行政書士は、国家資格のなかでも難関とされる資格の一つです。
合格率は例年10%前後とかなり低めではありますが、受験資格がないことや合格基準が明確であることなどから、法律を学んだことのない方でも挑戦しやすい資格といえます。
試験合格を目指すうえで大切なのは、広い試験範囲全体をくまなく学習するのではなく、ポイントを絞って効率良く学習を進めることです。そのために、まずは試験の難易度や概要を知るところから始めましょう。
この記事では行政書士試験の難易度や、合格のための戦略などを詳しく解説していきます。ぜひこの記事を読んで、行政書士試験合格を目指しましょう。
皆さん、こんにちは。資格の大原 行政書士講座の持田です。
合格率10%前後と聞くと、受験を躊躇してしまうかもしれませんが、やるべきことをしっかりやれば突破できる試験です。そんな行政書士試験合格のための戦略をお伝えします!
行政書士を目指すなら、まずは、行政書士試験の難易度と国家試験の概要を知っておきましょう。
行政書士試験の合格率は例年10%前後で推移しており、令和2年度10.7%、令和元年度11.5%、平成30年度12.7%となっています。
行政書士は合格率の低い難関資格ではありますが、法律系国家資格のなかでは比較的取得が簡単なため、法律系の入門的な資格であるといえるでしょう。
行政書士以外の法律系国家資格の合格率を見てみると、弁護士39.2%、司法書士5.2%、税理士20.3%、弁理士9.7%となっています。
一見すると、弁護士や税理士のほうが行政書士よりも合格率が高いため、行政書士試験のほうが難しいのではと思うかもしれません。しかし、合格率は受験者層によっても変化するため、一概に合格率が低い試験のほうが難しいとはいえないのです。
行政書士の場合、試験に受験資格がないため、10代から60代まで幅広い年代が受験しており、受験生のなかには法律を専門的に学んだことがない方もいます。
一方で、弁護士になるために司法試験を受験するには、法科大学院を卒業するか、難易度の高い司法試験予備試験に合格する必要があります。そのため、弁護士は行政書士よりも難関資格でありながら試験合格率が高くなっているのです。
このように、合格率は必ずしも難易度と一致しているわけではないため、行政書士の合格率が低いからといって、あまり身構える必要はありません。
行政書士試験はたしかに難易度の高い試験ですが、試験の特徴を理解して正しく対策すれば、法律を学んだことがない方でも十分に合格を狙えるでしょう。
行政書士試験は年に1回、11月の第2日曜日に実施されており、年齢や学歴、国籍などを問わず誰でも受験できます。
試験は法令科目と基礎知識科目に分かれ、法令科目では行政法や民法などの法律の知識が、基礎知識科目では政治・経済・社会や文章理解などの一般的な知識が問われます。
合格するためには、下記3つの基準をすべて満たさなければなりません。
1. 法令科目で計244点のうち122点以上の得点
2. 基礎知識科目で計56点のうち24点以上の得点
3. 試験全体の計300点のうち180点以上の得点
法令科目と基礎知識科目それぞれに合格基準があるため、どちらかの科目に力を入れていると、もう一方の合格基準を満たせない可能性があります。最低限、合格基準をクリアできるようにしておきましょう。
ちなみに、令和5年度の行政書士試験合格者平均点は、197点でした。試験合格を目指すなら、余裕を持って70%程度の得点率を目標にしましょう。
なお、行政書士試験の詳細な情報は一般財団法人行政書士試験研究センターに詳しく掲載されています。最新の試験情報を確認するためにも、一度目を通しておきましょう。
行政書士試験は誰でも受験でき、合格基準が明確なため対策をしやすいことが特徴です。ポイントを押さえて勉強していけば、法律を学んだことがない方でも十分に合格を目指せるでしょう。
ただし、対策がしやすいといっても難関試験には違いないので、やみくもに勉強しても合格はできません。
法律を学んだことがない方は、勉強時間をしっかりと確保し、効率的な勉強を心がけることが大切です。
試験合格のカギを握るのが「メリハリ」です。配点や出題形式に基づく科目ごとのメリハリ、科目の中の分野ごとのメリハリなどが重要になります。私も講義では、受講生が理解しやすいよう、常にメリハリを意識しています。
ここからは、試験の難易度を踏まえて、行政書士試験の具体的な勉強法について解説していきます。
勉強の開始時期や必要な勉強時間はあくまで一般論なので、自分の学習レベルや生活スタイルと照らし合わせて判断するようにしてください。
試験合格に必要な勉強時間は、500~1,000時間といわれており、半年から1年ほどかけて試験対策をするのが一般的です。
ただし、必要な勉強時間は法律の予備知識の有無により大きく変わります。
法令科目の配点は試験全体の7割以上を占めており、法律の勉強にかなりの時間を割くことになるでしょう。そのため、法律に関する予備知識があるかどうかは、必要な勉強時間に大きな影響を与えるのです。
また、勉強の開始時期は1日に確保できる勉強時間によって変わります。
1日に確保できる勉強時間が短ければ短いほど、学習期間を長く取らなければなりません。仮に、1,000時間の勉強時間を1年で確保しようとすると1日2.7時間、半年の場合だと1日5.5時間勉強する必要があります。
ここで示した勉強時間はあくまで目安ですが、できるだけ早めに試験対策を始めることをおすすめします。
行政書士試験は受験資格がないため、社会人、学生、子育てをしている方など、さまざまな立場の方が試験取得を目指しています。
上記の勉強時間を確保するには、それぞれの生活スタイルに合わせてスケジュールを組む必要がありますが、特に社会人にとって、勉強時間の確保は一番の課題かもしれません。
勉強期間は長期にわたるため、仕事とプライベートの間に勉強時間を確保しつづけるのはとても大変です。スケジュール管理を徹底しつつ、勉強を続けられる環境を整え、絶対に合格するという意識を持って勉強に取り組みましょう。
限られた時間の中で勉強をする社会人の方にとって重要なのが、スキマ時間の活用です。通勤時間、休憩時間、寝る前などが勉強時間になります。ご自身の1日の流れを思い浮かべ、勉強時間を見つけましょう。
行政書士試験は試験範囲が広いため、やみくもに学習していても、合格にはなかなかたどり着けないでしょう。試験に合格するには、ポイントを押さえた戦略的な学習が必要です。
ここで解説する4つの戦略をもとに、試験合格を目指してください。
法令科目は行政法・民法・憲法・商法・基礎法学の5科目からなり、計244点のうち122点以上の得点で合格基準をクリアできます。
法令科目の勉強のポイントは、「行政法」と「民法」を重点的に勉強することです。なぜなら、行政法の配点は112点、民法の配点は76点と非常に高く、行政法と民法の得点だけで法令科目中の77%、試験全体の63%を占めているからです。
その他の憲法・商法・基礎法学は、基本的な問題を取りこぼさないことを意識し、行政法と民法を重点的に勉強しておきましょう。
基礎知識科目は、一般知識、行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令、情報通信・個人情報保護、文章理解からなり、合格基準は計56点のうち24点以上の得点となっています。
試験範囲が広い割に、配点の少ないことが基礎知識科目の特徴です。高得点を取ろうと思うと、膨大な勉強時間が必要になるでしょう。
そのため、基礎知識科目では満点を目指さず、合格基準となる24点以上(14問中6問以上)の得点を目標にすることがポイントです。基礎知識科目に力を入れすぎて、配点の高い法令科目の勉強時間を減らさないようにしましょう。
試験に合格するためには、過去問を活用した学習が欠かせません。
過去問での学習には、試験の傾向や出題形式を知れる、知識の定着具合を確認して足りない知識を洗い出せる、といったメリットがあります。
試験の傾向を知り、知識を確実に定着させるためにも、5~10年分の過去問を繰り返し解いておくとよいでしょう。
模擬試験は本試験に向けた貴重な練習機会であり、自分の実力を確認するだけでなく、問題を解く時間配分も確認できます。
試験の予想問題を自宅で解くこともできますが、やはり本番さながらの雰囲気で試験ができる模擬試験を、一度受けておくことがおすすめです。
行政書士の模擬試験は、各資格スクールで実施されています。実施されている模擬試験の日程を確認し、勉強のスケジュールに入れておきましょう。
多くの科目を学習しなければなりませんので、スケジュール管理も重要になってきます。いつ何をやるのか、しっかり計画を立てましょう。
試験合格のための勉強法には、独学・通信講座・資格スクールの3つがあります。ここでは、それぞれのメリットとデメリットを解説します。
通信講座のメリットは、大きく分けて以下の2点です。
行政書士試験対策として、通信講座を利用することもできます。通信講座は独学よりも費用はかかってしまいますが、テキストを使って自宅で学習するため、資格スクールよりも費用を抑えられる点が特徴です。
また、通信講座を提供する会社によっては、スマートフォンを使ってスキマ時間に勉強する方法も選択でき、効率良く学習を進められます。
ただし、通信講座は独学と同じく、学習進度を自分で調整しなければならず、モチベーションの維持が課題です。通信講座を利用していたのにテキストを十分に活用できず、お金が無駄になってしまうということがないよう、スケジュール管理を徹底しておきましょう。
通信講座は、勉強を効率化したいが、スクールに通うほどお金や時間をかけたくないという方に向いています。
スクールのメリットは、大きく分けて以下の2点です。
行政書士試験合格の一番の近道は、スクールを利用することでしょう。
スクールには、行政書士試験に合格するためのノウハウが蓄積されています。そのノウハウをもとに作られたカリキュラムやテキストを使用すれば、独学や通信講座よりも効率的に学習を進められるのです。
スクールの多くには、行政書士試験対策専門の講師がいるため、分からないところがあればすぐに疑問を解決できます。また、行政書士を目指す仲間とも出会えるため、学習のモチベーションが下がりにくくなるでしょう。
ただし、講義やテキストなどの充実したサポートを受けられる分、資格スクールは独学や通信講座よりもお金がかかってしまいます。費用は資格スクールによって異なりますが、大手の場合だと20万円程度がかかる場合も少なくありません。
また、資格スクールによっては、講座開設時間が生活スケジュールに合わず、受講できないこともあります。
スクールを利用する場合は複数のスクールを比較し、自分の生活スタイルや予算に合ったところを選ぶようにしましょう。
独学のメリットは、大きく分けて以下の2点です。
行政書士のテキストや六法全書は書店で販売されており、これらを購入して勉強すれば、学習費用は3万円程度で済みます。
その一方で、参考書選びやスケジュール管理をすべて自分で行なう必要があるため、勉強中に不明点があっても、自分で調べて解決しなければなりません。
あらかじめテキストが決まっていたり、疑問点を講師などに質問したりできる通信講座や資格スクールと比べると、どうしても勉強の効率は下がってしまいます。また、長い勉強期間中、自分の意志だけでモチベーションを維持するのも難しいでしょう。
独学は、自分でスケジュールを立てて勉強ができる方や、自分で問題を解決できる方に適しています。
スクールを利用すれば、教材選定や試験分析等に時間を割くことなく、知識を押さえることに集中できます。限られた時間の中で合格を勝ち取るためにも、スクール利用は非常におすすめです。
大原では行政書士の専用講座・テキスト・アプリなど、受講生の合格を全面的にサポートできる体制を整えています。
パススルは、学習のすべてがスマホ・タブレットなどのデバイスで完結できます。
場所や時間を選ばず、自分の都合にあわせて学習できる新しい講座です。
大原には、経験豊富な講師が多数在籍しています。この講師陣が試験の分析を行ない、毎年改訂しているのが大原のテキストです。
このテキストには、長年蓄積されてきた合格ノウハウが詰まっているうえ、法改正にも素早く対応しているため、テキストだけでも合格に必要な知識を網羅できるでしょう。
行政書士は合格率10%程度の難関資格です。しかし、合格基準や配点が分かりやすいため試験対策がしやすく、法律を学んだことがない方でも合格を目指せるでしょう。
確実に合格するためには、試験のポイントを押さえたうえでスケジュールをしっかりと立て、効率良く学習を進めることが大切です。
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