法務省:
国民生活を支える「縁の下の力持ち」として

山川 貴都(ヤマカワ タカト)さん

山川 貴都(ヤマカワ タカト)さん

法務省 民事局総務課 係長

■入省年
2016年

■入省後の略歴と業務内容

2016年 法務省入省 民事局民事第二課/不動産登記制度に係る照会対応など(相続登記の促進、法定相続情報証明制度の立案に携わり、関係各所への説明・調整業務を担いました。)

2017年 東京法務局世田谷出張所/不動産登記に係る事件処理・相談対応など(登記事件の処理に加え、士業者から一般の方まで、幅広く登記に関する照会・相談対応を行いました。)

2018年 人権擁護局総務課/局内事務総括・国会対応など(局の窓口として、局内の業務が円滑に遂行ができるよう、官房部門と局内課間の調整、国会対応に奔走しました。)

2019年 衆議院法制局/議員立法の立案補佐、各種法令に関する調査・照会対応など(国会議員の先生方の政策立案の知恵袋として、幅広い法令の照会対応・議員立法の立案作業を行いました。)

2021年 民事局商事課/電子署名法、債権・動産譲渡登記制度の運用など(電子契約サービスについて法令上の位置付けを明確化するなど、コロナ禍で対面でのやりとりの見直しが急速に進む中で、時代に合わせた制度の在り方を検討しました。)

2023年 民事局民事第一課/戸籍制度の運用など(全国民の戸籍に氏名のフリガナを付すための法改正の対応や、出生届をオンラインでできるようにするための制度の整備、性同一性障害特例法の違憲判決対応を行いました。)

2025年 民事局総務課/公証人制度の運用など(公正証書のデジタル化に係る法改正の対応を行っています。)

※職務(役職)は取材時のものとなります。

Q1:国家総合職を目指した理由および入省先を選択した理由を教えてください。

私は、仕事をするということは、当然のことですが、生活するためのお金を得るための一つの手段でありながら、人生において、何かを成し遂げることのできる自己実現の場の一つだとも捉えており、就職先を選ぶに当たっては、自分の生涯を通じて挑戦をする価値のある仕事に就きたいと考えていました。

国家公務員総合職は、政策の企画・立案、その実行といった国家の行政を主体的に担うそのスケールの大きさや、いずれの仕事も一貫して、人のために働くことができることが魅力で、これこそ自分の生涯を通じて挑戦をする価値のある仕事だと考え、志望しました。

法務省は、全ての人の権利が当たり前のように守られる社会を追及することをミッションとしており、社会経済情勢は時々刻々と変化していきますが、そんな中でも人と向き合い続けることをその仕事の本質としている点に魅力を感じ、法務省を志望しました。

Q2:入省先の職場の魅力はなんですか?

法務省が担っている業務は、登記や戸籍など、皆さんの生活にはあまり馴染みがないものかもしれませんが、例えば、戸籍は親族関係を証明する唯一の公的な証明ですので、相続手続などの親族関係の確認が必要な手続はこの制度なしでは難しくなってしまいます。諸外国に目を転じますと、日本の戸籍のような、身分関係に関する情報を高い確度で証明できる仕組みのある国は少なく、紛争発生時には裁判手続などの事後的なアプロ―チしか採り得ない国もある中で、誰もが高い信頼性を持った身分関係の証明ができるということは決して当たり前のことではありません。

各種登記制度もそうですが、法務省の所管する制度は人々の社会経済生活の基盤をなしています。どのような政策にも、その根本には法務省の所管している制度があり、正に「縁の下の力持ち」を地で行く組織です。

Q3:これまでの業務の中で印象に残っているエピソードを教えてください。

全国民の戸籍上の氏名にフリガナを付す法改正の施行を担当した経験が印象深いです。

意外に思われる方も多いかもしれませんが、つい最近まで、私たちの戸籍上の氏名にはフリガナがありませんでした。

他方、行政機関等が保有する氏名の情報の多くは漢字で表記されており、同じ漢字でも様々な字体があるため、データベース化の作業が複雑で、特定の者の検索に時間を要するなどの問題が指摘されていました。

そこで、氏名情報としてそのフリガナが使用できるように、フリガナを戸籍に記録することになったのですが、全国民から、極力手間がかからないようフリガナを登録いただくにはどうしたらよいかや、フリガナの付け方のルールを、届出の処理をする市区町村で混乱が生じないように運用するためにはどうしたらよいかなどを検討し、実行に移すことができたことは印象深い経験です。

Q4:今後取り組みたい業務はどんなことですか?

これまで着実に紡ぎ、築き上げてきたものであっても、急速に変化する社会経済情勢に応じて不断の見直しを迫られている状況にあることは、民間企業でも公務員であっても共通していると思いますが、そのような中にあっても、社会経済生活の基盤を担う法務省には、より大局的な見地から趨勢を見極めることが求められていると感じています。

法務省が所管する制度には、明治時代から脈々と続いている制度もあり、時代の要請に応じて少しずつその在り方を変えてきています。そんな中でも、戸籍上の氏名にフリガナを付す営みや、所有者不明土地問題への各種対応(相続登記の義務化など)など、社会経済情勢に応じて積極的に「打って出る」施策が増えており、私も、これからも「打って出る」ような施策に積極的に関与したいと思っています。

Q5:国家総合職を目指す受験生へのメッセージをお願いします。

民間企業との大きな違いは、月並みですが、ある特定の立場・属性の方や利益のためではなく、あくまでも全国民のために職務を行う点にあると思います。

様々な立場や状況にある人がいる中で、その方々の声に丁寧に耳を傾け、全ての方々のために業務を進めていくことは、時として困難を感じることもありますが、国家公務員にしか担えない仕事だと思っており、そこに、国家公務員としてこの国を支えていく醍醐味があると思っています。

志ある皆さんと、一緒に仕事をすることができることを楽しみにしています。