資格の大原による、お役立ち情報をお届けするコラムシリーズです。
(公開:2024.07.18)
企業や個人の経済活動を税務・会計面からサポートする重要な役割を担う税理士業界。そのため、経済や法律、さらには企業経営に関する幅広い知識が求められる、やりがいのある業界です。実は、税理士業界の就活スケジュールは一般的な就活スケジュールと異なり、場合によっては就活1日目で内定が決定することもあります。今回はそんな税理士業界の就活事情について解説します。
・税理士業界に就職するメリットを解説
・税理士業界と一般的な就活スケジュールの違いを比較
・税理業界の就職に必要な資格と勉強法を紹介
はじめに、税理士業界に就職するメリットについて解説します。税理士業界の特徴の一つに、需要の高さがあります。税務・会計のニーズは常にあるため、税理士の需要は比較的安定しています。特に、資格保有者や一定の学習レベルに達している人材は重宝されます。この点で、就職先を見つけやすい傾向にあります。
また、一般の就活に比べて、就職先の選択肢が限られているため、業界が狭いぶん、ある程度絞り込んだ就活ができるという利点もあります。さらに、税理士業界では、税法や会計の知識が最重要視されます。そのため、学生時代から勉強に励み、税理士試験の科目合格や日商簿記などの資格を取得していると、有利に働くこともあります。資格取得に対する企業の応援も充実しており、社内自習室や試験休暇などもある税理士法人もあります。
キャリアという観点においては、長期的な視野で見られることが多く、新卒時の就職だけでなく、数年後の独立や、パートナー就任などを見据えた採用が行われることもあります。
このように、税理士業界はニーズの高さや長期的なキャリア形成を考えた際にメリットが多く、さらに就職活動においても早い段階から目標を定め、着実に準備を進めることで効率的に就活スケジュールを立てることが可能です。
税理士業界の就活の特徴を挙げると、一つ目は「資格重視」です。就活では税理士試験の科目合格や、日商簿記1級などの関連資格の有無が重視されます。特に、税理士試験の科目合格者は、即戦力として高く評価されることが多いです。また、学歴や新卒・既卒などのバックグラウンドよりも、税務・会計に関する専門知識やスキルが重要視されます。そのため、面接でも専門的な質問をされることがあります。
「柔軟な採用形態」も特徴の一つです。正社員採用だけでなく、アルバイトやインターンシップからのステップアップ、試用期間後の正社員登用など、様々な形での採用があり、未経験者向けの研修制度が充実している税理士法人も多いです。
次に、税理士業界の主な就職先と仕事内容について解説します。税理士業界は、個人や法人の税務に関する相談、税金の申告、節税対策など、幅広い税務サービスを提供します。また、会計業務や経営コンサルティングなども行います。主な就職先としては、税理士法人、会計事務所、監査法人、一般企業の経理・財務部門、個人事務所などが挙げられます。仕事内容としては、所得税、法人税、相続税、消費税などの申告書作成などといった税務申告業務や、クライアントからの税金に関する相談対応、帳簿の作成、決算書の作成などといった会計業務、経営コンサルティング、相続・事業承継、国際税務、税務調査対応など多岐にわたります。
このように、税理士業界では税務・会計などといった専門的な知識が必要とされるだけでなく、クライアントとの信頼関係も重要な要素となります。重大な責任を伴う仕事内容ではあるものの、その分クライアントの事業の発展に貢献できたり、直接感謝されたりするなどやりがいを感じることのできる職種でもあります。
税理士業界と一般的な就職活動を比較すると、スケジュールに大きな違いがあります。まず、一般的な就職活動の場合、大学3年生の3月に就活サイトがオープンし、エントリー開始。大学4年生の春~夏にかけて面接を受け、秋頃までに正式内定を得るというのが理想的なスケジュールです。
一方、税理士を目指す人の場合、税理士試験の受験状況や合格状況によって大きく異なります。税理士試験が8月、合格発表が11月にあり、それに合わせた就職活動となります。例年、税理士試験が行われた週末、合格発表があった翌週末に専門学校主催の合同面接会が実施され即日から数週間で内定を得られる事が多い業界です。
一般的な就活の場合、新卒一括採用が主流なのでスケジュールに乗り遅れると不利になりやすいのですが、税理士業界の就活では試験の合格状況に応じて柔軟に対応できるというメリットがあり、アルバイトや契約社員から正社員登用されるなど、多様なキャリアパスがあるのも大きな魅力です。つまり、一般的な就職活動が半年あるいはそれ以上時間を要するのに比べ、税理士業界では試験の合格状況や、試験勉強をしながら税理士法人でのアルバイトやインターンを経て、そのまま就職するケースもあります。このように、早い段階から税理士業界を目指すことで、 “就職活動”をほぼすることなく正式内定を得ることが可能な業界だといえるのです。
税理士業界への就職を目指す場合、会計2科目と税法3科目の合計5科目に合格する必要がある税理士試験の合格が最終目標となります。
税理士試験については独学では難しいため、通信講座や専門学校の講座の利用を検討することが重要です。科目別の勉強順序は、簿記論+財務諸表論→消費税法→法人税法→その他税法科目、が一般的です。また、科目合格した分野は、その後も知識をアップデートし続けることが大切です。
日商簿記検定については、問題集で繰り返し演習することで独学でも合格することは可能ですが、オンライン講座や専門学校の講座を利用するのも効果的です。大学生であれば、基礎知識の習得として会計学や租税法などの授業やゼミを有効活用することをおすすめします。
なお、税理士法人事務所によっては、税理士試験の科目合格者や日商簿記1級合格者の採用枠を設けていることがあるため、早期からの資格取得は有利に働きます。そのため、大学在学中に1科目でも多く合格しておくと、卒業後の就職やキャリアに大きく影響するでしょう。
このように、税理士業界への就職を目指すには、段階的に知識やスキルを身につけていくことが大切です。また、資格の勉強と並行して、実務経験を積むことも欠かせません。自分の学習スタイルに合った方法を見つけ、計画的に取り組むことが成功への近道となります。
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