社労士試験の合格率や難易度は?
受験資格や効果的な勉強法を解説

さまざまな企業にとって重要な役割を担う「社会保険労務士」になるには、受験資格や社会保険関連の幅広い知識が必要です。

無事に試験に合格すれば、労務関係や各種保険など、労働者の安全や健康を維持し、企業の繁栄に携わることとなるでしょう。そのためには、どのような勉強法が効率的で、必要知識を習得できるのでしょうか。

この記事では、社労士試験に合格するために必要な受験資格や出題科目について解説しますので、資格取得の参考にしてください。

【金沢講師の自己紹介】

社労士試験は突き詰めると「覚えたもの勝ち」の試験です。趣旨やゴロ合わせ、具体例など、さまざまな方法を使って記憶に残る講義を提供いたします。

社労士試験の合格率は低い!その理由は?

令和2年度の合格率はわずか6.4%であり、社労士試験は合格率が非常に低いことが分かります。

合格率がこれほどまで低い理由は、一体何なのでしょうか。

社労士試験の難易度の高さ

社労士試験の難易度が高い理由の一つとして、試験科目の多さが挙げられます。試験科目は合計10科目におよびます。

さらに、法令は頻繁に法改正がなされるため、常に新たな情報に対して敏感でいなければなりません。

また、社労士試験の出題方法は択一式と選択式の2つで成り立っており、総得点と各科目にはそれぞれ合格基準点が設けられています。

つまり、総得点が合格基準点を上回っていたとしても、各科目で合格基準点を下回っている科目があった場合、不合格になってしまうというわけです。

科目合格制度がない

資格によっては科目合格制度があるため、前回の試験で合格した科目は、次の試験の際に免除される場合があります。

しかし、社労士試験には科目免除制度が設けられていないため、合格点だった科目があったとしても、次回の試験も全科目を受けなければなりません。

なかには、試験科目の一部免除を受けられる人もいますが「公務員として通算して10年以上の実務経験がある」など、その条件は限定的です。

長時間の集中力が求められる試験工程

社労士試験は10科目の試験を一日で行なうため、長時間の集中力が必要です。社労士試験のオフィシャルサイト「社会保険労務士試験 受験案内」をご覧になると、試験時間のトータルは290分であると見て取れるでしょう。

午前・午後とも長時間におよぶため、トイレや飲水のための退室可能時間が設けられています。トイレや飲水に要す時間はわずかであっても、問題の量から考えると寸分の時間も無駄にはできません。

この退室可能時間も無駄にしないように、昼食時間中に用を済ませるなど、苦手科目に時間をかけられるよう工夫してみてはいかがでしょうか。

【金沢講師ならではのポイント】

社労士試験は、試験範囲が広く、かつ、覚えなければいけない情報量が多いという特徴があります。そのため、行き当たりばったりで学習を進めていると、すべての学習範囲をムラなく学習して試験に臨むということが難しくなります。このことが合格率を低くしている要因の一つです。全科目まんべんなく学習できるように、計画的に勉強を進めていく必要があります。

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社労士になるために必要な受験資格

社労士になるためには「学歴」「実務経験」「国家試験」のうち、それぞれに設けられた要件のいずれかを満たしている必要があります。

ここでは、それぞれに設けられた代表的な要件を解説します。

より詳細な情報は、社会保険労務士試験オフィシャルサイト「社会保険労務士試験の受験資格」で確認可能です。

学歴

社労士試験の学歴要件は、大学や短期大学、高等専門学校(5年制)などを卒業、あるいは専門職大学の前期課程を修了した人が対象となるため、高卒では受験資格がありません。

また、短期大学を除く大学においては、62単位以上の卒業単位を修得している場合は試験を受けられます。

短期大学の場合は、全国社会保険労務士会連合会の審査で学校教育法に定められている短期大学を卒業した人と同等以上の学力が認められる場合も受験可能です。

実務経験

社労士や弁護士補助、公務員職として3年以上業務に従事した経験があれば、受験資格を得られます。

また、労働組合の職員や法人、事業を営む個人の従業者として労働社会保険諸法令に関する事務に3年以上従事した経験がある場合も受験可能です。

実務経験においては、自分自身で実務経験範囲を判断するのが難しい場合もあるでしょう。そのような場合は、全国社会保険労務士会連合会に「実務経歴証明書」と「送付状」をFAXすれば回答を得られます。

国家試験

社労士試験以外の国家資格のうち、不動産鑑定士試験や弁理士試験、公認会計士試験など厚生労働省が認めた国家試験に合格している場合は受験資格があります。詳細は社会保険労務士試験オフィシャルサイトから確認しましょう。

ほかにも、行政書士試験の合格者や、平成23年までに行なわれていた旧司法試験の教養科目である司法試験第1次試験の合格者も社労士試験を受けられます。

【金沢講師ならではのポイント】

受験資格を満たしていなければ、試験を受けることができません。学習を始める前に、必ず確認しておきましょう。

社労士試験までに何をすれば良いの?出題科目を解説

社労士試験の受験内容は、細分化すると10科目にもおよびます。それぞれの科目について、どのような内容の科目か、どのようなことについて学習する必要があるのかを解説しますので、勉強の際の参考にしてください。

労働基準法

労働基準法は、労働者の権利を守るための法律です。労働時間や年次有給休暇など、会社員にとって極めて重要な問題を扱う科目といえるでしょう。特に賃金は、重要な項目のため出題頻度は高い傾向にあります。

条文だけではなく、行政内部の文書(通達)や判例から出題される事例問題もあり、難易度は高めです。
条文を暗記するような勉強法ではなく、労働基準法への理解を深めることが重要な科目といえるでしょう。

労働安全衛生法

会社員の方が受けている健康診断は、労働安全衛生法に規定されたものです。この法律は、労働者を危険や健康障害から守る目的で作られました。

試験範囲が広く難易度にバラつきがありますので、過去問題を参考に基礎的な要素を学習する必要があります。

高得点を目指すというよりは基礎固めを徹底し、堅実な1点を積み重ねることを意識すると良いでしょう。

労働者災害補償保険法

労働者災害補償保険法は、労働者ではなく事業主が加入する保険です。労働者の通勤途中や業務上の被災、あるいは病気に対し、労働者がこれまでどおりの生活を送れるように国から補償を受けられます。

保険には給付に対する要件があるため、補償に対する要件や内容を把握しなければなりません。基礎知識を強化できれば得点は難しくなく、基礎以外にも範囲を広げて勉強することで、出題問題をカバーできるでしょう。

雇用保険法

労働者が失業した際、基本手当が支払われることで再就職までの生活を維持します。ほかにも育児休業や介護休業、教育訓練を受けた際に補助を受けられる制度も雇用保険法に定められた制度で、比較的身近な法律といえるでしょう。

この科目は数字を問われる問題が多く、ケアレスミスに注意が必要です。選択問題では、受給資格のほかに手当の期間などが出題されます。
問題集などを活用し、少しでも多く問題を解くことが試験合格につながるでしょう。

労働保険徴収法

労働者災害補償保険と雇用保険の制度は、労働者と事業主から徴収されている保険料で維持されています。この科目で学習するのは、徴収している保険料の仕組みです。
おもに保険料の徴収方法や計算方法、割合や端数処理について学びます。

計算問題が出題される場合もありますので、仕組みを理解し、過去の本試験問題でしっかり訓練をしておく必要があります。

労働管理その他の労働に関する一般常識

上述されていない労働者に関する法律全般を学びます。具体的には、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法、労働者派遣法などが挙げられます。

また、社会情勢の問題(時事問題)や労務管理についても対策しなければなりません。扱う法律が多い科目のため、広い出題範囲のなかから予測するのは困難を極めます。

対策としては、基礎的な部分を強化し、労働経済白書などを把握するようにすれば得点につながるでしょう。

健康保険法

仕事以外のけがや病気の際にかかる医療費の補助を目的とした法律が健康保険法です。この科目では健康保険の仕組みや保険料、手続きなど、さまざまな要素についてまんべんなく出題されるのが特徴です。

高額療養費など、計算問題が出題される可能性があるため、問題集の活用が成果を発揮するでしょう。

厚生年金保険法

厚生年金保険法は、公務員や会社員が加入する年金制度です。この科目では、保険事故に対し支給される制度の仕組みを学びます。国民年金の応用を含むため、国民年金との対比学習が効果的です。

全体的な仕組みを正しく把握し、解答に対する根拠などに理解を深めることが必要です。経過措置についても抜かりなく学ぶことが攻略のポイントといえるでしょう。

国民年金法

国民年金は、自営業や会社員、公務員が加入している年金制度です。老齢、障害、死亡による「基礎年金」の支給や保険料の納め方など、制度の細かい部分について勉強しなければなりません。

国民年金の制度の仕組みから歴史や年金財政、転職の際の加入脱退手続きなど、出題内容は多岐にわたります。厚生年金の基礎となる内容でもあるため、制度に対する理解を深めながら問題を数多く解答し、どのような問題にも対応できるように準備しましょう。

社会保険に関する一般常識

上述されていない社会保険に関する法律全般について学びます。社会保険のさまざまな分野から出題されるため、介護、医療など、分野ごとの知識を強化する必要があるでしょう。また、厚生労働白書についても出題の対象です。

この科目は「労務管理その他労働に関する一般常識」のように、出題範囲が広いという特徴があります。しかし、これまで勉強してきた社会保険に関する知識が役に立つ場合もあるため、まんべんなく勉強することが対策の一つといえるでしょう。

【金沢講師ならではのポイント】

数多くの科目があるというのが社労士試験の大きな特徴です。最初は科目ごとに学習していき、理解と定着を図ります。そして、全科目終了した後は、全科目を同時に学習していきましょう。いわば「皿回し」学習です。同時に学習することで、過去に学習した科目の記憶をキープできますし、科目間の規定の共通点や相違点を把握する「横断学習」が可能になります。

試験結果を左右する!勉強期間のスケジューリング

社労士試験の受験にあたり、合格までに必要とされる勉強時間はどれくらいなのでしょうか。また、試験合格に有効な勉強時間の使い方は、どのような方法なのでしょうか。

社労士試験までに必要な勉強時間

一般的に、社労士試験の合格を目指すために必要な勉強時間は800時間から1000時間といわれています。
一日に3時間勉強する時間を確保したとすれば、約9ヵ月~11ヵ月となるため、1年以内に試験準備が整えられる計算となるでしょう。

しかし、これはあくまでも目安です。個人差があるため、半年程度で合格する人もいれば1年勉強したにも関わらず不合格という結果に終わってしまう人もいます。

勉強時間の使い方が社労士試験合格のポイントになる

社労士試験が行なわれる時期は、例年8下旬の日曜日(第4日曜日)のため、逆算すると前年の9月頃から勉強を始めることで十分間に合う計算となります。

しかし、たとえ十分な時間を確保できたとしても、時間をどのように使うかで結果が変わるといっても過言ではありません。

【金沢講師ならではのポイント】

勉強時間は一つの目安となりますが、それよりも大事なのは勉強量です。テキストを何ページ進めるか、問題を何問解くか、ということも目標とし、その目標を達成するために必要な勉強時間を確保できるようにしましょう。

社労士試験を突破するために有効な勉強法とは

社労士試験の合格を目指すにあたり、どのような勉強法が効果的なのでしょうか。メリットやデメリットを交えて解説します。

独学

独学の良いところは、柔軟なスケジュールが可能で自分のペースを尊重できることです。

しかし、根本的に社労士試験合格に必要な知識の範囲は広く、法改正や一般常識の難易度も高いため、科目の習得が困難といえるでしょう。

また、試験に有効なテキストを選択するための判断が適切に行なえず、必要以上に教材等を購入する場合があります。その結果、無駄が多く効率的とはいえない勉強法になりがちです。

資格スクール

資格スクールの良いところは、すでに学習カリキュラムが確立されているため、学習のペースをつかみやすく、効率的な学習を実現するという点です。

しかし、通学講座の場合、時間の制約を受けやすく、学校が遠ければ交通費もばかになりません。また、学費が高額になることもあり、簡単には決断できない選択肢の一つといえるでしょう。

【金沢講師ならではのポイント】

ご自身の置かれている環境によって、適切な学習スタイルは異なります。迷われる場合は資格スクールに学習相談の内容を問い合わせしてみるのも良いでしょう。

社労士試験の合格を目指すなら大原

社労士試験に合格するためには、自分にとって効率的で理解を深められる方法が重要といえます。試験合格を目指すなら、プロの講師による指導を受けられる大原で学ぶと良いでしょう。

受験指導経験を持つプロの講師から学べる

大原では、指導経験豊富な講師のもとで徹底的な指導を受けられます。多くの生徒を指導した実績があるため、講義の内容分かりやすく、社労士試験に対する理解を深めながらの学習が可能です。

また、手厚いサポートを受けられるため、理解力の強化や得点力を身につけられるというメリットがあります。分からないことをその場で解決できるため、安心して次のステップにつなげられるでしょう。

大原のオリジナル教材で学べる

徹底的に分析されたオリジナル教材は、プロの講師によって作成されています。教育データと高度な合格情報データベースなどから「最小の努力で最大の効果」を発揮するためのカリキュラムの編成を可能にしました。

最新の出題傾向や配点分布を分析して作成されており、内容理解を確実にするためのポイントを絞ったテキストが魅力です。

多彩な学習スタイルから選べる

大原ではさまざまなライフスタイルに合わせられるよう、多彩な学習スタイルが用意されています。
決まった日程で通学し、教室で講義を受ける学習スタイルと、場所を選ばず教室での講座を受けているかのような通信スタイルの授業です。

大原校内の個別視聴ブースで講義を視聴できる「映像通学」や、DVDを利用して自宅で講義を見ながら学習するスタイルなども選べます。

どの学習スタイルを選んだとしても、学習カリキュラムの品質の高さは変わりません。
実績のある学校だからこそ実現する学習スタイルといえるでしょう。

【金沢講師ならではのポイント】

皆様に合格していただけるよう、講師一同、最大限のサポートをさせていただきます。

まとめ

社労士試験の受験資格は複雑なので、受験を検討する際には自分にその受験資格があるのかをまずはしっかり確認しましょう。

試験範囲も広く、多くの場合において科目免除制度もないため、効率的に問題を解く能力が求められます。

その際に、自分に合った勉強法を実践しなければ、必要以上の出費につながるばかりか、合格そのものが遠のいてしまうおそれも否定できません。

大原では、すでに多くの合格者を輩出しており、安心して試験勉強に取り組める体制が整っています。大原の講座について知りたい方は、ぜひ以下をご確認ください。

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講師プロフィール

名前
金沢博憲
担当科目
社会保険労務士
指導理念
楽しく学ぶ
紹介文
社労士試験は突き詰めると「覚えたもの勝ち」の試験です。趣旨やゴロ合わせ、具体例など、さまざまな方法を使って記憶に残る講義を提供いたします。

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