特別連載
「10分でわかる!○○業界トピックス」
vol.1(金融業界編)

コラムタイトル:いま身に付けておきたい金融・経済のリテラシー ~資産運用に必要な基本知識と応用知識~

コラムタイトル:いま身に付けておきたい金融・経済のリテラシー ~資産運用に必要な基本知識と応用知識~

資格の大原による、お役立ち情報をお届けするコラムシリーズです。
(公開:2024.05.10)

はじめに

5月は多くの企業が3月期の決算発表を予定しているため、投資に興味のある人にとって重要な一カ月。決算発表の情報をもとに正しく分析することで、経済全体の動向を知る手がかりにもなります。

そこで重要になってくるのが「金融リテラシー」です。金融リテラシーとは、お金に関する知識や判断力を指し、家計管理、投資、金融商品選び、消費者トラブル対策など、日常生活で役立つ幅広い知識が含まれます。今回は、資産運用に必要な知識を解説し、金融リテラシーを高めます。

金融リテラシーを身に付けるメリット

イメージ画像:金融リテラシーを身に付けるメリット

金融リテラシーとは、お金に関する知識や判断力を指します。簡単に言うと、「お金の賢い使い方を知っていること」です。金融リテラシーが高いと、以下のようなメリットがあります。

  • ムダ遣いを減らし、貯蓄を増やすことができる
  • 自分に合った金融商品を選び、資産形成を進められる
  • 金融トラブルに巻き込まれるリスクを減らせる
  • より豊かな生活を送ることができる

一見するとシンプルに見えますが、これらの正しい知識を若いときから身に付けておくことで、将来のライフプランが立てやすくなったり、投資詐欺などのトラブルを避けたりすることができます。こうした金融リテラシーを高めるためには、家計簿をつけるなど、日頃からお金の流れを把握したり、金融商品やサービスについて勉強したりすることが重要なポイントとなってきます。

【この記事のポイント】

・お金に関する知識や判断力である「金融リテラシー」について解説
・基本的なお金に関する知識から投資や金融の学び方、リスク管理について知る
・5月の決算発表に向けて正しい金融リテラシーを身に付ける

目次

なぜ投資家は5月決算発表に注目するのか

イメージ画像:なぜ投資家は5月決算発表に注目するのか

5月は多くの企業が3月期の決算発表を行うため、投資家にとって重要な情報発信の場となります。具体的には、以下の理由から注目されています。

1. 企業業績の確認と今後の見通し

決算発表では、企業が過去3カ月の間にどれだけの利益を上げたのか、また、来期に向けてどのような計画を持っているのかを確認することができます。業績が市場予想を上回っていた場合、株価が上昇する可能性があります。

2. 投資判断材料の収集

決算発表資料には、財務諸表だけでなく、事業内容や経営戦略に関する情報も記載されています。投資家はこれらの情報を参考に、今後の投資判断を行うことができます。

3. 新規投資先の発掘

好決算を発表した企業は、成長性が高いと評価され、投資対象として注目される可能性があります。投資家は決算発表を機に、新たな投資先を発掘することができます。

4. 投資ポートフォリオの見直し

決算発表を踏まえ、保有している投資信託や個別株のパフォーマンスを分析し、ポートフォリオの見直しを行うことができます。

5. 経済全体の方向性を知る手がかり

多くの企業の決算結果を分析することで、経済全体の方向性を知る手がかりとなります。

資産運用をめぐる基本的な知識

イメージ画像:資産運用をめぐる基本的な知識

本項からは、資産運用に必要な知識を解説していきます。まず初めに、「経済動向の把握」について説明します。

① 経済動向の把握と重要性

経済動向の把握とは、経済全体の動きや変化を理解することです。具体的には、経済成長率や、物価水準、雇用状況や金利、貿易収支などを把握することを指し、それらを分析することで、経済がどのような方向に向かっているのか、将来どのようなリスクやチャンスが考えられるのかを予測することができます。

投資家にとって、経済動向は投資判断を行うための重要な情報であり、企業経営者にとっても、経済動向を把握することで、自社の事業戦略を策定することができます。また、家計管理においても、経済動向を参考に支出計画を立てたり、貯蓄をしたりすることができるので、企業だけでなく個人にとっても経済動向の把握は重要なことなのです。

経済動向を把握するには、政府機関や金融機関の統計情報を確認したり、シンクタンクのレポートを確認したり、身近な手段としてはニュースや新聞を読んだりすることも方法の一つです。

② 複利運用とリスク管理

「複利運用」とは、運用で得た利益を元本に組み込み、さらに運用していく方法で、長期的な資産形成に有効な方法です。元本に利子がつくだけでなく、利子が利子を生むメリットがあるので、高い収益を期待できます。
複利投資は長期的に大きなリターンが期待でき、リスクを抑えながら資産を増やすことができるので、投資にあまり時間や労力をかけられない人や、コツコツと資産を増やしたい人に向いています。

金融における「リスク管理」とは、金融活動に伴う様々なリスクを認識し、分析、評価、対策を行う一連のプロセスです。損失を最小限に抑え、収益性を確保することが目的で、個人投資家にとっても投資対象のリスクを正しく理解することが重要とされています。

リスクを抑えながら運用できる複利運用にもリスクがないわけではありません。具体的には、市場リスクやインフレリスク、信用リスクなどが挙げられます。それらのリスクを回避するには、異なる資産クラスに分配投資する資産配分や積立投資などの方法があります。

③ 節税できる投資(NISA・iDeCo)

投資によって得られた利益には、配当金と譲渡益があります。この際の税金には原則20.315%の税金がかかりますが、NISAとiDeCoについては非課税となります。それぞれの特徴と向いている人について簡単に解説します。

1. NISA

特徴

  • 総枠1,800万円までの投資で得た利益が非課税
  • 2023年までは「一般NISA」「つみたてNISA」「ジュニアNISA」の3種類があったが、2024年からは「成長投資枠」と「つみたて投資枠」を併用できる「新NISA」に制度改正された
  • 成長投資枠:個別株や投資信託などを自由に売買できる
  • つみたて投資枠:所定の基準を満たした投資信託を毎月積立て投資する

成長投資枠での運用が向いている人

  • 積極的にキャピタルゲインを狙いたい人
  • 個別株にも投資したい人 など

つみたて投資枠での運用が向いている人

  • 長期的な資産形成を目指したい人
  • 毎月コツコツと投資を続けられる人 など

2. iDeCo

特徴

  • 掛金が全額所得控除の対象となる
  • 運用期間中の運用益が非課税
  • 受給開始年齢は60歳から
  • 受給方法は主に年金形式

向いている人

  • 積節税効果を最大限に活かしたい人
  • 老後の生活資金を準備したい人 など

資産運用の基礎から次のステップへ

イメージ画像:資産運用の基礎から次のステップへ

ここまでは資産運用における基本的な知識を解説してきました。本項では金融の仕組み、金融商品についての解説、資産運用を実践するうえでの学習方法をご紹介します。

① 金融の仕組み・金融商品

金融とは金融機関、金融商品、金融市場の3つの要素で構成されており、資産運用は金融商品を購入して運用することを指します。金融商品にはそれぞれ異なるリスクとリターンがあり、代表的なリスクとしては価格変動リスク、信用リスク、流動性リスクなどが挙げられます。一方で、投資することで得られる利益(リターン)としてはキャピタルゲインとインカムゲインがあり、リスクが高い金融商品はリターンも高くなる傾向があります。

金融商品は、投資家が実際に投資する資産によって分類されており、代表的な資産内容としては株式、債券、投資信託などがあります。また、すぐに現金化できる金融商品ほど市場で売買しやすいというメリットがあります。金融商品を選ぶ際には、自分の投資目的や投資期間、リスク許容度などを考慮し、自分に合った商品を選ぶことが重要です。

② 金融、投資の学び方

金融業界や投資について学ぶには、書籍や雑誌で体系的に学ぶ方法や、金融機関のセミナーに参加すること、オンライン講座で学ぶ方法など多岐にわたります。一方で、なかには偏った情報や誤った情報も存在するため、情報源の信ぴょう性を確認することも重要です。

情報源の信頼性を確認するには、情報発信者の専門性や経験の有無、情報を公開している組織や機関の信頼性、また複数の情報源を比較することも有効な方法です。

投資をまだ始めたばかりの人は、自分の投資目的やリスク許容度にあった情報を選ぶことも重要です。さらに、金融市場は常に変動しているため、短期的な値動きに惑わされず、長期的な視点で投資判断をすることが求められます。そのためには、最初から多額のお金を投資するよりも、少額で実践を始めることがおすすめです。判断に迷ったり疑問が生じたりしたときはファイナンシャルプランナーや金融機関の担当者などの専門家に相談することも検討してみてください。

参考:
金融庁「金融リテラシー」 https://www.fsa.go.jp/
消費者庁「金融リテラシー」 https://www.caa.go.jp/
消費者庁一般社団法人 金融広報中央委員会「投資信託」 https://www.shiruporuto.jp/public/

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