外務省:
日本の国益と世界の公益を結びつける「新しい時代の外交」を実践する

小畠 一真(コバタケ カズマ)さん

小畠 一真(コバタケ カズマ)さん

外務省 大臣官房 人事課課長補佐

■入省年
2017年

■入省後の略歴と業務内容

2017年 入省。国際法局国際法課 事務官
・省内の「リーガル・オフィサー」として省内外に法的助言を提供。

2019年 在ストラスブール総領事館 領事官補(在外研修)
・国立行政学院(École nationale d'Administration)国際長期課程修了
・パリ第1大学大学院(EU外交政策)修士号取得
・ストラスブール大学大学院(国際法)修士号取得

2021年 在フランス日本国大使館 二等書記官(政務部・経済部・総務部)
日仏外務・防衛閣僚会合「2+2」、日仏部隊間協力円滑化協定(RAA)にかかる事前交渉、第8回アフリカ開発会議(TICAD8)関連広報、在ヌメア領事事務所(於:ニューカレドニア)の開設等

2023年 (2月~7月)地球規模課題審議官組織 地球規模課題総括課 主査
・G7広島サミット 首脳コミュニケの文言交渉
・国連経済社会理事会理事国選挙 対策班長

2023年 (7月~)国際協力局政策課 課長補佐(政策予算班長)
・外務省ODA予算編成(省内とりまとめ、対財務省交渉、国会議員対応等)
大臣官房人事課(現職)
・国家総合職新卒採用担当等

Q1:国家総合職を目指した理由および入省先を選択した理由を教えてください。

高校1年進学時、それまで男性合唱・アカペラ一筋だった私が当時の担任の先生からの薦めを受け、始めた模擬国連の活動がきっかけです。色々な国の国連大使の役を演じながら各々の立場や主張を守り、交渉を繰り広げていくことで国際問題を多角的に捉えることを「面白い!」と感じ、こうした知的好奇心が「日本の国益を実現しながら、国際社会全体にも広く貢献できる仕事に就きたい」という信念に変わり、外交官を志すようになりました。
大学進学後は経済学を専攻し、バンカーとして働くことや経済官庁でのキャリア形成を通じて日本社会に貢献する道も選択肢として考えるようになりましたが、好奇心を持ちながら様々な分野に広く・深く携わり、日本の国益を総合的に実現できる外務省での働き方が自らの琴線に最も強く触れたことが進路の決め手でした。

Q2:入省先の職場の魅力はなんですか?

入省初日の若手事務官時代から、大使等を勤め上げ、退官するその最後の日まで学び、成長し続ける。これこそが、外交という「生き様」の最大の魅力です。
外務省は、安全保障、経済、開発協力、地球規模課題、広報文化、国際法、インテリジェンス等の幅広い政策領域を学際的な視点で学びながら広く・深く扱いながら、本省の他に世界155か国、230箇所以上に展開する在外公館で勤務し、これらの知見を存分に活かす機会があります。自らの関心や所掌に制約を課すことなく、世界を舞台に日本の国益と世界の公益を結びつけるプレーヤーとして学び続け、活躍できることは他では経験できない、またとない貴重なチャンスです。

Q3:これまでの業務の中で印象に残っているエピソードを教えてください。

国連の経済社会理事会理事国選挙が最も印象に残っているエピソードであるとともに、私の外交官人生における大きな転換点でした。
SDGs達成をはじめとした地球規模課題の解決に向けた道筋作りを任務とする経済社会理事会は、総会や安全保障理事会と並ぶ国連主要機関。2023年は3議席に対して我が国を含む5か国が立候補し、政治的・経済的な影響力を伸張する「グローバル・サウス」と呼ばれる国々と激しい選挙戦を繰り広げることになりました。国際ルール形成や国際機関の意思決定に日本が積極的に関与し、発言権や影響力を確保する観点から負けが許されないこの選挙。再選を果たした時には、国際社会に日本のプレゼンスを刻み込み、国益実現に貢献できた大きな達成感を味わいましたが、同時にグローバル・サウスが台頭することが見込まれる21世紀後半において日本の国益を守り、増大させるための「新しい時代における外交」を実行に移す必要性を痛感しました。

Q4:今後取り組みたい業務はどんなことですか?

私はこれまでに政策分野を個々のテーマとして捉え、地域を横断的に捉えながら政策を考える「機能局」での仕事を中心に担当してきたところ、いずれは国や地域を担当し、外交政策のタマを一つ一つしっかり開花させながら二国間関係や多国間関係を前線から動かす「地域局」での勤務経験も積み、自身の外交官人生に厚みを加えたいと考えています。同時に、入省時に担当した「国際法」も学び続け、国の成り立ちの根幹を占める「安全保障」にかかる業務にも中長期のテーマとして取り組んで行きたいと思っています。

Q5:国家総合職を目指す受験生へのメッセージをお願いします。

今から25年後の2050年には、全世界人口の3分の2をグローバル・サウスが占める見通しとなっています。新興国・途上国が主要国として台頭したり、私たちがこれまでに享受してきた国際秩序やその礎となる規範が挑戦にさらされたりする、国際社会が一層流動化する激動の時代。こうした状況を前に、日本という国を常に思い、その舵取りを行うことは決して容易ではありませんが、外交には国際社会における日本の立ち位置を決定する、大きな裁量とやりがいがあります。
好奇心を抱き、自身の成長を続けながら国際社会を舞台に日本の国益と世界の公益を結びつける。こうした働き方・生き方が皆さんの琴線の琴線に触れていれば、外務省の門戸をぜひ叩いてみてほしいと思います。
新しい時代の日本外交をともに作り上げていく仲間を待っています。