外務省:
「人と人の関係」が織りなす「外交」

髙栁 啓太(タカヤナギ ケイタ)さん

髙栁 啓太(タカヤナギ ケイタ)さん

外務省 大臣官房人事課 課長補佐

■入省年
2015年

■入省後の略歴と業務内容

2015年 入省。北米局日米安全保障条約課
日米安保協力、平和安全法制、総理の真珠湾訪問等

2017年 在米国日本国大使館(在外研修)
ジョージタウン大学外交政策大学院(修士号)

2019年 在中国日本国大使館(経済部)
日中経済関係、米中経済関係、武漢退避オペレーション等

2021年 大臣官房国際報道官室
戦略的対外発信、報道対応等

2023年 経済局政策課(サミット班)
G7広島サミット成果文書、招待国・機関
大臣官房人事課
総合職採用担当、外務大臣通訳等

Q1:国家総合職を目指した理由および入省先を選択した理由を教えてください。

大学生活を通じ、日の丸を背負って世界を相手にするときが一番やりがいを感じることに気付き、外務省であれば、本省及び在外公館のどこにいてもそれができると考え、外交官を志しました。特に関心があったのは安全保障の分野です。幼少期の米国在住時に同時多発テロが起こり、一瞬にして平和が崩れ去ること、愛国心の高まりとともに戦争が簡単に始まることを目の当たりにしました。その後歴史や国際関係を勉強する中で、日本の特性及び時代の趨勢を考えたとき、この国の平和を守るのは外交であると考えました。

Q2:入省先の職場の魅力はなんですか?

めまぐるしく変化する国際情勢を見極め、その都度日本の国益を見定め、日本の歩みべき道を切り開く。このミッションのために、外務本省と世界の約230カ所に展開する在外公館の外交官一人一人が全人格をもって業務に当たり、若手のうちから、それぞれの持ち場で違いを生み出しています。そのフィールドも安全保障、経済、開発協力、地球規模課題、広報文化、国際法、インテリジェンス等、実に幅広いのが特徴です。そして数年毎に異なる国・分野に身を置く中で、それまでの考え方や世界観が揺さぶられる。「外交」は単なる「国際的な業務」という枠には収まらない魅力と挑戦に溢れる、一つの「生き方」です。

Q3:これまでの業務の中で印象に残っているエピソードを教えてください。

人事課に来る前は、G7広島サミットのシェルパチームにいました。G7メンバーの国益がぶつかる中で、日本の国益を守ると同時に議長国として成果文書をまとめるべく、連日G7メンバーとの文言交渉に当たりました。自分が考えた文言が日本案として議論の俎上に上がり、首脳の文書として世界に発表される。サミットの開幕が迫る中で、G7メンバーの 個性豊かな外交官一人一人が知恵を絞り出して、リスクを取り合って、ギリギリの交渉をまとめる。「外交は人」、これを身を以て感じた数か月間でした。

Q4:今後取り組みたい業務はどんなことですか?

世界を見ると、戦後の国際秩序は揺らぎ、多極化の様相が強まっています。日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増していますし、地球規模課題も山積したままです。これまでにも増して日本外交の主体性や創造性が求められる中、自分もその最前線で貢献できるよう、これまで経験したことのない国・地域や分野に飛び込んで、何歳になっても好奇心を失わずに学び続けたいと思います。米国と中国にもいつか戻りたいですね。

Q5:国家総合職を目指す受験生へのメッセージをお願いします。

「明日はきっと今日より良くなる。」果たしてどれだけ多くの若者がこう思えているでしょうか。私が生まれた1991年、バブル期は既に終わりを告げ湾岸危機への日本の対応は批判されていました。私はこの国、そして世界の行く末について現実的な見方をしてきましたが、悲観は全くしていません。それは外務省に入ってから出会った上司、同期、後輩、他省庁の同僚、そして他国の外交官が想像していた以上に面白い人が多いからです。世界がこれまで以上に日本に期待しています。一人でも多くの志ある学生に外交官を志してほしいです。