保育士試験の内容や受験資格は?試験科目免除制度も併せて解説!

保育士になる方法の1つに、保育士試験を受けて合格する方法があります。

保育士試験に年齢制限はありませんが、保有している資格や実務経験の有無などによって、受験資格や免除される科目の種類が異なります。

保育士試験を受けるなら、まずはその概要を知っておきましょう。

この記事では保育士試験の内容や受験資格、科目免除制度などについて詳しく解説していきます。ぜひ、この記事を読んで、保育士試験合格を目指してください。

【三重野講師の自己紹介】

三重野真樹(保育士養成校講師)

大学で幼稚園教諭免許を取得後、保育士資格試験にて保育士の免許を取得。幼稚園、保育園で勤務経験あり。認可保育園にて園長を務める。

保育士試験の内容とは?

まず、保育士試験の概要と受験資格について解説します。

保育士試験は保育士になるための国家試験

保育士は「児童福祉法」に基づいた国家資格で、保育士試験は保育士の資格を取得するための試験です。

試験に合格して保育士資格を取得したあと、各都道府県に申請して保育士登録を行ない、保育士証が交付されれば保育士として働けるようになります。

その後、一般的な企業への就職活動と同じように、保育所や児童養護施設などの採用試験を受け、合格すれば保育士として働くことになります。

保育士試験の概要

試験は前期(4月)と後期(10月)の年2回実施されます。試験は筆記試験と実技試験に分かれており、筆記試験の全科目に合格しなければ実技試験を受けることはできません。

筆記試験と実技試験の両方を受験する場合、受験手数料は12,950円です。

試験会場は各都道府県に1ヵ所以上設置され、居住地や住所地によらずどの都道府県でも受験できます。

また、保育士試験には保有資格や過去の学科合格実績に応じて、試験の一部または全部が免除される制度があります。あらかじめ免除の条件を確認しておき、必要に応じて免除申請を行なってください。

参考として、筆記試験と実技試験の両方を受験する場合の、令和4年前期試験のスケジュールを見てみましょう。

令和4年 保育士試験〔前期〕 受験票・通知書送付等のスケジュール

受験申請書受付

1月5日~1月25日

筆記試験受験票送付

4月7日~4月13日

筆記試験

4月23日・4月24日

筆記試験結果通知書・実技試験受験票 送付

6月6日~6月12日

実技試験

7月3日

合格通知書送付

令和4年8月8日~8月14日

出典:一般社団法人 全国保育士養成協議会「保育士試験を受ける方へ」

保育士試験の受験資格

保育士試験の受験資格に年齢制限はありませんが、最終学歴や職歴、実務経験などに応じて受験資格が細かく設定されています。以下が、おもな受験資格の例となります。

保育士資格の受験資格

区分 受験資格
大学 卒業した者
満2年以上在学かつ62単位以上修得済の者(大学卒業が見込まれる者・中退者を含む)
受験年度末時点までに在学2年以上かつ62単位以上修得が見込まれる者
短期大学 卒業した者
在学中で、受験年度末までに卒業が見込まれる者
短期大学専攻科在学もしくは修了した者
専修(専門)学校 専修学校の専門課程を卒業した者
専修学校の専門課程に在学中で、受験年度末までに卒業が見込まれる者
高等学校 平成3年3月31日以前に卒業した者
平成8年3月31日以前に保育科を卒業した者
中学校 児童福祉施設で5年以上の勤務で、総勤務時間数が7,200時間以上、児童の保護に従事した者
勤務経験 児童福祉施設で5年以上児童の保護に従事した者
幼稚園教諭免許状取得者 幼稚園教諭免許状を大学(大学院)を卒業(修了)して取得した者
幼稚園教諭免許状を短期大学・専修学校等を卒業して取得した者

出典:一般社団法人 全国保育士養成協議会 「受験資格」

【三重野講師ならではのポイント】

保育士試験は、筆記試験と実技試験を通じて、保育士として必要な知識や技能が備わっているかを確認する国家試験となります。受験資格をしっかり確認していただき、受験資格があれば、年齢に関係なく受験することができる試験です。保育士を目指すことに、年齢は関係ありません。今まで、他業種で働かれていた方でも、その経験を活かし、子ども達に携わるお仕事に就かれてはいかがでしょうか。

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保育士試験の詳細と難易度

ここでは、保育士試験の具体的な試験内容と、試験の難易度について解説します。

保育士試験の詳細

保育士試験は1次試験(筆記)と2次試験(実技)に分かれています。

筆記試験

筆記試験は「保育の心理学・保育原理・子ども家庭福祉・社会福祉・教育原理・社会的養護・子どもの保健・子どもの食と栄養・保育実習理論」の9科目に分かれています。

試験はマークシート方式で行なわれ、各科目満点の6割以上の得点で合格できます。

保育士試験には科目合格制度があり、すべての科目に合格できなかった場合でも、一部の科目で合格していれば、次回の試験時に合格科目を試験から免除可能です。

ただし、科目合格の期限は3年間(一定条件を満たせば5年間)であり、期限を過ぎると一度合格した科目も再度受験しなければなりません。

また、教育原理と社会的養護は、両方とも6割以上得点しないと科目合格にならないため注意しておきましょう。

実技試験

実技試験は、筆記試験の全科目合格者のみに実施されます。

音楽・造形・言語の3分野から2分野を選択でき、各分野50点満点で6割以上の得点で合格となります。試験内容は事前に公表されているため、試験対策はしやすいといえるでしょう。

令和3年度後期試験の実技試験の試験内容は、以下のようになっています。

1. 音楽に関する技術

課題曲

『あひるの行列』(作詞:小林純一 作曲:中田喜直)
『揺籃(ゆりかご)のうた』(作詞:北原白秋 作曲:草川信)

試験の内容

幼児に歌って聞かせることを想定して、課題曲を弾き歌いする。

求められる力

保育士として必要な歌、伴奏の技術、リズムなど、総合的に豊かな表現ができること。

2. 造形に関する技術

試験の内容

試験当日に示される表現に関する問題文で設定された一場面を、条件を満たして表現する。

求められる力

保育の状況をイメージした造形表現(情景・人物の描写や色使いなど)ができること。

3. 言語に関する技術

課題図書

『ももたろう』(日本の昔話)
『3びきのこぶた』(イギリスの昔話)
『おおきなかぶ』(ロシアの昔話)
『3びきやぎのがらがらどん』(ノルウェーの昔話)

試験の内容

3歳児クラスの子どもに「3分間のお話」をすることを想定し、話を1つ選択して子どもが集中できるようなお話をする。

求められる力

保育士として必要な基本的な声の出し方、表現上の技術、幼児に対する話し方ができること。

出典:一般社団法人 全国保育士養成協議会 「令和3年実技試験概要」

保育士試験は難しい? 難易度と合格率

試験の内容についてみてきましたが、試験はどれくらいの難易度なのでしょうか。

令和2年度の受験者数は4万4,914人で、そのうち合格したのは1万890人です。合格率は約24%となっており、4人に1人が合格できる計算です。

保育士は比較的難易度の高い試験だといえるでしょう。

【三重野講師ならではのポイント】

保育士試験は、筆記試験をすべて合格しないと、実技試験を受けることができません。ただ、筆記試験は科目合格制度があるため、働きながらでも3年間で9科目を計画的に合格することが可能です。しっかりと計画的に学習することで保育士資格を取得することができます。また、全国保育士養成協議会のHPにて過去の問題が閲覧できます。どのような問題が出題されているかを確認するとともに、必ず解いてみましょう。実技試験の問題内容も確認し、実際の楽譜や絵本を見てみるとイメージや早めの対策ができるかと思います。

保育士試験の科目免除制度とは?

保育士試験には、保有する資格に応じた科目免除制度があります。保有する資格によっては試験の全科目が免除になる場合もあるため、どのような資格が免除対象になるか確認しておきましょう。

免除制度の対象となる資格について、免除される内容と併せて解説します。

幼稚園教諭免許所有者

幼稚園教諭免許を所有している場合、筆記試験の「保育の心理学」「教育原理」および実技試験が免除されます。

さらに、幼稚園等の特例制度対象施設での3年以上かつ4,320時間以上の実務経験を有する方は、指定保育士養成施設での特例制度による学びで6科目が免除可能です。

つまり、幼稚園教諭免許を持っている人が特例制度を活用すれば、筆記試験と実技試験の両方が免除されることになります。

幼稚園教諭免許は大学や短大で取得可能なので、保育士と幼稚園教諭免許を合わせて取得したい場合は、先に幼稚園教諭免許を取得しておくのもよいでしょう。

社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士資格所有者

社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士資格取得者の場合、筆記試験9科目のうち、「社会的養護」「子ども家庭福祉」「社会福祉」の3科目が免除となります。

さらに、指定保育士養成施設で筆記試験および実技試験に対応する科目を修得した場合、試験の一部または全部が免除となります。

修得した科目が、試験科目に対応するかどうかは施設によって異なるため、受験申し込み前に必ず確認するようにしましょう。

【三重野講師ならではのポイント】

幼稚園教諭免許を所有され、幼稚園等での実務経験が3年以上かつ、4,320時間以上を有する方は、時限立法の特例制度を活用すると筆記試験並びに実技試験が免除となります。大原では、特例教科目に対応した単位履修ができる講座をご用意しておりますので、ぜひ大原で保育士を目指しませんか。

保育士試験合格以外に保育士資格を取得する方法はある?

保育士資格を取得する方法は、保育士試験に合格することだけではありません。厚生労働省が指定する保育士養成学校を卒業した場合でも、保育士資格を取得できます。

ここでは、保育士養成学校の概要と、そのメリット・デメリットについて解説します。

保育士養成学校を卒業すると保育士資格を取得できる

保育士養成学校とは、厚生労働省に指定された保育施設のことで、大学・短期大学・専門学校・通信制大学などの種類があります。

保育士養成学校では、保育に関する専門的な知識と技術を学べるほか、卒業すれば保育士試験を受験することなく保育士資格を取得できます。

学習期間やカリキュラム、授業時間、通学制か通信制かなど、学校それぞれに特徴があるため、特徴を理解して自分に合った学校を選びましょう。例えば、短期間で学びたいなら短期大学や専門学校、保育についてより詳しく学びたいなら大学がおすすめです。

また、仕事や家事・育児をしながら学びたい場合は、夜間にも開講している専門学校や、学校に通わずに学べる通信制大学の利用を検討してみてください。

保育士養成学校のメリット・デメリット

保育士養成学校で学ぶメリットとデメリットを解説します。

メリット

保育士養成学校のメリットは、専門的な知識と技術を身につけられることと、卒業と同時に保育士資格を確実に取得できることにあります。

時間をかけて学ぶため、知識と技術が確実に身につき、さらに卒業後に保育士試験を受ける必要がないため、安心して学習に取り組めます。また、保育士養成学校のなかには、保育士資格と同時に、幼稚園教諭免許などの保育関係の資格を取得できる学校もあります。

デメリット

保育士養成学校のデメリットは、時間とお金がかかることです。

学校卒業までにおおむね2年以上かかり、大学を選択すれば4年間は学校に通わなくてはなりません。時間がかかるということはそれだけ学費も増えてしまうため、時間のない社会人や資金に余裕がない人にはあまり向いていないといえるでしょう。

【三重野講師ならではのポイント】

保育士試験を受験する場合と保育士養成校に通われる場合の大きな違いは、資格取得後の保育所などで勤務することを想定した保育所等での実習があります。実習では、実際の現場での体験を通じ、保育士としての業務を理解することができるため、資格取得後の業務をスムーズに行なうことができます。子ども達に携わる仕事を目指している方は、保育士養成校でしっかりと学ぶことをおすすめします。

大原で保育士を目指す!3つの特徴とは?

大原では幼稚園教諭免許を取得している人向けに、特例制度に対応した保育士資格取得を支援する保育科講座を開設しています。

大原の保育科講座の特徴を3つご紹介します。

大原の保育科講座は満足度94.0%!※

大原の保育科講座は、幼稚園等でご勤務されている方などが、無理なく学習できる工夫をしております。

ご自宅でのテキスト学習を中心とした在宅学習のため、時間や場所を選ばず自分のペースで学習が進められます。

また、2日間のスクーリング(対面授業)では、現場で活躍するプロの講師の講義を受けられるため、現場でのエピソードが直接聞けます。

受講しやすく質の高い大原の保育科講座は、受講生満足度94.0%となっており、毎年多くの受講生の方から好評いただいています。

保育科講座の受講生アンケート(2020年8月~2021年4月開講)の「講義の全体的な満足度について」に関する[総合評価]結果/有効回答数652名のうち大変満足している452名+満足している161名の合計値(5段階評価)

自宅学習とスクーリングで保育士に必要な知識と技術が身につく

保育科講座ではテキストでの自宅学習をしたあと、添削課題と単位修得試験を行ないます。

添削課題と単位修得試験は、保育士試験と同じくマークシート形式なので、テキストで得た知識の定着具合を確認できるでしょう。課題と試験の合格基準点は6割以上と定められているため、テキストの内容をしっかりと復習しておくことが大切です。

また、2日間のスクーリングでは、3歳未満児の発達や生活、遊びについて、演習設備で学べます。スクーリングでも演習と試験が行なわれるため、保育技術についてもしっかりと身につけられるでしょう。

安心して保育士を目指せるサポートも充実

大原の保育科講座は、4ヵ月という短い学習期間で、特例制度利用に必要な全科目を修得できるカリキュラムとなっています。

短い学習期間で効率的に学習を進めるため、大原では受講生全員に「受講の手引き」を配布しており、これを見れば学習内容やスケジュールが一目でわかるでしょう。

また、学習中に疑問点があればメールや電話で質問できる質問対応サポートもあり、受講生が安心して学習に取り組める環境を整えています。

【三重野講師ならではのポイント】

大原の保育科講座は、幅広い年齢層の方が学ばれており、受講された方は、当初、在宅学習への不安があったと伺っておりますが、「学習の手引き」に従い、学習を進められ、無事、単位修得されております。特例制度が利用することが可能な方は、2024年度末までの時限立法になっておりますので、この機会にチャレンジしてはいかがでしょうか。
なお、大原の保育科講座(4科目フルセット)は、特定一般教育訓練給付制度の対象講座となっております。一定の要件を満たす方であれば学習期間内に保育科講座修了後、ご本人が支払った入学金および受講料の40%相当額について国からの補助を受けることができますので、経済的な負担が軽減できます。

まとめ

保育士試験は保育士資格を取得するための試験で、年2回、春と秋に実施されます。

受験資格に年齢制限はありませんが、学歴や職歴によって細かな制限が設けられているため、試験を受ける前にしっかりと確認しておくことが大切です。また、試験の一部または全部を免除できる制度もあるため、自分の資格や職歴が対象となるか確認しておきましょう。

大原では、幼稚園教諭免許取得者が特例制度を利用して保育士資格取得を目指せるように、保育科講座を開設しています。

大原への資料請求は無料です。説明会や個別相談も実施しているので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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【講師プロフィール】

名前
三重野真樹
担当
保育士養成科目
指導理念
いつも笑顔で、楽しく学ぶ
紹介文
保育士は、子ども達に携わるお仕事となります。関連する知識や技能を身につけることが大切となり、特にピアノの学習は苦労される方もおります。ただ、継続して練習をすれば初心者の方でも弾けるようになります。

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