農林水産省:
「食」と「環境」を未来に継承する

横山 健太郎(よこやま けんたろう)さん

横山 健太郎(ヨコヤマ ケンタロウ)さん

農林水産省 大臣官房秘書課 監査官

■入省年
2008年

■入省後の略歴と業務内容

2008年 4月 生産局総務課

2009年 7月 生産局生産流通振興課(6次産業化施策の企画・立案)

2010年 4月 内閣府沖縄総合事務局農林水産部農政課(沖縄農林水産業の振興)

2012年 4月 食料産業総務課(輸出、6次産業化、食品産業の振興)

2013年 7月 大臣官房予算課(農林水産省の予算編成・補正予算編成)

2016年 5月 水産庁水産経営課課長補佐(漁業経営認定制度・水産制度金融等の見直し)

2017年 4月 水産庁企画課課長補佐(水産基本計画の策定)

2019年 4月 石川県農林水産部里山振興室次長兼生産流通課担当課長(ブランド化推進条例の制定などブランド化の推進)

2022年 4月 水産庁栽培養殖課課長補佐(養殖業の振興)

2023年 7月 水産庁漁政部漁政課課長補佐(水産行政の取りまとめ)

2024年 7月 現職:大臣官房秘書課監査官(新卒・中途採用総括、課長補佐以下の人事の総括)

Q1:国家総合職を目指した理由および入省先を選択した理由を教えてください。

私は、1億2千万人を笑顔にしたいと想い、世の中を動かす仕組みを創ることのできる国家公務員・総合職を目指しました。 国民を笑顔にするためには、生命の根幹である「食」こそが必要不可欠であり、「食」の確保を使命とする農林水産省を選択しました。

農林水産業は今、農林水産業者の高齢化・減少、輸入に依存する肥料や燃油の価格上昇、生活必需品であるがゆえの農林水産物の価格上昇の難しさなどの課題を抱えており、こうした課題の解決は待ったなしの状況にあります。「食」という国民の生活に直結する課題に真正面から取り組むことのできる仕事、責任は重いがやりがいのある仕事が出来る職場です。

Q2:入省先の職場の魅力はなんですか?

「食」に関わる政策は、日本全国津々浦々すべてに影響のあるものです。また、食料の安定供給は、全世界の状況を踏まえた上で、その政策を構築していく必要があります。地方の末端から世界の末端まで、地域政策から国際交渉まで、極めて幅広い舞台で活躍することができます。

また、日本の農林水産業は、いま大変革の時代を迎えています。人口が減少し、労働力の確保が難しくなってくる中で、AIやIoTの積極的な活用、新たな流通形態の構築、輸出など新規需要の開拓など、従来とは異なる視点で様々な政策を構築する必要があります。これから入省してくる皆さんのような、多様でフレッシュな感覚が最も求められている分野です。

Q3:これまでの業務の中で印象に残っているエピソードを教えてください。

全てのポストで印象的な経験があります。

水産庁では、近年続く不漁に対応するため、漁業法を改正し、資源管理制度を強化しました。資源管理とは、将来魚が増えるように皆で我慢をして獲る量を制限する制度ですが、様々な地域の漁業者が同じ種類の魚で獲っているため、年齢や地域などによって利害が対立してしまいます。制度の見直しに当たって、漁業者など関係者の理解を得ることの難しさを実感しました。

予算課では、農林水産予算の編成を行いました。2013年は農政改革を行い、農業を頑張りたい人が事業拡大し、もっと稼げるようにするために、農地を集めやすくする農地バンクの創設、いわゆる減反の廃止等を実施しましたがこれを実行するためには新たな予算が必要です。このため、既存予算の必要性を検証し、大幅に見直しました。改革を進めるためには、理想と現実の両面からアプローチする必要があることを経験しました。

Q4:今後取り組みたい業務はどんなことですか?

日本の農業がこれからも続いていくためには、農業を魅力的な産業にすることで、多くの若者が農業を就職先として選択し、若者が柔軟で豊かな発想で農業に取り組むことで、更に農業の魅力が高まる、という好循環を生み出す必要があります。

若者にとって、魅力ある産業とは何か。もうかること、市場に未来があること、経営判断で事業を拡大できること、創意工夫で様々なチャレンジが出来ること、休暇が確保されていることなど様々あると思います。

他産業に劣っているものはないか、勝っているにもかかわらず伝わっていないものはないか検証し、解決していたいと思っています。

これは農林水産省においても当てはまることではないかと思います。学生の皆さんにとってもっと魅力的な職場になるよう、職員のやりがいや働きやすさの向上に取り組んでいきたいと思っています。

Q5:国家総合職を目指す受験生へのメッセージをお願いします。

民間を経験した方で国家公務員になった方いわく、「仕事の仕方は民間と比べて改善の余地があるかもしれない。でも、やりがいは国家公務員の方がある。制度の創設や国際交渉など国家公務員しか出来ない仕事は魅力的であり、社会へのインパクトは大きい」。

世界に先駆けて高齢化社会・人口減少社会に突入している日本。これから前例のない、従来の発想では解決できない国家的課題に取り組んでいかなければなりません。地球温暖化や異常気象など環境も変わってくる中で、これからも農林水産業を持続させ、国民に「食」を届けるという役割をしっかりと果たしていくためには、柔軟で新しい発想の皆さんの力が必要です。

こうした課題は乗り越えるにはとても高い壁ですが、確実に皆さん自身を成長させてくれるものです。やりがいと責任感のある就職先である国家公務員・農林水産省の門を是非叩いてみてください。