宅地建物取引士(以下、宅建士)を目指すにあたり、気になるのが試験の合格率や難易度です。「宅建士の試験は難しいのではないか」と不安を感じている方もいるかと思います。
宅建士の合格率は16%前後と、決して高くはありません。とはいえ、行政書士や司法書士に比べると合格率は高く、不動産や法律の知識がない方でも、勉強時間を確保し、効率的に学ぶことで合格を目指せる資格です。
今回は宅建士の合格率や、宅建士の試験が難しいといわれる理由を解説します。合格に必要とされる勉強時間の目安や、勉強法も紹介しますので、参考にしていただければと思います。
資格の大原の分かりやすい講義とは、「説明内容が理解できる」+「問題が解ける」講義のことを指します。講義を聴いて説明内容を理解したとしても、問題が解けないのでは合格できません。講義内では、洗練されたテキスト・トレーニング問題集を活用しながらインプット・アウトプットを並行し、「合格に必要な知識」を一つひとつ確実に身につけていきます。合格まで頑張りましょう!
不動産取引の国家資格である宅建士の合格率は、おおむね16%前後となっています。まずは、過去の合格率や正答率について詳しく見ていきましょう。
平成26年度から令和5年度までの過去10年間における宅建士試験の合格率は、13.1~17.9%でした。つまり、宅建士試験に挑戦する方のうち合格できるのは5人に1人以下で、試験対策なしでの合格は難しい試験といえるでしょう。
過去10年で最も合格率が高かったのは、令和3年度・10月実施分、低かったのは令和2年度12月実施分となっています。
ちなみに、宅建士の試験が実施されるのは原則として年に1回ですが、令和2・3年度に関してはコロナ禍で会場が不足したことから、10月と12月の2回に分けて実施されています。
合格率 | 合格者数 | 受験者数 | 合格基準点 | |
---|---|---|---|---|
令和5年度 | 17.2% | 40,025 | 233,276 | 36点 |
令和4年度 | 17.0% | 38,525 | 226,048 | 36点 |
令和3年度12月実施分 | 15.6% | 3,892 | 24,965 | 34点 |
令和3年度10月実施分 | 17.9% | 37,579 | 209,749 | 34点 |
令和2年度12月実施分 | 13.1% | 4,610 | 35,261 | 36点 |
令和2年度10月実施分 | 17.6% | 29,728 | 168,989 | 38点 |
令和元年度 | 17.0% | 37,481 | 220,797 | 35点 |
平成30年度 | 15.6% | 33,360 | 213,993 | 37点 |
平成29年度 | 15.6% | 32,644 | 209,354 | 35点 |
平成28年度 | 15.4% | 30,589 | 198,463 | 35点 |
平成27年度 | 15.4% | 30,028 | 194,926 | 31点 |
平成26年度 | 17.5% | 33,670 | 192,029 | 32点 |
50点満点で行なわれる宅建士試験の、過去10年の合格基準点は31~38点でした。平均すると35点前後、つまり正答率70%を超えられるかが合格の目安となります。
宅建士試験の合格点は、問題の難易度や受験者の正答率によって、毎回変動しています。以前は31点や32点で合格することもありましたが、合格点は年々高くなる傾向にあります。令和2年の10月に実施された試験では、合格基準点が38点と10年間で最も高い点数でした。
ここ10年の合格基準点から判断すると、試験で40点が取れれば合格確実圏内といえます。
宅建士の合格率だけでは難易度のイメージがつかみにくいため、ほかの資格とも比較してみましょう。
宅建士と同じく、法律系の国家資格である行政書士の合格率は8~15%、超難関といわれる司法書士の合格率は、4~5%となっています。
宅建士の受験者にも人気がある、国家資格のファイナンシャル・プランニング技能士(以下、FP)の場合、2級の合格率は約40%です。FPは金融や不動産、ローンなど資金面での幅広い知識が問われる資格で、宅建士の試験範囲と重複する分野もあり、宅建士の受験者にも人気の資格です。
合格率で比較すると、宅建士は国家資格のなかでは挑戦しやすい試験といえます。
とはいえ、宅建士には不動産取引の専門家として、法律や不動産の細かい知識まで求められます。試験に向けて日々勉強し、知識を積み重ねておかなければ、合格が難しいことには違いありません。
合格率 | 受験者数 | |
---|---|---|
宅建士 | 13.1~17.9% | 約20万人 |
行政書士 | 8~15% | 約4~5万人 |
司法書士 | 4~5% | 約1万人 |
ファイナンシャルプランナー2級 | 約40% | 約4万人 |
宅建士資格の人気の理由として「誰でも受験ができ、受験しやすい試験形式」であることが挙げられます。実は、不動産業界だけでなく、一般企業でも宅建士知識は有用で幅広く活用できます。初めて法律を学ばれる方の入門資格にも最適です。
宅建士試験の合格率がおおむね16%前後と高くはないことには、次の3つの理由があるといわれています。
宅建士を受験する際、学歴や年齢などの条件は設けられていません。
合格後に宅建士として資格登録するには一定の要件があります。ただし、受験は誰でも申し込みが可能であり、過去には12歳で挑戦し、合格した方もいます。受験手数料も8,200円と、高額ではありません。
宅建士は誰もが受験できる開かれた試験である一方、受験者のなかには十分な勉強をせずに試験日を迎える方も一定数いるであろうと考えられます。
宅建士の受験者には、本人の意思に関係なく、勤務先の意向で受験する方も含まれています。
不動産の取引を行なう宅建業者には、一定数の宅建士を設置する義務が定められています。さらに、宅建士試験では不動産業に携わる際にベースとなる知識が問われるため、社員に宅建士の取得を奨励している企業もあるのです。
なかには、宅建士試験の受験料の負担や、合格時に祝い金を出してくれる企業も存在します。
しかし、企業がいくら受験を後押ししても、受験者本人に合格の意欲がなければ、勉強に時間を割けずに不合格という結果になるでしょう。日頃の業務に追われて、宅建士試験の対策が十分にできないというケースも考えられます。
宅建士に求められる知識が増え、試験内容が全体的に難しくなっていることも、合格率が高くはない理由として考えられます。
宅建士の前身である宅地建物取引主任者制度は、昭和32年に誕生しました。創設当時に比べると、建物取引時に必要な調査や、重要事項説明の内容、連携する関係者の増加など、不動産取引の際に必要な業務は増える一方です。
令和2年には、近年の洪水や大雨による水害を考慮し、水害ハザードマップの記載条項が重要事項説明に追加されるなど、宅建士として知っておくべき知識も増加しています。
実際、不動産取引における宅建士の役割は大きくなり、平成27年には「宅地建物取引主任者」から「宅地建物取引士」に資格の名称も変更されました。宅建士が士業となったことから、試験もより専門的な知識を求めるものに変わってきているのです。
宅建士試験は、合格率はおおむね16%前後と高くはありませんが、おおむね35問前後の正解で合格が狙えます。合格点から分かるように、出題範囲をすべて克服し、満点を狙うということは、全く必要ありません。毎年数多くの法律から幅広く50問が出題されますが、余裕を持った40問正解で合格を目指し、出題頻度の高い論点に絞って学習することが大切です。
宅建士試験の難易度や合格率の低さの理由が分かったところで、宅建士試験の概要を確認しておきましょう。
宅建士の受験に関する概要は次のとおりです。
例年7月上旬~下旬
※令和2・3年度はコロナ禍の影響のため一部会場にて、10月と12月に分けて2回実施
※令和4年度よりこれまでの7,000円から8,200円に改定
※ただし、登録講習修了者は午後1時10分~3時(1時間50分)
宅建士の試験を受けるには、試験の3ヵ月前に申し込みが必要です。コロナ禍で例外的に年に2回実施されたケースもありますが、受験の機会は年に1回であることには変わりありません。申し込みのタイミングを逃さないように気を付けましょう。
試験は全50問の四肢択一式で、大きく分けて以下3つの項目から出題されます。いずれも、宅地建物取引業に必要な知識があるかを判定するための試験内容です。
宅地建物取引業法、いわゆる宅建業法では、不動産の健全な取引を行ない、購入者を保護するためのルールや罰則が定められています。免許制度や重要事項説明、クーリングオフなど、いずれも宅建士として業務するうえで基礎となる知識です。
最も配分が高い項目で、例年50問のうち20問が宅建業法より出題されています。
宅建士の試験では、民法や借地借家法、不動産登記法などの権利関係からも出題されます。法律用語の独特な言い回しが多く、苦手意識を感じる方もいますが、法律の趣旨や背景をイメージしながら取り組むことで、理解を深められるでしょう。
例年14問がこの範囲から出題されています。
住みやすい街づくりのために、土地や建物には使途や開発行為、建物の高さなど細かい制限が設けられています。さらに、宅建士には、固定資産税や相続税など不動産にまつわる税法の知識も必要です。例年、この範囲からは16問が出題されます。
宅地建物取引業に従事している方は、登録講習を受講・修了することで、本試験にて5問が免除される制度があります。
登録講習は、国土交通大臣の登録を受けた登録講習機関にて、約2ヵ月の通信講習と2日間のスクーリングで行なわれます。受講には、宅地建物取引業に従事している証明として、従業者証明証が必要です。
登録講習の費用は、受講する機関にもよりますが2万円弱です。費用やスクーリングなどの負担はありますが、5問分免除になることで、確実に合格に近づけます。現在、宅地建物取引業に従事しているのであれば、積極的に活用することをおすすめします。
ただし、免除を受けるには宅建士試験の申し込み前、原則、インターネット申込の場合は6月中旬まで(郵送は6月末日まで)に登録講習修了者証明書の交付を受けておく必要があります。受講のスケジュールには注意しましょう。
なお、試験の最新情報は必ず公式サイトで確認しましょう。
https://www.retio.or.jp/exam/takken_shiken.html
宅地建物取引業に従事している方は、宅建士試験で5問免除となる、試験の免除制度「登録講習」が利用できます。「登録講習」を受講・修了すれば、この宅建士試験で5問免除が利用でき、合格の可能性がより高まります。資格の大原では、「登録講習」実施機関として国土交通省の登録を受け、「登録講習」を開講しております。
宅建士試験の合格率を上げたい方は、試験までに十分な時間を確保して勉強に取り組む必要があります。
個人差はありますが、宅建士の合格に必要な勉強時間は200~400時間といわれています。
すでに不動産取引や法律の知識をお持ちの方であれば、100時間程度の勉強で済むこともあるでしょう。一方、知識を吸収するのに時間がかかる場合、500時間以上かけて試験に挑む方もいらっしゃいます。
法律の知識や不動産取引の経験がない方、試験勉強に慣れていない方は、余裕を持った勉強時間の確保をおすすめします。
宅地建物取引業に従事した経験のある方や、短期間で集中して学習時間を確保できる方であれば、宅建士試験の申し込み時期、つまり試験の3ヵ月前からでも合格を狙うことが可能です。
とはいえ、基礎から着実に知識を身につけていきたいのであれば、受験予定の春には勉強をスタートして、余裕を持ってスケジュールを組んでおきたいところです。仮に4月から受験勉強を始めた場合、一日2時間のペースで勉強を続ければ、試験日までに400時間の勉強時間が確保できるでしょう。
法律や不動産知識がない方や、仕事や家事、学校でまとまった勉強時間が確保できない方は、受験前年の12月頃から勉強を始めていく方法もあります。
いずれにせよ、自分がどれだけ時間を避けるのか、必要な勉強時間はどの程度なのかを見極めて、実現可能な学習計画を立てることが重要です。
宅建士の合格を目指すには、次の3つの勉強法があります。メリット・デメリットを知ったうえで、自分に合う勉強法を選びましょう。
宅建士には受験資格はないため、独学で挑戦することが可能です。独学であれば、自分の好きなペースで勉強を進められるうえ、コストも抑えられるでしょう。
ただし、教材選びや学習計画など、勉強にまつわるすべてを自分で決めて、準備しなければなりません。勉強以外に手間や時間がかかることが多く、時間に余裕がなければ難しいでしょう。
効率よく自宅で勉強を進めたい方には、通信講座という方法があります。
多くの通信講座では、合格に必要なカリキュラムが一式用意されているため、独学のように教材選びや学習計画などの勉強以外の手間や時間がかかることなく、勉強だけに集中できる環境を整えることが可能です。ライフスタイルに合わせて、自分の好きな時間に勉強できる点も魅力です。
ただし、通信講座によっては教材の送付のみでフォローやサポートが少なく、試験へのモチベーションの維持が難しいと感じる方もいらっしゃいます。通信講座を選ぶ際は、教材はもちろん受講時のサポート体制も確認しておきましょう。
時間や資金に余裕がある方は、学校(スクール)に通って講義を受ける方法もあります。講師から直接学べて、疑問点もすぐに質問できるだけではなく、講師や周りの受験生から触発を受けながら受験に挑めます。
着実に力を付けられるスクール通学ですが、講義の時間が決まっているため時間の融通が利きにくく、教室が近くになく通えない方もいるでしょう。
その場合、自宅で配信講義を受講できる学校を選ぶという選択肢があります。講義の見逃し配信が用意されている学校を選べば、時間が合わず受講できないという心配もありません。
宅建士試験の合格に向けて着実に力を付けたい方は、合格までのサポートが充実している資格の大原で学びましょう。
資格の大原では、宅建士試験の合格確実圏内といわれる40問正解のために、過去の本試験問題を分析し、重要項目に的を絞って作成されたオリジナル教材が用意されています。
勉強の負担を軽くするために、テキストでは合格必須の厳選された知識が、分かりやすくまとめられています。トレーニング問題集は、過去の本試験問題を項目別に分類した復習に最適なアウトプット教材であり、テキストの該当ページ数も掲載されているので、関連付けて学ぶことが可能です。
カリキュラムは、入門から基礎、直前対策と段階的に組まれているため、法律や不動産の知識がない方でも無理なく理解を深められます。
宅建士試験の内容を知り尽くした講師陣も、資格の大原の魅力です。実際に、資格の大原の宅建士講座を受講した方のうち、89%が「講義が分かりやすかった」と答えています。
資格の大原は、丁寧で分かりやすい講義はもちろん、学習のつまずきや疑問点に親身に対応してくれるサポート体制が充実しています。
過去の合格者からは、講師の存在が励みになったという声も寄せられており、1人で勉強を続けられるか不安な方には、講師の存在が大きな支えとなるでしょう。
資格の大原では教室通学はもちろん、映像通学やWebライブ、Web通信、資料通信など複数の受講スタイルが用意されています。通学講座(教室・映像)とWebライブではWeb講義が標準装備され、パソコンやスマートフォン、タブレットなどで、24時間いつでもどこでも受講できます。
コースの開始時期も豊富に用意されています。受験前年の12月からスタートするコースはもちろん、短期学習者向けのコースや直前対策講座までそろっているため、今必要なコースが必ず見つかるでしょう。
資格の大原では、受験生の学習開始時期や生活スタイルに適したコースや受講スタイルをお選びいただけるよう、豊富な選択肢をご用意しております。自分にピッタリのコース・受講スタイルが決まったら、あとは資格の大原で学習スタートです。合格までしっかりサポートいたします。
不動産取引の専門家である宅建士試験の合格率は、16%前後です。決して高い合格率ではありませんが、自分に合った勉強法を選び、計画的に知識を身につけていくことで、一発合格も目指せます。
宅建士に合格するには、200~400時間の勉強時間が必要だといわれています。独学で宅建士に挑戦することも可能ですが、学習計画を自分で立てて、モチベーションを維持するのは簡単ではありません。
初めて法律や不動産を学ぶ方、1人での学習が不安な方は、より効率的に学べる通信講座やスクール通学を検討しましょう。
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