できれば10年分の問題を解きましょう。10年分を解くことで、どのような内容が頻出するのか把握できます。年度ごとの難易度も分かるので、対策が立てやすいでしょう。
10年分の問題を解くのが難しければ、少なくとも5年分は解くようにするのが大切です。頻出内容を押さえて確実に解ける問題を増やせば、より高得点を狙いやすくなります。
過去問学習にあたっては、大原の「トレーニング問題集」の利用をおすすめします。10年分はもちろんのこと、さらにさかのぼった問題も掲載していますので、出題傾向をつかみやすいです。
本屋やインターネットには過去問が多くあるため、どれを選べば良いか迷う方もいるでしょう。ここからは、過去問の選び方のポイントを3つ解説します。
過去問は、使用しているテキストと同じシリーズを選ぶのがおすすめです。
同じシリーズのテキストと問題集は、振り返りたい分野をすぐに見つけやすいよう設計されていることが多くあります。余計なストレスを感じることなく、勉強を進められるので、テキスト購入時に同じシリーズの過去問も一緒に購入しておきましょう。
過去問は、解説が分かりやすいものを選びましょう。細かい字で書いている、まったく図が入っていないなど、分かりづらい解説だと勉強がなかなか進まないかもしれません。解説の分かりやすさや好みは個人差があるので、実際に手に取って確認することをおすすめします。
過去問には論点別と年度別がありますが、同じ分野でまとめられている論点別のほうが、効率的に学習できるのでおすすめです。
年度別では、年度ごとにその分野を探す必要があるため、集中して学習しづらいでしょう。1つの章を学習したあとに過去問を活用する際も、論点別のほうが問題を探す手間が少なく便利です。
出題形式は、一問一答式や5肢択一式などがあります。どちらでも構いませんが、すぐに解答が確認できてスキマ時間で学習しやすいのは、一問一答式です。
学習初期の段階は、一問一答式がおすすめです。一肢一肢丁寧に知識の確認ができるからです。直前期になったら、5肢択一式で本試験の形式に慣れましょう。
ここからは大原講師陣が過去問を解説しています。
次に掲げる行政不服審査法の条文の空欄ア〜エに当てはまる語句の組合せとして、正しいものはどれか
第29条第1項 審理員は、審査庁から指名されたときは、直ちに、審査請求書又は【ア】の写しを処分庁等に送付しなければならない。
第29条第2項 審理員は、相当の期間を定めて、処分庁等に対し、【イ】の提出を求めるものとする。
第30条第3項 審理員は、審査請求人から反論書の提出があったときはこれを参加人及び処分庁等に、参加人から【ウ】の提出があったときはこれを審査請求人及び処分庁等に、それぞれ送付しなければならない。
第32条第1項 審査請求人又は参加人は、【エ】又は証拠物を提出することができる。
ア | イ | ウ | エ | |
---|---|---|---|---|
1 | 証拠書類 | 弁明書 | 陳述書 | 審査請求書 |
2 | 審査請求録取書 | 弁明書 | 意見書 | 証拠書類 |
3 | 証拠書類 | 弁明書 | 陳述書 | 審査請求書 |
4 | 審査請求録取書 | 意見書 | 意見書 | 証拠書類 |
5 | 証拠書類 | 意見書 | 陳述書 | 審査請求書 |
正解2
第29条第1項 審理員は、審査庁から指名されたときは、直ちに、審査請求書又は【ア:審査請求録取書】の写しを処分庁等に送付しなければならない。
第29条第2項 審理員は、相当の期間を定めて、処分庁等に対し、【イ:弁明書】の提出を求めるものとする。
第30条第3項 審理員は、審査請求人から反論書の提出があったときはこれを参加人及び処分庁等に、参加人から【ウ:意見書】の提出があったときはこれを審査請求人及び処分庁等に、それぞれ送付しなければならない。
第32条第1項 審査請求人又は参加人は、【エ:証拠書類】又は証拠物を提出することができる。
よって、2が正解となる。
5肢択一式に限らず、多肢選択式でも条文の穴埋めは定番です。
日頃からの条文読み込みが重要になりますが、穴埋め問題を意識した対策も必須です。
大原のトレーニング問題集には、条文の穴埋め問題を多数掲載しております。
次の文章は、女性について6か月の再婚禁止期間を定める民法733条1項の規定に関するある最高裁判所判決の一節である。この文章の趣旨と適合しないものはどれか。
以上のような立法の経緯及び嫡出親子関係等に関する民法の規定中における本件規定の位置付けからすると、本件規定の立法目的は、女性の再婚後に生まれた子につき父性の推定の重複を回避し、もって父子関係をめぐる紛争の発生を未然に防ぐことにあると解するのが相当で…、父子関係が早期に明確となることの重要性に鑑みると、このような立法目的には合理性を認めることができる。(略)
夫婦間の子が嫡出子となることは婚姻による重要な効果であるところ、嫡出子について出産の時期を起点とする明確で画一的な基準から父性を推定し、父子関係を早期に定めて子の身分関係の法的安定を図る仕組みが設けられた趣旨に鑑みれば、父性の推定の重複を避けるため上記の100日について一律に女性の再婚を制約することは、婚姻及び家族に関する事項について国会に認められる合理的な立法裁量の範囲を超えるものではなく、上記立法目的との関連において合理性を有するものということができる。
よって、本件規定のうち100日の再婚禁止期間を設ける部分は、憲法14条1項にも、憲法24条2項にも違反するものではない。(略)
正解5
憲法において、判決文の一節を読み込ませ、その文章の趣旨を問う問題が出題されるようになりました。
この問題を攻略するためには、判決文を読み慣れていることが必須です。
大原のテキストでは、判決文を多く掲載するようにしていますので、上記問題の対策もバッチリです。
大原は、さまざまな資格を取り扱う一発合格主義のスクールで、行政書士試験の合格者も多数輩出しています。
大原では、行政書士試験の合格ノウハウを知り尽くした講師陣による講義を受けられます。受験生一人ひとりにきめ細かい指導を行ない、間違った箇所もしっかりと理解できるまでサポートします。
講義は大変好評で「大変分かりやすい」「分かりやすい」と答えた生徒は、89.4%にのぼります。経験豊富な講師陣だからこそできる講義は、大原の魅力の1つでしょう。
体験入学も随時行なっているので、実際の講義を体感してみてはいかがでしょうか。
大原では、経験豊富な講師陣によって毎年改定されたテキストを使用しています。法改正にもすぐに対応し、最新情報をしっかりと反映させています。
行政書士試験の出題分野は非常に広範囲ですが、大原のテキストは合格に必要な情報を厳選して詰め込んでいるので、効率的な学習が可能です。
また、無理なく短期間で合格を実現するカリキュラムも用意しています。社会人や学生などの忙しい方でも無理なく学習を進められるので、安心して取り組めるでしょう。
スクールに通っていると、どうしても講義の日に都合がつかないこともあるでしょう。そういったときでも、大原なら心配ありません。
大原では「合格Web」というアプリを用意しています。スマホやタブレットでも講義を視聴できるので、時間や場所を選ばずに学習を進められます。
アプリ上の講義はダウンロードできるので、オフラインでも学習が可能です。
大原講師陣は、日々自身の講義を磨き上げております。分かりやすさはもちろんのこと、合格までの最短ルートをご提供いたします。
今回は、行政書士試験に合格するための過去問の活用方法や、選び方を解説しました。
行政書士試験は範囲が広いため、学習計画をしっかり立てて準備することが大切です。過去問を効率的に活用して学習を進めてみてください。
法律に関する知識がまったくないと、どこから勉強して良いか迷ってしまうこともあるでしょう。そういった場合は、効率よく学習を進められるスクールに通うのがおすすめです。
大原では、最新情報に対応したテキストと合格ノウハウを知り尽くした講師陣が、一発合格を目指す方を全力でサポートします。体験入学や説明会を随時開催しているので、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。
大原の講師が徹底解説!
資格の講座以外の学習スタイル
大原学園グループでは、この他にも資格を取得できる学習スタイルをご用意しています。