ケアマネージャーとはどんな仕事?メリットや役割も併せて解説!

ケアマネージャーは、いまや介護業界において欠かせない存在であり、高い需要がある職業です。

しかし、ケアマネージャーという言葉は知っているものの、具体的にどのような仕事をするのかわからない方も多いのではないでしょうか。

今回は、ケアマネージャーの仕事や役割を詳しく解説します。併せて、ケアマネージャーとして働く3つのメリットや、資格取得に向けたおすすめの方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

【山野講師の自己紹介】

山野 祐子

大学にて社会福祉学を学び、卒業後は障害児分野、医療分野、高齢者分野と経験を重ね、相談員として約16年間勤務。高齢者福祉施設で相談員として働きながら社会福祉士国家試験とケアマネージャー資格を取得。ケアマネージャー資格取得後は、相談員をする傍ら施設ケアマネージャーとしての役割も担ってきた。現在、ケアマネージャー講座のほか、社会福祉士、介護福祉士講座を担当している。

ケアマネージャーとは「利用者と介護事業所をつなぐ橋渡し役」

ケアマネージャーは介護支援専門員とも呼ばれ、利用者と介護事業所をつなぐ橋渡し役的な存在として活躍しています。

おもな役割は、介護を必要とする人が適切な介護保険サービスを受けられるように、ケアプランの作成や介護事業者との調整を行なうというものです。

2000年4月に始まった介護保険制度の根拠となる介護保険法には、「国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする」と記されています。ケアマネージャーは、この理念を実現するための大切な役目を担っているのです。

参考:介護保険法(平成09年12月17日法律第123号) - 厚生労働省

【山野講師ならではのポイント】

ケアマネージャーの仕事は、専門的知識があればよいというわけではありません。1人の人の生活を支えていくためには、その方を取り巻く多くの人や関係機関が関わっています。支援を必要とする方のより良い生活の実現に向けたサービスを調整するためには、直接介護サービスを提供する事業所などはもちろんのこと、かかりつけの病院や行政機関、場合によっては近隣住民の方などとのかかわりも必要です。様々な関係者の調整役として、相手への気配りやコミュニケーションスキルも必要でしょう。

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ケアマネージャー講座 合格者の声

ケアマネージャーとして働くメリット3つ

ケアマネージャーとして働くことには、3つのメリットが挙げられます。それぞれの内容を詳しく見ていきましょう。

利用者や家族の力になれる

先述したように、ケアマネージャーの仕事の一つにはケアプランの作成業務があります。ケアプランとは、利用者が適切な介護保険サービスを受けられるように、実際の状況と照らし合わせながら作成する利用計画書のことです。

作成したケアプランをもとに、家族や利用者、主治医など関係者を含めたサービス担当者会議を開いて、ケアプランの確定を行ないます。

自身が原案したケアプランによって、利用者の健康状態がよくなったり、要介護度が低くなったりする場合もあります。利用者や家族から感謝の言葉をかけられることもあるでしょう。このような経験を経ることで、仕事に対するやりがいをより一層感じられることができます。

利用者や家族の反応をダイレクトに感じられるため、仕事に対するモチベーションを高く保てます。

スケジュールを組みやすい

勤務する施設にもよりますが、事務的な作業や利用者への訪問は基本的に日中に行なわれます。

居宅介護支援事業所に勤務するケアマネージャーであれば、訪問のアポイントメントは自ら実施することが多く、スケジュールが組みやすいでしょう。相手のスケジュールを尊重することは大前提としつつも、自分で仕事のスケジュールを組み立てられるという点では、自由度は高いと言えるでしょう。

日程や時間の調整がしやすいため、例えば、子供の運動会や授業参観など、時にはプライベートを優先したスケジューリングも、ケアマネージャーなら可能です。

経験を仕事に活かせる

ケアマネージャーの業務で大切なことは、利用者の心身の状態や生活環境に寄り添ったケアプランの作成です。そのため、介護サービスに関する知識やスキルはもちろん、これまでの人生経験も仕事に活かせます。

スタミナのある若い世代を求めることの多い介護業界のなかでも、人生経験が有利に働くケアマネージャーは珍しい立ち位置です。業務においては事務的な作業が多いため、身体の不調や体力の影響を受けにくく、年齢を重ねても働きやすい仕事と言えるでしょう。

【山野講師ならではのポイント】

ケアプランを作成する際には、科学的な根拠に基づいていくことは重要です。しかし、作成に至る前提として、ご本人やご家族などに寄り添いながら話を聴き、信頼関係を築いていくことが支援の第一歩となります。ケアマネージャー自身のこれまでの人生経験は、相手の気持ちを察する助けとなり、より早い信頼関係を築くことができるかもしれません。このように考えてみると、これまでの自分自身の経験のすべてが活かせることができる資格だと思います。

ケアマネージャーの仕事や役割は?

ケアマネージャーの仕事や役割について、3つの項目に分けて解説します。

ケアプランの作成と管理

ケアマネージャーの仕事のなかでも、ケアプランの作成と管理はメインに位置づけられている仕事です。おおまかな流れを説明しましょう。

まずはインテークと呼ばれる相談や面談で初回の聞き取りを行なったあと、アセスメントを実施します。アセスメントでは、「課題分析標準項目」というチェック項目に沿って、介護利用を検討している人の状態を把握します。

そのあと、アセスメントに基づいてケアプランを作成し、サービス担当者会議を経てプラン内容が確定します。

介護サービス利用を開始したあとは、利用者のニーズに即したサービス提供ができているか、定期的にモニタリングを行ないます。場合によっては、サービス内容を変更するためにケアプランを修正しなければなりません。

これら一連の業務では、書類様式や点数の計算といった専門的な知識が必須です。さらに、介護サービス事業者との折衝能力も必要となります。

給付管理

介護保険サービスを開始して発生する介護給付費の管理も、ケアマネージャーの大切な仕事の一つです。給付管理表やサービス利用表を作成後、給付管理事務を行なう国保連合会へ月1回提出し、介護給付費を請求するというものです。

不備があった場合、介護給付費の支給が遅れることもあるため、しっかりと注意しながら作業する必要があります。

要介護認定

要介護認定とは、介護サービスの利用を検討している人の介護の度合いを調査することです。ケアマネージャーは、市町村の委託により要介護認定の調査を行ないます。

行政への要介護認定申請書の提出は、基本的に利用者自身や家族が行ないますが、ケアマネージャーが代行するケースもあります。

【山野講師ならではのポイント】

ケアマネージャーの仕事には事務的なものも多くあります。居宅介護支援事業所は規模にもよりますが、ケアマネージャー自身が請求事務までこなしている事業所もあれば、給付管理については介護請求のための事務職員を配置している事業所もあります。とはいえ、給付管理の基本を理解していないとケアプランは作れないので、しっかりとした知識は求められます。

ケアマネージャーが働く場所は大きく3つに分けられる

ケアマネージャーが働く場所は、大きく3つに分けられます。それぞれの施設で働いた場合の特徴について見ていきましょう。

居宅介護支援事業所

おもに自宅で暮らす要介護1以上の高齢者を対象に、ケアプランを作成します。また、その後のモニタリングは居宅介護支援事業所を拠点として、利用者の自宅を原則月1回は訪問します。

その際、介護サービスの際に困ったことや心身の状態は問題ないかなどヒアリングを行ない、現状のプラン内容が妥当であるか検討しなければなりません。

老人ホーム(特別養護老人ホーム等)

ケアプラン作成の対象は、要介護1以上の入居前もしくは入居中の高齢者です。業務内容は、入居者の施設サービス計画(ケアプラン)を作成するのがおもな業務です。居宅の場合と同様、モニタリングやプランの見直しなどを行なっていきます。老人ホームでは自宅訪問をせずに間近で高齢者の様子をモニタリングできます。

また、特別養護老人ホームの入居者100人に対して、担当するケアマネージャーは最低1人と決められています。ホーム内の入居者すべてを、1人のケアマネージャーが担当するケースも珍しくありません。

地域包括支援センター

要支援1・2の高齢者を対象に、介護予防を目的としたケアプランを作成します。地域包括支援センターなど公的な機関で勤務できるのは、一般的には主任ケアマネージャーです。

主任ケアマネージャーの資格は、ケアマネージャー有資格者のなかから、所定の研修を終えた人のみが取得できます。

【山野講師ならではのポイント】

ケアマネージャーとして通算5年(60か月)以上勤務した経験を経てから「主任介護支援専門員研修」を受講することで主任ケアマネージャーになることができます。(主任ケアマネージャーの要件は、都道府県等によって違いもあるので確認をしてください。)主任ケアマネージャーは、地域包括支援センターや一定の条件を満たす事業所では、介護保険の制度上で配置を義務付けられています。そのため、主任ケアマネージャーの求人は増えています。転職もしやすく安定した仕事につながりやすい資格と言えるでしょう。

ケアマネージャーになるには「介護支援専門員」を取得しよう

ケアマネージャーとして働くためには、介護支援専門員の資格を取得する必要があります。ここでは、介護支援専門員の受験資格や合格率などについて解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

介護支援専門員の資格を取得!

ケアマネージャーになるためには、介護支援専門員の資格を取得しなければなりません。この資格は、各都道府県が管轄する公的資格として、2000年の介護保険制度導入にともなって創設されました。

介護支援専門員の資格は介護支援専門員実務研修受講試験を受験、合格したあと、実務研修を修了することで取得することができます。

受験資格が設けられている

介護支援専門員実務研修受講試験(以下ケアマネージャー試験)の受験資格では、国家資格等に基づく業務、もしくは相談援助の業務の経験が必須とされています。2018度以降の試験から受験資格が変更され、それ以前は対象であった実務経験や所持資格が、一部除外されました。

2つある受験資格について、以下で詳しく解説します。

国家資格等に基づく業務

指定する国家資格に基づいた実務経験が通算5年以上、従事した日数が900日以上という条件を満たす必要があります。

福祉に関する国家資格の代表例として、社会福祉士や介護福祉士などが挙げられます。将来的にケアマネージャーになることを見据えて国家資格を取得する場合、この2つの資格は、福祉に関する知識が身につけられる点でもおすすめです。

また、その他の国家資格には以下が挙げられます。

・医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士など

相談援助の業務

相談援助業務の従事期間が通算5年以上、従事した日数が900日以上という条件を満たす必要があります。このうち、受験資格の対象となる相談援助の業務は、対象施設で働く生活相談員、支援相談員、相談支援専門員、主任相談支援員となっています。

ただし、都道府県によって条件が異なる場合もあるため、受験を希望している場合は、事前に担当部署へ問い合わせておくとよいでしょう。

試験合格率は10~20%台

ケアマネージャー試験の合格率は、例年10~20%台とやや低めです。難関試験とも言えるため、事前の試験対策をしっかりと行なって、合格を目指しましょう。

  • 第21回(平成30年度):10.1%
  • 第22回(令和元年度):19.5%
  • 第23回(令和2年度):17.7%
  • 第24回(令和3年度):23.3%
  • 第25回(令和4年度):19.0%
  • 第26回(令和5年度):21.0%

将来的には主任介護支援専門員へ

主任ケアマネージャーとも呼ばれる主任介護支援専門員は、2006年に創設された資格です。受験資格には、専任の介護支援専門員として5年以上従事していることなど、2つの項目が設けられており、いずれかの条件を満たさなければなりません。

ただし、管轄する都道府県によって規定が異なる場合もあるため、事前に担当部署へ確認することをおすすめします。

主任介護支援専門員になるためには、12日間・70時間以上行なわれる主任介護支援専門員研修を受講する必要があります。

【山野講師ならではのポイント】

ケアマネージャーの試験では、「介護支援」と「保健医療福祉サービス」という2つの分野に分かれて、介護支援分野で25問、保健医療福祉サービス分野で35問、合計で60問の試験問題が出されます。合格するためには分野ごとの合格基準点を突破する必要があります。例えばどちらかの分野で満点が取れたとしても、もう片方の分野が合格基準点に達しないと不合格となってしまいます。苦手分野を把握して、各分野を底上げしていくために模擬試験を上手に活用するとよいでしょう。

ケアマネージャー試験の合格を目指すなら大原!

これからケアマネージャーの資格取得を目指すのであれば、資格の大原がおすすめです。その理由を3つのポイントで見ていきましょう。

基礎力養成期と実力アップ期の2期構成で効率的に学べる

大原では、入門期・基礎力養成期・実力アップ期の3期構成でカリキュラムが組まれています。まず、入門期では介護保険の基礎を一から学習します。

そして基礎力養成期では、大原オリジナルのレジュメを使った講義と問題演習で、重点とする項目の基礎知識を学習し、基礎模擬試験で習熟度を確認します。

つづいて実力アップ期では、過去問を用いた問題演習後に全国統一公開模擬試験を受け、試験合格に向けて実力をしっかりと身につけることが可能です。

このように、1回ごとの学習を無駄にしない効率的なカリキュラムが組まれているため、最小限の学習内容でケアマネージャー試験の合格を目指せるのです。

通学講座と通信講座を選べる

通学講座と通信講座から、自分が受講したい講座を選べることも大原の特徴です。2つのタイプの講座について説明しましょう。

大原の校内で受講する通学講座は、個別の視聴ブースで集中的に学習できる映像通学です。

大原に通学できない場合はWeb講義が標準装備されているため、ご自宅で映像講義を視聴することで、学習が遅れる心配はありません。

一方、自宅やその他のインターネット環境のある場所で受講する通信講座では、Web通信で24時間好みの時間に学習できます。複数ある学習スタイルから、自分のスケジュールに最適なものを選べるため、最後まで無理なく学習を継続できるでしょう。

【国家資格】介護福祉士と社会福祉士の取得もサポート

資格の大原では、介護福祉士と社会福祉士の資格取得に向けた講座も開催しています。どちらの資格も、ケアマネージャー試験の受験条件の一つである「国家資格等に基づく業務」の対象資格です。

そのため、まずは福祉に関する国家資格の取得から取り組もうとお考えであれば、大原が最適でしょう。

介護福祉士講座では、受験資格取得に向けた実務者研修と、受験対策の講座が受講できます。また、社会福祉士講座では受験資格の有無に応じて、通信・夜間通学を選べる養成コース、もしくは受験対策講座を選択できます。

【山野講師ならではのポイント】

通信講座のメリットは自分のスケジュールに合わせられることです。でも、逆を返せば自分のスケジュールがしっかり立っていないと、やらなければ・・・という気持ちばかりで、学習が進まないという状況になりかねません。学習のスケジュールを立てる際にはご自身のライフスタイルを確認するところから始めるとよいでしょう。その上で、試験日から逆算していく形で学習スケジュールを組んでいきましょう。そうは言っても予定通りにいかないことも多いでしょう。予定が崩れてやる気がなくなった、というような事態を避けるためにも、計画には予備日を設けるなどして気持ちに余裕を持たせたスケジュールを組むことで、モチベーションの低下を防ぐことができます。

まとめ

ケアマネージャーの仕事やメリットを以下にまとめます。

  • ケアプランの作成・管理をメインに、介護利用者と介護施設の橋渡し役として活躍
  • 知識やスキル、経験を仕事に活かせるため、年齢を重ねても長く働ける
  • 受験資格は、国家資格等に基づく業務、相談援助の業務のどちらかの経験が必要
  • 資格試験の合格率は例年10~20%台であり、しっかりとした試験対策が必須

大原では、豊富なノウハウが詰め込まれた講義や、2期構成の充実したカリキュラムを通して、ケアマネージャー試験の合格を目指せます。

ケアマネージャーの資格取得を検討している方は、ぜひ一度無料で資料請求してみてはいかがでしょうか。

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【講師プロフィール】

名前
山野 祐子
紹介文
大学にて社会福祉学を学び、卒業後は障害児分野、医療分野、高齢者分野と経験を重ね、相談員として約16年間勤務。高齢者福祉施設で相談員として働きながら社会福祉士国家試験とケアマネージャー資格を取得。ケアマネージャー資格取得後は、相談員をする傍ら施設ケアマネージャーとしての役割も担ってきた。現在、ケアマネージャー講座のほか、社会福祉士、介護福祉士講座を担当している。

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