小林 史(コバヤシ フヒト)さん
法務省 矯正局成人矯正課 係長
■入省年
2017年
■入省後の略歴と業務内容
2017年 法務省入省 矯正局成人矯正課/ 刑事施設の保安警備に係る取りまとめ
2018年 府中刑務所 主任矯正処遇官/ 受刑者への指導・不服申立てへの対応
2020年 保護局更生保護振興課/ 刑務所出所者等への住居支援に関する企画・立案
2021年 警察庁刑事局組織犯罪対策部/ 外国捜査機関等との連携に係る総合調整
2023年 矯正局成人矯正課(現職)/ 官民協働で運営する刑事施設に関する企画・立案
Q1:国家総合職を目指した理由および入省先を選択した理由を教えてください。
小さい頃から刑事ドラマをよく見ていました。もちろん刑事も魅力的に感じたのですが、なにより様々な事情を抱える犯人側に興味を持つようになりました。
そういった経緯もあり、大学では法学部として法律を学びつつ、刑事政策のゼミに所属して刑務所等を見学したことが国家公務員を目指すようになった大きなきっかけです。
入省先については、説明会等で職員の話を聞くことが大切だと思います。皆さんも就職活動を考えていく中で自己分析をやっていると思いますが、自分の強みはなんだろうと考えたときに、自分の場合は人と話すことや学生時代に部活をみんなで頑張ったことなどが浮かびました。
この強みを生かすことができるのではないかと、法務省職員の話を聞いて感じたことが法務省を選んだ理由です。
Q2:入省先の職場の魅力はなんですか?
若手(入省2年目)のうちに、刑事施設等の幹部職員を目指して全国から集められた方々と一緒に長期間の研修を受けられることが大きな魅力の一つです。採用の同期だけでなく研修の同期として、一緒に法務行政を前に進めていく仲間が日本全国にできることは、公務員としてだけでなく、一人の社会人としても貴重な人脈・財産になると思います。
また、法務省の業務は社会生活の基礎に関係する部分が多く、内容も多岐にわたります。おそらく、皆さんの想像以上に広くて深い世界だと思いますが、担当業務が数年で変わる国家総合職としては、それぞれの配属先で新たに人脈を広げられますし、毎回新鮮な気持ちで業務に取り組めるところも魅力です。
Q3:これまでの業務の中で印象に残っているエピソードを教えてください。
法務省の魅力の一つでもある現場での2年間の勤務が一番印象に残っています。印象的なエピソードが色々あるので、ぜひ入省して直接私に聞いていただければと思いますが、一つご紹介します。
所内で規律違反行為があった時に、警察のように調査を行って容疑者から事情聴取をするという仕事をしていたときのエピソードです。
担当の受刑者が外国語で本に落書きをしたという事案で、そこまで大きな事案ではないと思っていたのですが、外国語の先生や色々な方々と一緒に調査を進めたところ、なんと複数人が関与した非常に大きな事案であることが判明しました。担当外の受刑者も関与していたなど、事案解明・再発防止策の検討に至るまで非常に苦労しました。
とても一人では対処することはできず、チームプレイの大切さを学んだエピソードです。
Q4:今後取り組みたい業務はどんなことですか?
最近のトピックとして懲役刑から拘禁刑へというのがあり、受刑者それぞれの個性・特性に応じて必要な対応を行っていくことが求められています。
現場勤務でもチームプレイの大切さを学んだところですが、受刑者という一筋縄ではいかない者に対しては、より様々な視点からのアプローチが必要になると考えています。
我々のような国家公務員だけでは限界があり、地方自治体や民間企業などを巻き込みどんどん新しいことにチャレンジしていく体制を整えることも重要です。
現在の担当業務として、実際に地元自治体・民間企業等と連携し、地方創生・再犯防止に資するような取組を進めていますが、法務省・刑事施設の存在が地方自治体・民間企業それぞれの立場からメリットとして感じていただけるように、こういった取組をもっと全国に広げていければと思っています。
Q5:国家総合職を目指す受験生へのメッセージをお願いします。
国家公務員といえば、やりがいはないのに残業が多いといったマイナスイメージもあって、人材不足が指摘されています。
一方で、日本全体では人口減少といった大きな課題を抱え、消滅可能性自治体といったキーワードが大きく報道されていました。
これは自治体だけの課題ではなく、消滅を回避するために日本全体をどう豊かにしていくか、生き残りをかけて国家公務員も考えていく必要があると思います。
子育て政策や経済政策だけが消滅回避に有効なのではなく、「人材の再生」といった意味では再犯防止も非常に重要です。
そういった中で、法務省としても新しい取組や働き方改革にチャレンジしている最中ですので、興味がある方々はもちろん、マイナスイメージを持っている方々にもぜひ我々の話を聞きに来ていただければ嬉しいです。法務省でお待ちしています。
資格の講座以外の学習スタイル
大原学園グループでは、この他にも資格を取得できる学習スタイルをご用意しています。